2022/11/13 (日) 15:00 28
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
四日市競輪開設71周年記念泗水杯争奪戦決勝メンバーが出揃いました。
今節、平原康多が2次予選を取りこぼしました。グレードレースでの二次予選敗退は11年ぶりでした。それほど平原が偉大な選手ということですね。
平原が飛んだ二次予選を巡って、様々な見解がファンの間で話題になっています。「平原に漢気を感じた」とか「人気になってる平原があの走りはないだろ」と言った意見です。私の見解は、地区が違う選手が付いたからこそ、平原の仕掛けが早くなったと思います。それは「地元の坂口(晃輔)だから決勝に乗せたかった」とかではなく、「地区の違う主力選手が付いたからこそ、弱気な競走ができなかった」のだと思います。
普段から敵として戦っている中部の選手と、関東の選手が連携することはまずありません。だからこそ強気な攻めしかできなかった。坂口が平原から感じたことは、そのまま中部地区に伝わります。そこで少しでも弱気なところを見せたら、ダイレクトにGI戦線に影響するでしょう。強気な方が平原にとっては好都合なのです。
後ろが心許せる選手、例えば宿口陽一なら「捲りやかましの組み立て」を考えると思うのです。後ろが関東の選手なら打鐘から仕掛けていないと思います。そこが微妙な駆け引きとなり、打鐘から仕掛けたのだと思います。平原も後ろが地元選手なので「決勝に乗せないと」という気持ちはあったでしょうが、あの走りはそんな微妙な土壌があったと推測しました。
決勝メンバーとライン構成は以下の通り。
①古性優作(大阪・100期)ー⑧村田雅一(兵庫・90期)
⑥橋本優己(岐阜・117期)ー②浅井康太(三重・90期)ー⑤坂口晃輔(三重・95期)
⑦坂井洋(栃木・115期)ー③守澤太志(秋田・96期)
⑨小原太樹(神奈川・95期)ー④福田知也(神奈川・88期)
このレースは⑥橋本の先行意欲が高いです。後ろに地元の大先輩2人連れていますからそうなりますね。ゴール勝負できる仕掛けができれば優己にとって明日に繋がるレースになると思います。松阪記念の皿屋のようにリスクは当然伴いますが…。
①古性は受けて立つ立場なので、このレースで初手にこだわるレースはしないと思います。逆に⑦坂井は、昨年優勝した四日市記念優勝連覇を意識した走りになっています。近況のレースと違い仕掛けが遅い。それが吉と出るか凶と出るか…。
①古性が前受けなら中団は中部、後ろは⑦坂井⑨小原となります。
S.①⑧ ⑥②⑤ ⑦③ ⑨④
⑨小原の先行はないですから、⑦坂井が動いてレースが始まります。そこを南関勢が叩いて先行⑥橋本の4番手を狙います。最後方が前受けした近畿勢です。
←①⑧
打鐘.⑥②⑤ ⑨④ ⑦③
最後方となる①古性は、通常営業なのでスピードが緩めば躊躇(ためら)うことなく仕掛けるでしょう。緩まなければ隊列一本棒で中部勢が有利です。中団からまくる⑦坂井に合わせて②浅井は縦に踏むでしょうね。
←⑦③ ①⑧
B. ②⑤ ⑨④
⑥
5回目の四日市記念優勝が懸かる②浅井と⑤坂口のマッチレースを第一に考えます。
・狙い目
5=2ー394
穴目は①古性がかまして来た時だと思います。⑥橋本ともがき合いになります。
←①⑧
H.⑥②⑤ ⑨④ ⑦③
この時脚を貯めているのは⑦坂井です。
・穴目
7=3ー294
先日の防府記念は清水裕友の5連覇で幕を閉じました。今回②浅井が優勝すると地元記念5回目の優勝となります。案外キーポイントは「⑤」という数字になるかもしれませんね。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。