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鈴木誠のハイブリッド展望

【大楠賞争奪戦予想】清水の後ろは山田VS稲川の競りに! 4車で根田のスピードも生かせる深谷には、俄然有利な展開となる!/鈴木誠の展望

2024/05/14 (火) 12:00 1

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は武雄競輪場で開催されている大楠賞争奪戦の決勝レース展望です。

同じ41歳の平原のダービー制覇に、刺激を受けた山田(英)の走りにも注目!

【日本選手権競輪】を優勝したのは平原選手でした。展開にも恵まれましたが、それでも41歳を迎えてのダービー制覇は、本人の努力だけでなく、弛まぬ練習量があってのことでしょう。

 自分の経験からしても、40歳を過ぎると回復のスピードが遅くなります。そこに怪我も加わってくると、更にいいコンディションでレースに臨むことが難しくなってきます。

 平原選手は【日本選手権競輪】に向けて調子を上げていっただけでなく、10年前に使っていたフレームでこの大会に臨むなど、現時点でのベストを尽くしてきました。そこに絆の強い関東ラインの力も後押しする形で、最高の結果に繋がったと言えます。

 平原選手はこれで【KEIRINグランプリ】への出走を確定させただけでなく、来年はSS班に返り咲くこととなりました。年末に向けての調整もしやすくなる上に、6月の【高松宮記念杯競輪】に向けても、更に調子を上げていけると思います。

【大楠賞争奪戦】の決勝にも【日本選手権競輪】の出走メンバー9名が名を連ねています。【日本選手権競輪】の決勝に進んだ清水選手は、状態の良さをキープしていると言えそうであり、また、決勝に進めなかった深谷選手も、今大会は鬱憤を晴らすような強いレースを見せてくれています。

 そのSS班に対抗するべく、ここにピークを合わせてきた感があったのが、地元佐賀を中心とした九州の選手たちであり、その中でも山田(英)、山田(庸)の兄弟に注目をしていました。

 調子は山田(庸)選手が良く見えながらも、山田(英)選手は同年代の平原選手の活躍に影響も受けたのか、そこに気合いも加わった走りを見せていました。残念ながら兄弟での決勝進出とはなりませんでしたが、⑤山田(英)選手は2日目の二次予選で連係を組んだ①清水選手の番手から、優勝を狙っていきます。

 ただ、同じく清水選手の番手を主張してきたのは、初日の特選で連係していた⑦稲川選手です。競り合う相手が地元の山田(英)選手だけに、かなりの覚悟を決めて走ってくるはずです。

 清水選手の後ろが競り合いとなったことで、俄然有利に展開が運びそうなのが、南関東と北日本での連係となった4車のラインです。その並びは④根田選手-②深谷選手-⑧阿部選手-⑥大槻選手。そして中部ラインは③志田選手-⑨浅井選手となります。

 1番車は清水選手ですが、後ろで競り合いが起こっているだけに、前受けはしてこないと思います。そうなれば4車のラインがレースの主導権を握っていく形となり、その後ろが清水選手と山田(英)選手、稲川選手で競り。そして志田選手-浅井選手で道中は進んでいきます。

 ジャンが鳴る前に根田選手を抑えに行くのは、後方となった志田選手です。ここで根田選手はラインの長さを生かして、突っ張っていく作戦もありますが、今大会は調子の良さも目立っているだけに、一度引いた上で、自分の踏み出せる距離から仕掛けていくのかもしれません。

 いずれの展開となったとしても、根田選手の番手を回っている◎深谷選手が、最も優勝に近いと言えそうです。〇は深谷選手の後ろを回っている阿部選手に付けます。

 多少、荒れるとするのならば、志田選手が根田選手を抑えきった時であり、その上から捲ってきそうな△清水選手の一発も想定していました。

 ただ、後ろが競り合いとなっただけに、仕掛けるタイミングは難しくなったと言えるでしょう。×は清水選手の番手を取り切ると想定して山田選手に付けます。

 武雄競輪場は4コーナーからの見なし直線の4コーナーからの距離が長い一方で、「皿バンク」の形状となっているだけに、捲り辛いコースともなっています。

 展開面だけでなく、バンクの形状もまた、根田選手の番手を回る深谷選手には有利に運びそうです。今後、深谷選手が目標となるのは【高松宮記念杯競輪】ですが、そこに向けて、更に状態を上げていくようなレースを見せてくれるはずです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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