2023/11/08 (水) 14:26
今年最後のG1「朝日新聞社杯競輪祭」を前に、賞金でKEIRINグランプリ出場を決めたい選手達が、各地で熱戦を繰り広げている。もちろん、賞金では届かず、最後の競輪祭に全てを賭ける選手もいる。2日に開幕した防府競輪開設74周年記念「周防国府杯争奪戦」(G3)は、岡山県の玉野競輪場で代替開催された。
注目されていたのは、同記念6連覇がかかる清水裕友。開催場所は玉野だが、防府競輪場をホームにしている清水にとっては、どうしても負けたくない大会でもあった。この他、清水の盟友とも言える松浦悠士や、飛ぶ鳥を落とす勢いの犬伏湧也、新山響平、守澤太志。そして、古性優作と超豪華なメンバーが集結した。
賞金ランキングを見てみると、深谷知広が伊東温泉F1で優勝したことにより、8位から7位にアップし、逆に脇本雄太が、8位に後退した。9位の新山響平は、防府記念で優勝すれば一気に深谷、脇本を抜くこともできる重要な勝負どころでもあった。また、優位だった清水も、勝てばセーフティーリードになる。それぞれの思惑が入り交じっていたが、新山は準決勝で敗退し、もう後がなくなった。
決勝メンバーは、中四国が犬伏、取鳥雄吾、清水、松浦の4人。近畿からは古性と稲川翔、村上博幸、高久保雄介の4人。そして中本匠栄という構成になった。果たして、中四国と近畿はどう並ぶのか、興味津々であった。
筆者の勝手な意見を言わせてもらえるなら、近畿は、大阪と京都に分かれ別線を選択。これは、過去の近畿の戦い方をみていれば、すぐに結論は出るだろうと思っていた。4人全員にチャンスがある並びは、これしかないからだ。
問題は、中四国だった。結論は、犬伏が先頭で取鳥、清水、松浦の順。筆者が考えていたのは、犬伏はタイトルをいつ獲ってもおかしくない選手だからこそ、ラインの先頭で引っ張りはないだろうと予測していた。並ぶなら、犬伏に中本、取鳥に清水、松浦。または、清水と松浦がそれぞれ犬伏、取鳥につく、というものだった。もちろん、考え方は色々あるが、やはり、犬伏の発進だけは、個人的に無いのではないかと考えていた。G1の決勝とは、訳が違う。G2でもなければ、G3だからだ。
結果は、犬伏後位の取鳥が番手捲りを放ち、寸前で清水が差して6連覇を達成。3着も松浦で、中四国の作戦が見事に決まった。高久保が意地を見せて、取鳥と競ったことが印象的であった。その高久保は、やることをやって9着。犬伏は8着だった。優勝した清水は、これでKEIRINグランプリ出場は大丈夫だろう。
選手それぞれの思惑があるだけに、何が正解かは分からない。「勝てば官軍」とは、よく言ったものである。確かに、勝負は勝ってこそ、価値が生まれるものである。犬伏には、今回の開催で得たものを、競輪祭で生かしてもらいたいと思う。そして近畿勢の潔さにも感服した開催だった。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター