2025/02/24 (月) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は豊橋競輪場で開催されている全日本選抜競輪の決勝レース展望です。
豊橋競輪場では5年ぶりのGI開催となった【全日本選抜競輪】。場内では様々なイベントが開催されています。
自分も場内予想会や、CS放送の中継の仕事で豊橋に来ているのですが、5年前の【全日本選抜競輪】で開催されたイベントが、「レジェンド&OB歌合戦」でした。
当初はレジェンドレースを開催するとの話と聞いていました。それが、どこで内容が変わってしまったのか、自分を含めたOBとの歌合戦になってしまったのです。
その時に自分が歌ったのは、地元の豊橋市出身の松平健さんのヒット曲である、「マツケンサンバII」をベースにした、「マコケンサンバ」でした(笑)。
勿論、仮装は松平健さんを意識した金ラメの着物を着用しただけでなく、腰元ダンサーズは地元のガールズ選手が務めてくれました。それもあってか、この歌合戦ではベストパフォーマンス賞をいただきました。
明日の豊橋競輪場のイベントですが、本物の松平健さんが来場されます。予約抽選制となっているステージ観覧は、かなりの倍率だったそうであり、その注目度の高さが分かります。
自分も明日は場内予想会がありますが、松平さんのステージが開催される時間とは、スケジュールが重なっていませんでした。ここは勉強がてら、ステージを見に行かせてもらおうと思っています(笑)。
こうしたイベントの集客力もさることながら、GI開催で豪華メンバーが集結したこともあり、豊橋競輪場には連日のように多くの来場者の方に足を運んでもらっています。
明日も1レースから好メンバーが揃っているだけに、来場される方はバンク内にも注目してください。自分も予想会などを通して、皆さんに競輪を楽しんでもらえるように頑張っていきます。
準決勝には大挙12名の選手が勝ち上がってきた近畿の選手たちですが、決勝にもその半数となる6名が進出してきました。
その並びは①古性選手-④南選手-⑥村田選手と近畿では西側のライン。そして近畿では東側のラインが⑦寺崎選手-⑨脇本選手-⑧三谷選手の並びとなりました。関東ラインが⑤眞杉選手-②吉田選手で、③深谷選手は単騎戦となっています。
準決勝までの三日間を見ていると、調子の良さが際立っていたのが深谷選手です。初日の特選では8番手から鮮やかに捲ったかと思えば、3日目の準決勝も先行した新山選手を交わしきっただけでなく、そのまま1周ほどの距離を踏んでいきながら、2着に残し切った走りは見事でした。
ここでもラインができていたのならば、先行も考えられたかもしれませんが、番手に脇本選手をつけている寺崎選手が、レースの主導権を握っていくのではないかと思います。
寺崎選手と同じように、眞杉選手も先行意欲を持っているとは思いますが、ここは2車となっているだけに、捲りに切り替えてくるはずです。
注目となるのはスタートを誰が取るかとなります。車番的には1番車の古性選手がセオリーとなりますが、眞杉選手だけでなく吉田選手もスタートが早いだけに、関東ラインが積極的に動いてくると見ています。
その場合は古性選手が3番手となりますが、後方となった寺崎選手が抑えに行ったときに、眞杉選手は4番手に引く以外に、番手の脇本選手の横で粘っていく手もあります。
準決勝で眞杉選手は、4車で先行していった近畿ラインの3番手にいた脇本選手を捌ききると、番手捲りをしていった窓場選手の後ろから直線で鮮やかに出していきます。
ラインの先頭を任せられた寺崎選手としては、縦の脚だけでなく、横の動きにも強い眞杉選手に並走されるレースにはさせたくないだけに、後方となった場合には一気に踏み出していくに違いありません。
ただ、4番手になったとしても、眞杉選手の縦の脚は脅威と思っているはずです。しかも、脇本選手が早めに番手捲りを繰り出していったのならば、もう一つポジションが上がります。
かかりきった脇本選手が強いのは間違いありませんが、今大会はそこまで調子も良くないだけに、眞杉選手がそのスピードについて行けたのならば、直線で脇本選手を交わし切れる可能性は充分にありそうです。
古性選手は寺崎選手を相手に先行はしてこないはずでず。だからといって、番手戦もできないので選択肢は捲りだけとなります。
脇本選手と眞杉選手がもがき合いになる展開ならば、深谷選手と共に捲りが決まる展開となりますが、今大会の調子からすると、深谷選手の方が先に抜け出しているのではないでしょうか。
印としては◎⑤眞杉選手で、○が⑨脇本選手。△が③深谷選手で、×が①古性選手です。豊橋バンクは風の強いことで有名であり、特に気温の低いこの時期は、先行選手の前には重い壁が立ち塞がります。
ただ、その壁を切り裂いていく走りができるのが、SS班といった実力者たちです。競輪を初めて見る方にこそ、決勝での力強さと速さを兼ね備えた9名の走りを是非とも見ていただきたいと思います。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。