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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

競輪祭を制すのはどの地区!? 7エリアの戦力・キーマンを徹底分析【完全網羅版】

アプリ限定 2022/11/20 (日) 06:00 32

 今の競輪は“個"の力より、地区対抗戦。地区の勢いで、G1覇者が決まるといっても過言ではない。そこで各地区の戦力分析をしてみた。まず北日本地区から。

戦力充実! 超一流が新田祐大の後ろを固める北日本

 新田祐大が親王牌で優勝しグランドスラムを達成。来年から赤パン復帰だし、これが一番大きい。担がれる神輿であるし、担ぎ手も佐藤慎太郎、守澤太志、成田和也と超一流。競技よりの競輪を継続しても良いし、漢字の競輪をやっても良い。とにかく、新田自身の感性を大切にして走って欲しい。2段駆けの名手ではないが、自力選手は新田の前を走る事を誇りに思っている。

新田祐大

 古き良き競輪を系統しているのは佐藤慎太郎。そこに笑いや毒をブレンドして今の立ち位置にいる。今年後半は、西武園オールスター、名古屋共同通信社杯、防府記念と落車過多。万全の状態ではなくても、何とかしてしまうのが慎太郎先生だ。

 守澤太志は、佐藤慎太郎と競走得点が逆転。直前の四日市記念も制して充実。現代競輪の追い込み選手としてマッチしているが、後はちょっとした捌きだけだろう。

 “名手”成田和也はコンスタントにG1の決勝に乗っているが、いつも位置が悪すぎる。ひとつ番手が上なら、賞金の上積みが違ったはずだ。

 目立っていないが、小松崎大地は岸和田・高松宮記念杯、西武園オールスター、前橋・親王牌とG1の決勝に連続して乗っている。自分でレースを作るより、やらせておいて最後の捲りのイメージ。意外と“持っている男”かもしれないし、宿口陽一みたいなG1ラッキーボーイになるかもしれない。

小松崎大地

 新山響平のナショナルチームの卒業は個人的にも賛成。これからもっとガツガツした方が良い。北日本の弱点は平均年齢が高い事。一番若い高橋晋也で28歳、新山響平で29歳。佐藤友和、渡邉一成などタイトルホルダーで意見を持っている選手は多いが、うまく世代交代することも必要だ。来年は中野慎詞がコンスタントに特別競輪を走るが、ナショナルチームとの二刀流でどこまで競輪の戦力になれるかだ。

タレント豊富な関東も すべては平原康多の“競輪観”

 僕自身も群馬に住んでいるから、愛情表現で関東の若手自力選手には厳しい事を言ってきた。時代が違うからオールドファンには分かって貰えても、ミッドナイトから入ってきたファンからはネットで叩かれる。それも記者の役目だと思っているが、上から目線と言われる批判は甘んじて受ける。

 武田豊樹や神山雄一郎が総大将だと言う認識は変わらないが、それさえ古いかもしれない。今回も、両巨頭は出場していない。やはり平原康多の“競輪観”で、今後の関東の競輪や、今回の競輪祭の成績も決まって来ると思う。その平原も、あの笑顔と風貌で40歳はずるいと思うがいつもベストパフォーマンスは出来なくなっている。僕の競輪脳は20代で止まっているから、平原は永年のスーパーマン。四日市記念の準決で沈んだレースは、自分の記憶から消している。

 常に厳しい言葉を投げかけている訳ではないが、ここぞと言う場面で、平原は吉田拓矢宿口陽一に言ってきた。それが彼らがG1覇者になれた原動力だと思う。吉田拓矢と宿口陽一の赤パン維持かどうかは、来年の平原の成績にも関係してくる。宿口は長谷川記者が触れていたので、ここでは深く書かない。吉田拓矢の弱点は、踏んでおいて最後に出させてしまう事だ。ここは完全に相手に読まれている。S班で人気になるから、常に捨てゲームは作れないが、魅せる先行も必要だ。

平原康多(左)と吉田拓矢

 勝負に入った時の森田優弥は厳しい走りをやる。坂井洋は基本的に捲り屋だと思っているが、ここぞの場面では先行で勝負するし、読めない選手。四日市記念の決勝や、親王牌の準決が該当する。吉澤純平は落車が多いが、めげない根性がある。眞杉匠はS級上位選手にアンケートを取ったら、間違いなく“先行日本一”の称号を貰える。長島大介や杉森輝大は番手を回った時は強いが、それ以上に結果を出すのが金子幸央。自力でやった時は一銭もいらないが、金子は格下だと思われているから配当的な魅力がある。神山拓弥は関東のうるさ型のひとりだし良い味を出している。諸橋愛は、昔に比べて丸くなり、シビアさが薄れてきたが、認められているマーカーだ。木暮安由は関東の事件史に必ず登場していたし、あの頃のギラギラ感を忘れないで欲しい。本人にも、間違って獲ってしまう可能性もあると言っているからだ(笑)。吉田有希もナイスキャラでネタの宝庫なのは、あまりにも有名だ。良いムードメーカーである。

