2021/12/27 (月) 12:00 15
ついに待ちに待った「KEIRINグランプリ2021」だ。
静岡競輪場で12月30日、すべてが決まる。今年、2021年のすべてが、決まる。それは、過去と未来に意味を与える華麗にして、過酷な瞬間だ。
“平原康多(39歳・埼玉=87期)のグランプリ初制覇なるか”…が最大の注目。平原は吉田拓矢(26歳・茨城=107期)ー宿口陽一(37歳・埼玉=91期)の3番手を回る。清水裕友(27歳・山口=105期)ー松浦悠士(31歳・広島=98期)の並びとなった中国タッグに、近畿一人の古性優作(30歳・大阪=100期)は単騎で挑む。
南関一人の郡司浩平(31歳・神奈川=98期)には佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)ー守澤太志(36歳・秋田=96期)がつける。郡司ラインも3車…。「北日本の一人はついてくれるかなと思ったけど、3番手まで回ってくれるとは。グランプリはやっぱり特別なんで、3番手まではどうかと」と後ろに2人ついてくれることで背筋が伸びた。
では、どうする。
昨年は南関ラインで郡司の番手を回った和田健太郎(39歳・千葉=87期)が優勝した。ラインから優勝者が出たことは喜ばしいが、勝てなかったことが悔しいのには違いない。競輪は往々にして、“勝たないと意味がない”と、“勝てなかったが意味がある”に揺れ動く。今の郡司は…。
競輪祭の決勝。単騎の郡司は赤板過ぎの1角で先頭に立ち、レースをリードした。そこからは一つでも前へ、と位置を探った。「グランプリが決まっていた、ってのもあって」と後に話している。とにかく勝ちにいくなら違う戦法を取ったということだ。
かといってただ勝つだけ、の走りはこれまでしてきていない。ましてこのメンバー。今までの自分の走りをぶつけるほかはない。吉田の先行意欲は高いが、清水、古性の動きをみて、また自分で引き出す形でもいい。一度、先頭に立つことは大いに考えられる。それはラインのみんなにチャンスが生まれるということだ。
古性が単騎で同じ動きをする可能性もあるが、その時は位置取りメイン。清水はまず一撃を狙うだろう。関東ラインが一番怖いのは同じ3車の郡司ラインだろう。ここでは、だからこそ後ろの2人にチャンスがある、とだけ書いておく。
ヤンググランプリもドラマが多すぎるくらいだ。それぞれの道は、これからを待とう。今このコラムで書くべきは伊藤颯馬(22歳・沖縄=115期)の確定板があるということ。伊藤のレースぶりはS級に上がってから確かに成長している。しかし、彼が見せるものはもっとあっけらかんとしたものだと思う。
まだ片りんを見せていないこの男が、2022年以降、ファンの心をつかみ続ける一歩目を歩む。2、3着から外さないでほしいのと、1着を少し、おすすめする。昨年3月に取材した時の写真撮影で変顔もしてくれたが、後でその写真を見たカメラマンが「ダメな大学生がする時の顔やな」とつぶやいたことも、ここに記しておこう。
座談会の方で話させてもらったが児玉碧衣(26歳・福岡=108期)の4連覇の可能性は高い。負けパターンが少ない、また生まれづらいのがその理由。とはいえ、そうはさせじの渋みある選手が揃った。
尾方真生(22歳・福岡=118期)がレースを作りにいくが、その一手先、または後の先で勝負をかける選手がいるかどうか、そこに注目してほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。