2022/11/18 (金) 12:00 5
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は小倉競輪「朝日新聞社杯競輪祭(GI)」に出場する小松崎大地選手を解説する。
⚫︎小松崎大地
公式プロフィールでは、身長182cm、体重は90kg。今年40歳を迎え、ベテランレーサーの域に入ってきたといっても過言ではない。
しかし2022年、ここまで間違いなくキャリアハイと言える成績を残してきた。GIレースの決勝戦に3回進出。一流選手と呼んで良い成績だ。
トップレーサーがひしめき合うGIシリーズを4日間勝ち上がる難しさは、筆者も痛いほどわかっている。番組(対戦相手)にもコントロールされるし、“ツイてる番組”に出会う確率もわずかだ。そのうえ小松崎選手はGIだと予選スタートが多い。決勝戦に勝ち上がるためには、格上の自力選手を倒すことが必要不可欠だ。
そんな状況下でGIの舞台で決勝戦に3回進出しているのだ。
小松崎選手の同県の先輩である佐藤慎太郎選手に代表されるように、競輪界ではごく稀に、40歳を超えてキャリアハイの成績を残す選手もいる。小松崎選手はまさにそのパターンだ。経験と知識、鍛錬と努力が、加齢に伴う体力の低下や関節の消耗などに負けていない。
体格の大きい選手は、総じてトップスピードや初速(ダッシュ)が鈍い事が多いが、小松崎はどちらもハイレベルだ。北日本地区と言う地域柄、若手自力タイプの番手を回るマーク戦も多いが、それもソツ無くこなすのが小松崎選手のストロングポイントと言える。
佐藤選手など超一流の追い込み屋からの信頼も厚い。競走得点の低い下積み時代から、飛び級ではなく一歩一歩積み重ねてきた代表的なレーサーだけに、朝日新聞社杯競輪祭では初栄冠も期待される。
時は来ただろう。小松崎選手のGI制覇にケチをつける競輪ファンは誰も居ない。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
1横綱9大関という様相で、間違いなく脇本雄太選手の1強ムードだ。
だが今回はGIの舞台。ハイレベルな自力タイプの二段、三段駆けも有り得る状況なので、順当に行かない可能性も充分にある。その条件に当てはまるのは関東、中四国地区が筆頭か。
すでにグランプリ出走の権利を持っている脇本選手に対して、死ぬ気で権利を奪いに行く他選手の猛攻が楽しみでならない。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。