“南関の”深谷知広がタイトルを獲れば地区にゆとりが生まれる

 郡司浩平はグランプリ出場に当選確実。G2の名古屋共同通信社杯は逃げ切りで制したが、地元平塚グランプリでもあるしタイトルを獲っての出場が理想。この競輪祭が終わり、頭はグランプリに向かうが、現時点では競輪祭オンリー。優等生発言が多い郡司浩平の言葉を借りれば「一戦、一戦、目の前のレースに集中」と言ったところか。

 深谷知広、郡司浩平の並びは、中国ゴールデンコンビ、かつての武田豊樹と平原康多の連係以上に機能している。郡司浩平の性格を考えれば「深谷さんには恩義がある。年下の俺が前で駆けたい」と言った気持ちは必ずあるし、そう発言もしていると思う。だけど、深谷知広が許さなかった歴史がある。最近の深谷知広は静岡に後輩には前を任せている。深谷は深い信念の持ち主であるし、周りがガヤガヤ言う事ではないかもしれない。だけどもし、郡司が駆けて深谷がG1を優勝すると他の南関の選手に対して波及効果があり、地区全体にゆとりも出て来る。

深谷知広(左)と郡司浩平

 松井宏佑もナショナルチームを卒業。和田真久留は番手のレースは上手くなったが、自分でやる時が問題。これは鈴木裕にも言える。破壊力の一発屋は岩本俊介だし配当次第。ただ、穴選手として名前が売れすぎている。小原太樹はタテ屋だし、松谷秀幸も自在の匂いが残る。生粋のマーカーは内藤秀久ぐらいだ。和田健太郎も赤パン時代と脚は変わっていない。渡邉雄太は肝心な時は自分を殺して早駆けも出来るし、もうひと皮むけて欲しい。郡司浩平と深谷知広と連係出来るし、番手回りならダークホースだ。

浅井康太と山口拳矢次第の中部地区

 中部の事を書く時は、いつも同じネタになってしまう。戦力不足で世代交代が上手く行かなかった。あの時代の世相と、当時の中部の競輪はマッチしていたし、今とは時代が違う。優しく育てて行くしかないが、その育てる若手が出てこない。やっと貴重な戦力になりつつある橋本優己が不在なのも痛い。現有戦力を考えた時に浅井康太が頂点で、次に山口拳矢の図式。この二人の連係が機能するかどうかで結果が変わる。これがG3なら、近畿と友好条約を結べるが、G1では厳しい。それでも西武園オールスターの勝ち上がりで脇本雄太に浅井康太の番組があった。これを、浅井にとっては願うしかないかも。

浅井康太

 競輪祭を取り損ねている柴崎淳は、目標があれば勝負になるが、やはり自力では厳しい。俗に言う、忘れ物を取りに来たと言う気持ちで、一発狙って欲しい。ガッツある坂口晃輔は良いマーカーだが、あとは4角からの切れ味だけだ。

 山口拳矢は、勢いが無くなり相手から怖れられなくなった。戦法が読まれているしいかに競輪は“はったりの世界”だと改めて思ってしまう。ちょっと強い新人が出て来ても、長く続かないのは、これが理由。近況、敢えて逃げたり前々の走りをやっているが、G1だし得意戦法で勝負しても良いと思う。どっぷり構えて一撃狙いだ。実力と運がないと通用しない世界だし、G2覇者であるから、それはあるはず。年末はヤンググランプリは決まっているが、そのヤングの言葉を消して、本物のグランプリに出場したい。

脇本雄太の存在が“近畿の力”を強くする

 今年のG1は脇本雄太、古性優作、新田祐大の3人しか獲っていない。こう考えると、ワッキー優勝、一択の大会になってしまう。今後、ワッキーは一切、“絶好調宣言”はしないと思う。良くて、“普通”ぐらいのコメントだ。求めている物や、考えている事、東京オリンピックの抜群の仕上がりがあるから、我々とは違った世界や価値観で生きている。コメントは参考程度にして、初日の走りを見て判断するしかない。車券的には買うより、見て、楽しむレース。ワッキーがいるかいないかだけで、近畿の全体の成績が100%変わる。それは、番組が、ひとつ良くなるからだ。例えば三谷竜生なら自力でやる必要性はない。野原雅也や寺崎浩平、脇本雄太の番手を回れるからだ。これは、“近畿のマーク屋の序列について"のコラムに似てしまうが、古性優作に次いで、ワッキーの番手を回れる権利があるからだ。あとは、稲川翔の名前がないのは淋しい。

脇本雄太(左)と古性優作

 ここのところ、古性優作はワッキーが不在で自分でやるしかなかった。気持ちの面で違うし、今回は人の後ろが基本になりそう。敢えて、ヨコは封印していた感じで、タテオンリーで暴れん坊ではなかった。逆にタテ脚を増す為に、グランプリを考えても良い期間だった。これも、いつも使う例え話だが、凶器攻撃や反則技を使わない、プロレスラーのブッチャーみたいだった。

