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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】読売新聞社杯全日本選抜競輪に出場する吉田拓矢選手を解説!

2022/02/17 (木) 12:00 7

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は取手競輪「読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)」に出場する吉田拓矢選手を解説する。

⚫︎吉田拓矢

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 公式プロフィールでは身長171cm、体重は73kg。現在はもう少し身体が大きくなっているはずだ。昨年、自身初となるGI制覇を成し遂げた吉田選手。今年からSS級の証である真紅の赤パンツに脚を通す。

 しかしSS級の中に入ると圧倒的に体格が細めだ。同級の選手に比べて華奢な身体にもかかわらず、爆発的な捲くり、捲くり追い込みを決める秘訣はどこにあるのか?

 吉田選手はデビュー時、二世選手で兄弟が多いこともあり、各種メディアに取り上げられるほど期待されていた注目株だった。関東期待の自力選手として期待されていたが、花開くには多少の時間が掛かった。時折見せるスピードで大物食いするシーンも見られたが、デビュー当初はあまりにも不安定だった。そのうえ若手特有の混戦の弱さ、淡白なレースも多く見られた。

 そんな吉田選手の走りがガラッと変わったのは2020年あたり。元々、潜在的に持っていた自在性や横の強さをレースで見せ始めたのだ。関東ラインの先頭で、責務を全うする使命感から爆発的な脚力を発揮し、位置取りや番手戦もこなすようになった。吉田選手の競輪力はトップクラスで充分戦えるレベルにまで引き上がっていた。

 彼のストロングポイントはとにかく「積み重ね」にある。ラインの先頭を任された時はほぼ間違いなく、ライン全員がゴール勝負出来るレース展開に持ち込む。自身の犠牲をいとわない責任感の強さは、競輪界で上り詰める為に必要な「王道」のストロングポイントだ。夢物語ではなく、2022年の競輪界は彼の年になる可能性もある。

 話は変わるが、筆者はとある縁から、吉田選手と収録を共にしたことがある。まだ彼がデビューする前の話だ。その際「初めての賞金は何に使うか?」と言う質問に対し、彼は「ルイヴィトンの財布が欲しいです。ですがヴィトンは高くて買えないのでまずは親孝行です」と言っていた。

それが今ではルイヴィトンだろうがエルメスだろうが、好きなだけ買えるだろう。下手すりゃ家族全員ルイヴィトンのコートでお出掛けだ。言うなればジャパニーズドリーム。競輪界に彗星のごとく現れた吉田有希選手との兄弟コンビは、各種メディアで売り出す絶好の人材だろう。

 吉田拓矢選手の実の弟、有希選手のキャラの濃さはまさに「特濃」。どちらかと言うと薄目のキャラの拓矢選手には、激辛のスパイスになるだろう。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 2022年最初のGI。グランプリを視野に入れるトップレーサー達にとっては、喉から手が出るほど欲しいタイトルだ。それもそのはず、2月にGP権利を獲得すれば、12月までの準備期間の長さをはじめとした恩恵があまりにも多すぎる。

 今年最初のビッグタイトルを手中に収めるのは誰か。ここでは、吉田拓矢選手をピックアップしたい。吉田選手にとっては、地元取手競輪場で行われる全日本選抜競輪は、お膳立てが出来すぎている。

 直前の奈良記念でも気配良好で、もう1段階の上積みがあれば争覇圏内だ。関東勢のラインナップも充実しており番組負けする事も無いだろう。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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