2025/07/21 (月) 12:00 28
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
玉野競輪場で行われている「サマーナイトフェスティバルGII決勝メンバーが出揃いました。メンバー、ライン構成は以下の通りです。
③郡司浩平(神奈川・99期)ー⑧松谷秀幸(神奈川・96期)ー⑥和田圭(宮城・92期)
④太田海也(岡山・121期)ー②清水裕友(山口・105期)
⑨佐々木悠葵(群馬・113期)ー①眞杉匠(栃木・113期)ー⑤吉田拓矢(茨城・107期)ー⑦坂井洋(栃木・115期)
関東勢が4車並びました。ポイントは⑨佐々木が駆けるか否かですね。格上の①眞杉が番手なので⑨佐々木は駆けるだろうと考えるのは簡単です。駆ける気満々なら①眞杉が有利に運べますし、そうでないなら展開は変わります。デビューしたての新人や、場数が少ない格下の選手なら「〇〇さんの前で先行します!」と威勢がいいコメントを出しますが、このクラスになると本心をあまり話しません。先日ダービー王に輝いた⑤吉田や、現在賞金4位でGIIよりもGIと考える①眞杉の前で、⑨佐々木が率先して駆ける意味が見出せませんでした。そこで⑨佐々木の「並びはすんなりと決まりました」に注目します。
関東勢のラインで一番意見が尊重されるのは①眞杉です。その①眞杉が「佐々木さんの調子が良さそうなので任せます」と短時間で決めたことは、そんなに鼻息が荒い話ではないと思います。そう考えると、⑨佐々木は「何がなんでも先行」と走るのではなく、「タイミングが来たら仕掛けるのではないか」と読みました。そうすることで、ビッグレースを優勝したことがない⑨佐々木と⑦坂井が、ライン先頭と4番手を固める意味合いも腑に落ちます。そうすると④太田率いる地元勢や南関勢にも優勝のチャンスが広がります。
それでも関東の出方が読みづらいので、2車の④太田は、前受けしてワンチャン緩んだところを仕掛けるのではないかと考えます。④太田が前を取るなら関東勢は中団でも構いません。後ろが③郡司です。
S.④② ⑨①⑤⑦ ③⑧⑥
打鐘.⑨①⑤⑦ ④②
③⑧⑥
H.←④②
⑨①⑤⑦ ③⑧⑥
先行選手として踏み合うのならば④太田の方が1枚上です。⑨佐々木が叩かれたならば、①眞杉は自力に転じてバックから仕掛けます。
←③⑧⑥
←①⑤⑦
B.④②
⑨
1-5-7238
1=2-4538
④太田の番手を回る②清水も、できれば④太田とのワンツーを決めたいでしょうが、①眞杉が迫って来たら踏まざるを得ないでしょう。①眞杉が来ないのであれば、③郡司が来るでしょうね。
2=3-814
④太田は初日予選5着で、本来なら勝ち上がれませんでした。しかし、上位選手に失格があって繰り上がりで2次予選に進出。そのチャンスを決勝にまで繋げたところに大器を感じます。地元で見せ場を作ることができるでしょうか。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。