2022/11/06 (日) 12:30 34
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
防府競輪開設73周年記念周防国府杯争奪戦決勝メンバーが出揃いました。
決勝メンバーで動きがいいのは郡司浩平です。初日特選、同じ単騎で走った吉田拓矢との差は歴然としていました。最終ホーム、清水裕友ー松浦悠士が先行して、郡司はスッと切り替えて3番手追走。対して吉田は1番後ろで内に包まれていました。脚を使って好位を取る郡司と、脚を使わず好位を取ろうとする吉田の差だと思います。松浦ー清水の3番手を取って2角からすかさず捲り1着。「調子がいい時はあのような切り替えが躊躇(ちゅうちょ)なくできる」と冷静沈着あくまで温厚なドリーファンクJr.のような受け答えでした。
決勝メンバー、ライン構成は以下の通り。
①清水裕友(山口・105期)ー⑧桑原大志(山口・80期)ー⑦園田匠(福岡・87期)
②吉田拓矢(茨城・107期)ー⑨神山拓弥(栃木・91期)
⑤郡司浩平(神奈川・99期)ー③佐藤慎太郎(福島・78期)ー④永澤剛(青森・91期)
⑥東口善朋(和歌山・85期)
清水の5連覇に暗雲が垂れ込めて来ました。2次予選、地元防府記念なのに10Rに番組が組まれ、メインの12Rは松浦が任されました。清水の心境は「100歩譲って松浦さんなら受け入れる。それなら11Rでいいのではないか…」だったと思います。そこで少し苛立ち、準決勝はなんと松浦と一緒。準決勝が終わった後はお互い苛立っていました。
ここからは私が準決勝後の2人の様子を見て感じたことを綴ります。「レース前に何らかの意思疎通があったが、思った通りの展開にならずバックからの解釈が分かれた」のだと思います。それは「清水が5連覇も懸かってるし賞金を上積みしたい気持ちも分かる。緩んだところを一気に仕掛けるけど併されたら自力で行ってくれ」それに対して清水は「分かりました、お願いします」程度の意思疎通だったと思います。
そして最終2角、3番手まで進んだ松浦の内側で、先行渡邉雄太(静岡・105期)の番手を回っていた内藤秀久(神奈川・89期)の内を阿部拓真(宮城・107期)がすくいます。清水から見た場合、バックで松浦さんのスピードが緩んだ上に、内からすごいスピードで誰かが来た。松浦さん飛ぶかも…」と一瞬思ったはずです。そこで自力を発動させたけども、松浦は意外にも捲り切ってしまった…が真実かなと思います。
レースはナマモノである以上自分たちの思い通りにはならない。人間である以上どこでも起こることだと思います。会社仲間や友達や彼女に対しても最初は「いろいろ教えてくれる、面白い、好きだ」などが先行するが、時間が経つと違う面も見えてくる。そこをどう乗り越えるかだと思います。2人の今後も見守っていきたいと思います。
先ほども書いたように調子がいいのは⑤郡司。初手はどこでもいいと思っているでしょう。対して、②ヨシタクは3日間消極的すぎて「脚力だけで凌いだな」と言う印象です。清水はプレッシャーからかキレを感じません。②ヨシタクは脚を使いたくないので前受けで受け身のレースになると考えます。
S.②⑨ ①⑧⑦ ⑤③④ ⑥
後ろから⑤郡司が動いて、さらに①清水が叩き②吉田が叩く流れになると思います。
2.①⑧⑦ ⑥ ⑤③④ ②⑨
←⑤③④
打鐘.②⑨ ⑥ ①⑧⑦
←①⑧⑦
H.⑤③④ ②⑨ ⑥
最終的に、後攻めの⑤郡司が仕掛ける展開になると思います。
←①⑧⑦
B.⑤③④ ②⑨ ⑥
5連覇が懸かる①清水ですが、本線は⑤郡司で考えました。
・狙い目
5=3ー4216
穴目は①清水が捲った時ですね。
1=35ー3856
松浦不在の決勝戦となったので、清水にとっては苦しい決勝になりそうですね。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。