2023/09/08 (金) 18:00 137
ハロ!!!
オールスター競輪は眞杉匠クンの優勝でした。
行ける(先行できる)人間は“意気”があり“息”の長い選手にもなる。 そして、タイトルを手にした今“生き方”も変わっていくでしょう。
眞杉クンおめでとう!!!
さて、今回のコラムは、そんな注目の若手選手“眞杉匠”との絡みを書いてみます。 是非ご覧ください。
眞杉クンと初めて喋ったのは、2021年に京王閣競輪場で開催された『日本選手権競輪』の朝のことでした。 検車場で自転車整備をする彼を見つけた私は「おはよう」と声をかけました。そうすると、彼も大きな声で「おはようございます」と返答してくれました。とても好青年のイメージです。
そして、次の瞬間 「実は僕、学生時代に浅井さんのサインをいただきました」 と彼が言う。
「えっ!? いつ!?」「ごめん、全く覚えてない」と私が反応すると、 詳しく話をしてくれました。
私が宇都宮で開催されたロードレース大会(クリテリウム)に出場したときのことのようです。「ホテルのエレベーターに乗る前でサインを書いてもらいました」と笑顔をみせる眞杉クン。
記憶を辿り…辿りに辿った結果。
「あーーーーー!!! あの時の子!?」 「おったおった、細い子!!!」と思い出し…あんなにヒョロヒョロだった子がこんなところに!? と、とても驚きました。
サインをあげた子にダサい姿は見せられない。
この時から「負けられない存在」と、私の中で(勝手に)意識した瞬間でした。
今まで意識をしたことがあるのは、平原康多選手、新田祐大選手、深谷知広選手…。
最近の競輪界では若い世代の活躍がとても目立ってきている。
…山口拳矢クン、嘉永泰斗クン、眞杉匠クン、犬伏湧也クンなど。
競輪を知ることの大切さ、勝ちへのこだわり、努力をすること、危機感、後輩を尊敬すること…など。
各世代の選手から刺激をもらえている。
これから先も「昔、サインをもらいました」という子が出てくるかもしれないと思うと…。ダサい姿は見せられない。
私の中で思っていることがあります。
”弱いとダサい”
“負けるとダサい”
…そう思います。
陰口でよく耳にする「あの人弱くなったよね」「いい選手だったのにね」という言葉。若い世代にそう言われないよう、そしてファンの方からもそう思われないよう努力する。年齢とともに落ちていく可能性はありますが、落ちない可能性もある。
私はかなりの負けず嫌いなのでやれるはず。
そしてここにもいました、負けず嫌い。
あの時にはっきりわかった。宇都宮記念競輪の初日です。レースが終わりクールダウンをしていた時に自転車のことについて話す機会ができました。
「最近調子が悪くて感触も悪いんです」と弱気な彼。 身体の話やトレーニングの話が大好きな私は、彼と並んでローラーに乗り、彼のフォームとペダリングを見させてもらいました。その結果、修正点を見つけ、ほんの少しアドバイス。レースは16時30分に終わったのですが19時頃までコンディショニング調整をしていました。
すると!!!
「やばい、なんか戻った」
「今回優勝できます」と彼が言う(本当に優勝しちゃいましたからね…笑)。
その横にいた橋本瑠偉クンが、「いい時のフォームに戻ってる」と眞杉クンに伝えたその後の会話に本心があった。
「拳矢さんに先越されちゃったので」「悔しいんですよ」とポロリ。
「眞杉のレーススタイルならタイトルはすぐに獲れるから、スタイルは変えず、脚を作っておいた方がいいよ」さらに「確実に獲れる展開の時、確実に獲る為に今のスタイルでつけた脚力が実るから」とそう伝えました。
オールスターでは本当に確実に獲れる展開をモノにした。素晴らしい。
競輪界のNEW HEROが誕生しました。
ファンの皆様、是非応援してあげてください。
今の競輪界は先行できる人間が業界を引っ張っていると思う。7車立てでしょーもないレースをする若手。君に未来はない。そのことに早く気づき軌道修正をすること。こんなことを言うから良く嫌われるけど、周りが言わないなら嫌われてでも伝えてあげたい。
これも優しさなんです。
“中部地区を育てる”ではなく、競輪界全体の若手が育ってくれれば業界自体が盛り上がる。
私でさえ眞杉クンや犬伏クン、そして嘉永クンにどんな練習をしているかを聞き、それに近いであろう練習量を実践しています。いつも練習では「あいつらがやっとるで俺はこれをやる」と若手に言いながら追い込む毎日。プロはただやるしかないんです。
だからみんなも頑張ろう。明日に向かって。
次に獲りそうな若手は…多分、あの子だろうな。
ではまた‼︎
浅井康太
Asai Kota
1984年、三重県生まれ。日本競輪学校90期卒、ホームバンクは四日市競輪場。2005年7月松坂競輪場にてデビュー。第20回寛仁親王牌(GI)で特別競輪初優勝を決めた。その後もKEIRINグランプリを2度制するなど競輪界の中心選手として活躍、中部を牽引する存在としていまなお進化を続けている。キーワードは「KEEP LEFT」