2022/05/31 (火) 20:00 21
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今回は、私が思う競輪界の“Legend”について話をしていきたいと思います。
過去に“鉄人”と呼ばれる選手は何人もいただろう。しかし、その人達のことも周りは“レジェンド”と読んできたと思います。“レジェンド”と“鉄人”は確実に違う。私はそう思う。
『世界の〇〇』と呼ばれた男!!
競輪を広め、競輪界を盛り上げた。そして、日本のプロスポーツ史上、初の1億円プレイヤーとなった男!! そう、誰もが知っている…
中野浩一さん。
この人なしでは競輪を語れないのではないでしょうか。“Legend”というよりその上の上なんですよね、きっと。
今は“優しいおじ様”って感じです。お会いするといつも笑顔でインタビューをしてくれる。たま〜に、中野さんのお腹を触って「太りました?」とか「痩せました?」と笑いながら言ってしまうんです…。でも、そこも優しく返してくれる。今でも競輪界にはとても必要なお方だ。
神様、帝王、F1…と代名詞がつく選手は“Legend”ではないでしょうか。
確実に一時代を築いた証だと思います。そして何より文句なしの成績です。
グランドスラムを成し遂げた神山雄一郎さん。
3度グランプリを制した山田裕仁さん。
そして、10個以上のタイトルを獲得し、2度グランプリを制覇した吉岡稔真さん。
“Legend”と言われるのにふさわしい方々だと思います。
さて、私の場合はこう呼ばれています。
“KEEP LEFT”と。
なぜかというと、自分で言い始めたからです(笑)。
もちろん意味は…『左側通行』ではございません。
ということで、自分で名前をつけていることを考えれば“Legend”にはなれませんね(笑)。
はい、では次へ。
私の師匠は佐久間重光さんです。日本競輪選手会の理事長でした。
周りからはよく「アイツはなんや」「師匠大丈夫か?」などたくさんの意見を頂き、弟子達(浅井・柴崎兄弟・伊藤)は嫌な思いもたくさんしてきました。
しかし、SS11騒動の時には師匠の動きや考えを聞き、私からもたくさん意見をしました。その時に“この方なら確実に競輪界の為に動いてくれる”と確信できました。もちろんそう感じていなかったら「辞めてください」と直接伝えていただろう。現に前回の選挙前にはコロナで難しい選択や判断があったとは思いますが「選手の為に動けない、動かない理事長ならやめてください」とも伝えさせてもらいました。
人の意見を聞ける人、業界の事を考えられる人、そして自分の意見をしっかり伝えられる人だと、私は師匠を人間として尊敬しています。
ほとんどの人は知らないと思いますが、とても頑張ったんですよ、あの方は。
今回の役員には立候補しませんでした。
これで選手としての『佐久間重光』を終えることになると思います。とても残念ですが、人としての考え方はこれからも学び、盗み、成長していこうと思います。
僕の中の“Legend”です。
そして、三重支部にもう一人『萩原操』という“Legend”がいます。
G線でも活躍し、数々の最年長記録を更新。連続S級在籍がなんと34年と…。34年間もS級ですよ!! (やばっ)
今年の5月に引退をされましたが、記録を残し、上位戦において息の長い選手であることもまた“Legend”ではないでしょうか。
今でも2008年 松阪記念競輪の準決勝C(1着権利)を思い出します。残り一周では単騎の9番手。先行しているのは現在のタイトルホルダー・渡邉一成選手でした。
それをなんと!!! 捲り一発!!! 1着でゴールをした事には度肝を抜かれました。その後“投げキッス”でバンクを一周し、地元の声援に応えていました。
その姿はいま思い出しても笑ってしまいます。
いつも笑顔でオヤジギャグ。開催中はせっかちなオヤジ。
中部から除け者扱いされた若い時には優しいオヤジでいてくれた。いつも寄り添って考えてくれるいい先輩でした。私自身、まだピリついたところもありますが、後輩の役に立てる先輩にもなっていきたい。
いつかきっと…。
沢山学ばせて頂きました。
「ありがとうございます。そして、お疲れ様でした」
私の次回出場予定は、6月3日〜5日に開催される松阪競輪(ナイター)です。
その開催中に、萩原さんの引退セレモニーが行われるということを小耳に挟みました。もし時間がある方は一言でも声をかけにきてあげてください。そして、あの人をみんなで泣かせませんか?
バンクの内側で見れる最後の1日だと思います。是非、本場までお越し下さい。
浅井康太
Asai Kota
1984年、三重県生まれ。日本競輪学校90期卒、ホームバンクは四日市競輪場。2005年7月松坂競輪場にてデビュー。第20回寛仁親王牌(GI)で特別競輪初優勝を決めた。その後もKEIRINグランプリを2度制するなど競輪界の中心選手として活躍、中部を牽引する存在としていまなお進化を続けている。キーワードは「KEEP LEFT」