2025/10/30 (木) 12:00 39
ランキングが大変なことになってきた。10月26日に決勝を行った「寛仁親王牌・世界選手権記念」は嘉永泰斗(27歳・熊本=113期)がGI初優勝を手にした。賞金ランキング的にはやや離れていたところからの優勝で、グランプリへの出場権のボーダーがひとつ上がった形になる。10月31日〜11月3日に行われる四日市競輪場で「開設75周年記念 泗水杯争奪戦(GIII)」を前に、ボルテージがさらに高まる。
脇本雄太(36歳・福井=94期)、寺崎浩平(31歳・福井=117期)、吉田拓矢(30歳・茨城=107期)と嘉永がGI優勝の有資格者で、GI優勝はなくともランキングトップの古性優作(34歳・大阪=100期)や、眞杉匠(26歳・栃木=113期)、郡司浩平(35歳・神奈川=99期)、南修二(45歳・大阪=88期)と数えると8人。次が深谷知広(35歳・静岡=96期)になり、南とは10月29日時点で約2千万円の差がある。
加えて、深谷に対し寬仁親王牌準優勝の松本貴治(31歳・愛媛=111期)、新山響平(31歳・青森=107期)、犬伏湧也(29歳・徳島=119期)が迫る位置にいる。競輪祭は準優勝が2,554万円で、3位が1,667万円。南の斡旋が11月4〜6日の大垣FIで、今回深谷が優勝すれば差はまた縮む。妄想が、膨らむ。
古性と寺崎からすれば、今大会を自分たちが優勝すれば、他の地区に賞金で上積みされない。「南さんのために」と外から見ていると考えがちだ。逆から考えれば追加で参戦となった根田空史(37歳・千葉=94期)が「深谷や岩本さんのために」も想像したくなる。岩本俊介(41歳・千葉=94期)としても、昨年のように最後の椅子をあきらめる必要などないところにいる。今回の優勝と競輪祭準優勝で3千万円を超えるのだ。
と、現実的ではなくとも、可能性のあるパターンをどれだけでも想定できる。年によって違っても、やはり毎年が熾烈な争いになる。考えるだけで脳みそがシチューのようにとろけてくる。
「On my own…here we go」
ロックバンドGreen Dayの「Brain Stew」が脳裏に浮かぶわけだが、やはりしかし「On my own…here we go」。「自分の力で、やるっきゃない!」なのだ。ただ何よりこうした妄想は楽しいものである。
とにかく今大会は古性、眞杉、岩本、犬伏に落車後の松浦悠士(34歳・広島=98期)も参加してS班が5人。そこに深谷や嘉永がいて寺崎がいて、寬仁親王牌で強かった山口拳矢(29歳・岐阜=117期)と河端朋之(40歳・岡山=95期)の名前もあり、そして地元の浅井康太(41歳・三重=90期)、はたまた森田優弥(27歳・埼玉=113期)…。
すでにトップ選手たちの豪華シチューの出来上がりだ。一気に気温が下がり、冬が見えてきた時期にはもってこいだろう。火傷しないように気をつけてほしい。
中でも注目は犬伏だ。寬仁親王牌の決勝は、悔やんでも悔やみきれないものとなってしまった。中3日、食べるものは味もしなかっただろう。2年前にも同じような苦しみを味わったのだが、もう一度はい上がるしかない。はいつくばってでも、前に進むしかないのだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。