2022/11/01 (火) 12:00 26
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
京王閣競輪開設73周年記念ゴールドカップレースGIII、決勝メンバーが出揃いました。
2日目にグレードレース最高配当となる3連単143万8960円が飛び出すなど、荒れたシリーズとなりました。その次のレースは、古性優作(大阪・100期)が4着に沈んで3連単2万400円の配当金が付き、最終レースを走る平原康多のプレッシャーは、かなり大きかったと思います。そんな重苦しい雰囲気の中、1着をゲット3連単660円で見事人気に応えました。
大きな配当が続く後のレースは「自分も飛ぶかも…」という気持ちと、「人気に応えて悪い流れを断ち切りたい」という思いが交差して、非常にデリケートになります。その中で1着を取った平原に感服しました。決勝戦でどんな走りを見せてくれるでしょうか。
メンバー、ライン構成は以下の通り。
③北井佑季(神奈川・119期)
④佐々木悠葵(群馬・115期)
⑤森田優弥(埼玉・113期)ー①平原康多(埼玉・87期)ー⑦宿口陽一(埼玉・91期)ー⑧中田健太(埼玉・99期)
⑨吉田有希(茨城・119期)ー②坂井洋(栃木・115期)ー⑥高橋築(東京・109期)
どの選手も印象に残るレースをしている、興味深いメンバーとなりました。関東8車! って、今の層の厚さを物語ってますね。本格化してきたなと思わせるのがイケメン②坂井です。「ええ男やな〜」と言うと、言われ慣れてるので「いやいやそんな事ないです」とサラッと心無い返事をしてきます。そんな彼は初日特選番手戦で1着、2次予選は打鐘かましで高橋築の1着に貢献、自身は3着に沈みましたが苦しい所で仕掛けたレースは、調子の良さに加え、勝負度胸が付いて来たことも感じました。
前を走る⑨吉田も、全て突っ張って先行し決勝に勝ち上がりました。先行の中にも自在性を感じます。この先、眞杉匠のようなタイプになるでしょうね。⑤森田も③北井も素晴らしい。文字起こしするとキリがないのでこのあたりでやめときます。
スタートは、ラインの先頭選手(⑤森田⑨吉田)が連日前受けしているので枠順で考えました。
S.⑤①⑦⑧ ⑨②⑥ ③ ④
実質2分戦の決勝戦は、⑤森田と⑨吉田の力比べとなりそうです。残り2周で後ろから攻める⑨吉田に、突っ張ろうとする⑤森田。レースは激しくなると思います。
←⑨②⑥
残り2周.←⑤①⑦⑧ ④ ③
このまま、⑤森田が突っ張ったら①平原が絶対有利ですよね。もしかしたら、⑦宿口にもチャンスが…。
・狙い目
1=7ー358
⑤森田も負けん気が強いし、⑨吉田もおめおめ引き下がる訳に行かない。まさに若手選手の意地と意地のぶつかり合いです。⑨吉田ラインは突っ張られたらライン全滅、⑤森田ラインは出られたら②坂井の横でイン粘りをするかもしれません。いずれにしても、外を回らされるラインが不利ですね。②坂井は、⑤森田だけではなく①平原にも捌かれるかもしれないので、決して「すんなり番手」とはならないと思います。いずれにしても混戦必至です。
←③ ④
②⑥
H.⑨ ⑤①⑦⑧
・穴目
4=3ー179
ライバルがいると、切磋琢磨してさらに層が厚くなる好循環に関東地区は入ったと思います。その中心が平原康多なので、まだまだ活躍が期待できそうですね。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。