 寺崎浩平を考えた時に、ナショナルチームのメンバーの評価が難しい。親王牌は世界戦帰りで、山崎賢人を除いて、みんな疲れで良くなかった。オフの時期もあるが、ノー調整で基本的にG1を走る。だから取捨選択が難しいのだ。

 番手だった時の山田久徳も買える選手。南修二は仕事ぶりがカッコ良すぎて、車券ではないなと思ってしまう。東口善朋は、良い目標がある時より、3番手や、目標不在の方が狙い目。野原雅也は脇本雄太の番手を回れる材料を普段から作って欲しい。多分、ワッキーも野原の前を走るのは、嬉しい事だと思っているからだ。

結びつきが深い中・四国ライン 勝負駆け清水を支える司令塔松浦悠士

 まず中国地区と四国地区の中四国ラインだが、中部近畿ラインより結び付きは深い。ただ、肝心なところでは、中国と四国は別だ。かつては青森と函館の青函ライン、福井と石川、富山との北陸ライン、九州の日豊ラインと言うのもあった。小倉と久留米も同県でありながら別の県みたいな時代もあったそうだ。

 中国地区は、もちろん松浦悠士が司令塔で、グランプリ出場が勝負駆けの清水裕友がいる。他に自力選手は河端朋之、隅田洋介、町田太我、宮本隼輔など。やはり貴重な戦力は徹底先行の町田太我だ。河端はカマシ捲りで、移籍したとは言え隅田は俗に言う名刺配りはやっていない。宮本は腰痛があったりして、近況は精彩を欠いている。番組マンが、どう言う結びつきで考えるかだが、早めの段階で松浦や清水に四国の自力選手を付けるかだ。

太田竜馬(左)清水裕友(中)松浦悠士

 四国は太田竜馬犬伏湧也が大物の自力選手。原田研太朗は何かと話題を提供しているが、今のスタイルを貫いて欲しい。誤解をしないで欲しいが、単騎戦を推奨している訳ではなく、同地区の自力選手がいても付けないだけだ。もちろん、自力で戦うし、後ろに付いてもらってもオッケーだ(京王閣記念は、このスタイルを示す為のレアなケースだった)。太田竜馬は、あのムラッケが逆に魅力かもしれない。犬伏湧也は、落車からリズムを崩し、やや壁にぶつかっている。小倉竜二を筆頭に、この地区のマーク選手は脚落ちしていない。それでも強烈ダッシュには離れるケースが多くなった。

 どんな形でも松浦悠士は優出するだろう。あとは、どれぐらい援軍がいて、2段駆け態勢に持ち込めるかだ。松浦悠士と清水裕友の関係性からも、あの防府記念の準決があったからと言い亀裂は入っていない。それぐらい、言葉にだせない信頼関係がある。もし一瞬、感情的な場面があってもそれは2秒で消えたはずだ。それぐらい松浦悠士は大人だし、必ず清水裕友の面倒を見る。ただ清水裕友から考えた時に、人の助けを得ず自分でタイトルを獲りたい気持ちも強いはず。それがプロアスリートの自然な考えだと思うからだ。

松浦悠士(左)と清水裕友

勝負の山田庸平と地元北津留翼の一撃が魅力の九州地区

 北津留翼が笑顔で「獲っちゃいました!」と言うシーンを見たいファンや関係者も多いはずだ。あの一発スタイルなら夢物語ではない。もちろん「翼さんの為なら」と考える九州の若手は一杯いる。可能性としては僅かだが、数%あると思う。これはワッキーが馬付きのレースで、中四国地区が2段駆け態勢。ごちゃごちゃになった時に、北津留翼の一撃が決まる展開だ。

 山田庸平が賞金で一番の勝負駆けで、次が荒井崇博。若手の仕上がり次第になるが、九州のビッグレースで番組の恩恵は必ずある。山崎賢人はナショナルチームの走りだが、嘉永泰斗・伊藤颯馬などはヨコも出来る。松岡辰泰は死ぬ時は死ぬ選手だし、瓜生崇智と共にベテランと若手の良い中和剤で、キャラも立っている。

山田庸平

 地元からは北津留翼の他に、単騎の源さん(野田源一)、坂本健太郎、園田匠、小川勇介、岩谷拓磨が参戦。坂本健太郎の話の面白さは定評あるが、広報部員でなく結果も出して欲しい。もちろん、今回も優秀なnetkeirin特派員がいるが、取材規制が厳しく、どこまで伝えられるかは分からない。当サイトの名物コラムニスト中川誠一郎も忘れてはいけない。ネタ拾いでなく、今なら高配当だし、先得感もある。九州は、ベテランも踏ん張っているが、若手も育ってきた。2、3年後に、一番勢いのある地区になってもおかしくない。

北津留翼(左)園田匠

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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