あの5番手は『最悪の5番手』だった

　netkeirinをご覧の皆さん、平原康多です。

　23日に終わったGI、第36回全日本選抜競輪は、決勝には勝ち上がることができましたが、8着でした。この大会は過去2度優勝している、自分では相性のいい大会だと思っています。3度目のVへと意気込んだんですが、ファンの期待を裏切ってしまいました。

　それでも力は出し切れました。決勝は3番車ということでいい位置は取れないと思っていました。スタートを早く出て前を取れるか、ダメなら後ろから。

　レースは深谷君(静岡)が赤板(残り800m)から全力で飛び出していきました。地元の郡司君(神奈川)が続き、3番手は和田さん(千葉)、4番手は守沢君(秋田)。自分は5番手の位置でした。5番手というといい位置だと思うかもしれませんが、それがそうでもなかったんです。最悪の5番手と言ってもいいでしょう。深谷君が先行することは予測できていました。地元の郡司君を競らせないように仕掛けていくだろうとは思っていましたがただ、あれだけ早く、スピードを落とさず出ていくとは想定外でしたね。深谷君も勝負できるように踏んでいくのではないかと思っていましたから。それが蓋を開けてみれば、物凄いスピード。飛び付きも考えていましたが、あの早い段階であのスピードではきつかった。自分も全力で前に踏んだのですが、5番手。力をロスした5番手と言ってもいいでしょう。

　それでもまくりにいきました。今、競輪界で最強の二段駆け(※自力選手が2人並ぶこと。先頭の自力選手が飛び出し、2番手の自力選手が前を捨てて自力に転じること)と思っている深谷君と郡司君のラインですから、そう簡単にまくれるとは思っていませんでした。でも勝つためには行かなければなりません。しかし、あそこを越えられなかったのは自分の力不足です。タイトルを獲るためには“自力力”(じりきりょく)がないと勝負になりません。以前から書いてきましたが、脇本君たちと勝負するためには、タテアシ(競輪用語で前に踏む力)がないとダメなんです。絶対的なタテアシがないとタイトルは取れません。今回は二段駆けでしたが、あれを乗り越えられる“自力力”を身に付けなければ頂点には立てません。本当に今の競輪界は自力全盛、ハイレベルな争いをしていると思います。

ゴール後のアクシデント…

　8着の結果より、一番ショックだったのが落車です。テレビには映っていなかったみたいですが実は、ゴール後に落車をしてしまったんです。自転車の前輪部分が壊れてしまいました。レースに負けたことは勝負をしにいっての結果なので、ある意味納得できます。しかし、勝負に関係のないところでの落車は、ダメージが残ります。ケガ自体は大したことはありませんが、少なからず影響があるかもしれません。

　それよりも痛いのは自転車が壊れたことです。この落車の影響で、トレーニングのスケジュールに狂いが生じてきます。身体のケアを含めて、スケジュールを一から考え直さないとならなくなりました。最後の最後でマイナスな部分が残ってしまいました。そうは言っても、これをいかに払拭して次に繋げるかですね。休む間もなくレースはありますが、皆さんの期待に応えられように頑張っていきます。