2022/04/26 (火) 12:00 4
武雄競輪場で開催されている「大楠賞争奪戦(GIII)」の決勝レース展望をお届け! 決勝は16時30分発走予定。
「オヤジ居るかい?」と掘ったタケノコを手土産に、開けっ広げの玄関をズケズケと入ってく。何十年も変わらず、オレが師匠の家へ上がるときの作法だ。「おっ! 来たか!」と、母ちゃんが迎えてくれる。
オレの師匠、須藤一男は数年前に脳梗塞になり右半身が麻痺、寝たきりとなった。だが懸命にリハビリを続け、杖を使い数歩だが歩けるまで回復した。あの歳でここまでやれるとは…! 努力を惜しまず続けることがいかに大事か。ただただ頭が下がるばかりだよ!
現役の頃はおっかないオヤジだったが、オレが顔を出すと相好を崩し喜んでくれる。だからオレも元気がもらえるってわけよ! 大恩あるオヤジと母ちゃんには、感謝してもしきれないし、いつまでも元気でいてほしいもんだ。
さて! オヤジを見習い努力(?)を重ねて、この“妄想先取り”頑張ってみっか!
準決勝10Rはヨシタク、慎太郎さんで躊躇なく前受けから。山田英明が切り、島川将貴がヨシタクを抑え込み逃げるセオリー通りの展開に。だが、ヨシタクは構える素振りもなく、すかさず巻き返し、慎太郎さんと櫻井正孝と決めた。SS班の底力に「あうんの呼吸」、すなわち、お互いの信頼関係だよね。
そして11R、レース運びの上手さはさすが平原康多! だがこのレースで印象に残ったのは稲川翔だ。目標不在だが、機敏な捌きを見せ平原を捉えた。勝負根性と切れ味抜群の差し脚をアピールするには十分な一戦だった。
12Rは松浦悠士が破れる大波乱! ベテラン村上義弘が後方に置かれたが、魂の走りで突き抜け、諸橋愛が2着に突っ込み、大坪功一が3着で3連単は978,330円の大大波乱。荒れた3日目の〆がこれだった。
大波乱の準決勝だったが、気を取り直して決勝戦の妄想先取りと行くべか。まずは並びの整理からだね。関東は初日同様に⑨吉田拓矢-③平原康多-⑦諸橋愛-⑤木暮安由の4車。②稲川翔-④村上義弘の近畿コンビ、単騎戦は⑧大坪功一、⑥櫻井正孝-①佐藤慎太郎の北日本タッグとなっている(⇐⑨③⑦⑤・②④・⑧・⑥①)。
見ての通り、ヨシタクの逃げイチになった。すんなりなら平原-ヨシタク(③-⑨)、平原-諸橋(③-⑦)で決まるレースだろ。だが、村上に任された稲川が黙ってるはずがない! 番手飛びつきも含め、何でもやるはずだ。当然櫻井も慎太郎さんに任されたとなれば「何が何でも!」と同じ気持ちだよね!
となればヨシタクの後がもつれ、櫻井のカマシ逃げもありそう! そしたらヨシタク-慎太郎さん(⑨-①)も見えてくる。でもこの格言を忘れたらいかん!「先行一車は黙って買え」、ヨシタク-全-全(⑨-全-全)がこの決勝の妄想の最終結論だベ。
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。