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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】春日賞争覇戦に出場する脇本雄太選手を解説!

2022/02/10 (木) 12:00 7

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は奈良競輪「春日賞争覇戦(GIII)」に出場する脇本雄太選手を解説する。

⚫︎脇本雄太

21年9月向日町競輪・平安賞(撮影:島尻譲)

21年9月向日町競輪・平安賞(撮影:島尻譲)

 公式プロフィールでは身長180cm、体重は72.4kgとあるが、現在はもっと体重は重いだろう。手足も長く、骨格は欧米人に近い。加えて、関節の柔軟性や腱のしなやかさもあり、とにかく自転車を進ませる事に無駄が無い。サイクリストの理想的な骨格で、遺伝的能力はAAA(トリプルA)だ。

 そんな脇本選手はここ近年、ナショナルチームに身を置き、長らく日本の自転車界を牽引してきた。そして昨年の東京オリンピック後に、国内競輪に本格復帰した。世界で戦ってきた脇本選手だが、国内では故障による欠場が続いている。やはり人生はそう単純ではない。

 詳しくは本人がSNS等で話しているので割愛するが、彼ほどのポテンシャルのある選手でも、当然怪我は切って切り離せない。21年10月の熊本記念IN久留米(GIII)以降、国内競輪から姿を消していた脇本選手だが、今回の奈良記念(GIII)で約4ヶ月ぶりに復帰する。

 間違いなく日本競輪界にとって明るい話題だ。脇本選手と言えば、爆発的な脚力と積極性を武器に、数々のビッグタイトルを獲得してきた。しかし、彼の特徴を表すエピソードとして「脇本の番手を回る事がGI制覇に1番近い」事があげられる。GI決勝で、彼の番手を回った選手が優勝したのは、ゆうに10回を超えるだろう。脇本選手が「幸せ配達人」と呼ばれていることからも、その凄さが窺える。

 競輪の歴史上、脇本選手ほどラインに貢献してきた選手は間違いなく居ないだろう。様々な事情もあり、2022年はSS級では無く、S級1班から始動する1年となるが、あっさりとSS級に舞い戻るであろう。それほどまでにS級1班では、脇本選手の脚力はレベルが違いすぎる。

 この奈良での4日間、「暴君」脇本選手の復活劇をとくとご覧あれ。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 本来ならば、SS級自力選手となる松浦悠士選手、吉田拓矢選手、古性優作選手、宿口陽一選手が、シリーズを引っ張るパターンを想像しやすい。

 しかし、この奈良記念は少し事情が違う。脇本選手の復活祭なのだ。脇本選手が出走を決めたとなると、赤パンツレーサーですら大関扱いになる。1横綱(脇本)、5大関(古性、松浦、吉田、守澤、宿口)といった印象だ。

 しかも古性選手は、脇本選手の番手を回ることになるため、近畿軍団のラインはとてつもなく大きく厚いものとなる。ライバル選手達は、個人で脇本選手に対抗する事は困難。同地区の選手をいかに決勝戦に乗せる事がポイントとなる。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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