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鈴木誠のハイブリッド展望

【春日賞争覇戦予想】怪我から復活の脇本! 特選から3連勝の吉田! その2人でも中四国の5車を止めるのは困難なのか?/鈴木誠の展望

2022/02/13 (日) 12:00 4

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は奈良競輪場で開催されている春日賞争覇戦の決勝レース展望です。

予想は抜きにして狙ってみたい脇本からの車券! 奇跡は起こるのか?

【春日賞争覇戦】はこれが怪我からの復帰戦となる、脇本選手の走りに皆さんも注目していたと思います。

 初日の予選からここまで3連勝と結果こそ出ていますが、自分の視点からすると、正直、調子自体は戻り切っていないように見えました。3連勝の内容を見ても怪我の前のような、圧倒的な力の差で勝ったレースは無かったように思えます。

 その脇本選手よりも調子が良く見えたのが吉田選手です。吉田選手も初日の特選からここまで3連勝。脇本選手と同じように怪我明けのレースとなりましたが、その影響を全く感じさせていません。それどころか、SS班として臨んだ【鳳凰賞典】を制した勢いもそのままに、この【春日賞争覇戦】も優勝してしまうのではとも思っていました。

 ただ脇本選手、吉田選手ともに、この決勝はあまりにも相手が悪くなりすぎました。決勝に進んだ中四国の5人ですが、なんとその5人で連係。並びですが好調の石原選手の後ろには宮本選手。以下、松浦選手-柏野選手-西田選手となります。

 脇本選手の後ろは古性選手、吉田選手の後ろは宿口選手と、普通の決勝ならば、2車と言えども充分に強い並びのはずなのですが、さすがに5車で並んだ上に、石原選手-宮本選手での二段駆けが濃厚な中四国ラインを捲り切るのは難しいでしょう。

 スタートを取るのは脇本選手となりそうです。3番手には吉田選手。中四国ラインを先導する石原選手は道中は5番手につけて、残り2週半前で脇本選手を抑えにかかってから、一気に先行体勢に入ると思います。

 吉田選手は石原選手が抑え先行に入る前に、宮本選手の横で粘る手もありますが、ここでもつれるようだと、その隙を見る形で脇本選手が仕掛けてしまうので、あまり得策とは言えません。

 とはいっても、脇本選手も先行ラインの横で粘るよりは、一度、自転車を下げてから踏んでいくレースをしてくるはずなので、中四国ラインの先行は盤石と言えるでしょう。

 ラインの先頭を任された石原選手ですが、今大会の走りを見ても、全速ならば1週は他の選手に交わされるようなことは無いと思います。その後ろを走る宮本選手もスピードがある上に、その2人が作り出したスピードに乗ったまま、松浦選手が先捲りをしていくようだと、さすがの脇本選手、吉田選手と言えども、後方から松浦選手を捲り切るのはさすがに難しいでしょう。

 松浦選手は準決勝で、脇本選手の後ろを取り切ったレース内容からしても、やはり、上手さと強さを兼ね備えた選手だと思いました。

 脇本選手の仕掛けに合わせていきながら、引かなかったあたりの気持ちの強さもさることながら、横の動きの上手さでも三谷(竜生)選手を完封しています。しかも、長い距離ももがけますし、この展開ともなれば、かなり優勝に近づいたと言えそうです。

 松浦選手が優勝した場合の2着、3着ですが、ここで結果に影響を与えてきそうなのが、単走路の330バンクかつ、4コーナーを回ったら、もうゴールかと思えるような、奈良競輪場のバンクの形状です。

 ここまでの結果を見ても、主導権を奪ったラインだけでなく、仕掛けの早い選手が残っていますし、そうなると松浦選手の後ろを走っている柏野選手だけでなく、その前を走る宮本選手が粘り切る可能性も出てきます。

 ただ、いくら展開が不利とは言えども、脇本選手の強いレースが見てみたいと思ってしまうのは、自分だけでは無いはずです。

 買い目に入れるかどうかは、予想を出すギリギリまで悩んでしまうところですが、脇本選手が捲り一撃で優勝を果たし、みんなをビックリさせてくれるレースを見てみたい…とも考えてしまいます。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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