アプリ限定 2021/12/26 (日) 20:00 8
日々熱い戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。競輪記者歴12年の松本直(まつもとすぐる)記者がガールズ選手の魅力をたっぷりお届けします。
お待たせしました! 本年度もガールズグランプリ2021出場選手を全2回に渡ってご紹介します。今回は「東日本編」、東京支部から参戦する小林莉子選手、石井寛子選手、高木真備選手を紹介していきます。
小林莉子は6年ぶり3回目の挑戦。小林にとってグランプリは「やっと戻れた場所」だ。
小林はガールズケイリンの1期生として、2012年7月にデビュー。同年12月28日には初めて開催された第1回・ガールズグランプリ(京王閣)に出場。加瀬加奈子の番手へ飛び付き、直線一気の差し脚を発揮して優勝した。
2回目の参戦は15年・第4回(京王閣)。小林優香-石井寛子のまくりに食い下がり3着と、出場している年度は好成績を残している。しかしここ数年は苦しい思いをしてきた。
14年岸和田、16年立川、19年立川と補欠を3回も経験している。グランプリを勝つことの喜び、難しさ、グランプリに出られない悔しさをどのガールズケイリンレーサーよりも知っているはずだ。
今年は1年間、計画的にレースへ参加。目的・目標を明確にして戦い抜いた。出走回数93回、1着回数53回は自己ベスト。年間優勝回数11回は17年と同じ回数だ。差し、まくりの自在戦を極めるため、練習に打ち込み、体は一回り大きくなった。弱点だったパワーとダッシュ力は補えている。
Sの速さはガールズケイリントップレベル。好位確保からの差し勝負を基本に何でもありの総力戦でガールズケイリン2回目の優勝を目指す。
ガールズグランプリの歴史は石井寛子の歴史でもある。
2012年の第1回は日本競輪学校104期在学中のため出場することができなかったが、プロデビュー後は第2回から毎年グランプリへ参加している。
グランプリの優勝は17年・平塚の1回だけ。勝負ところでインを切って先行に勝負に出た奥井迪の番手に飛び付き勝負。長沢彩との並走を内でしのぐと、直線は逃げ粘る奥井をきっちり捕らえて栄冠をつかみ取った。ここ3年のグランプリでは大きな着が続いているが、今年の石井は一味違う。選手生活9年目で自己ベストを更新し続けた。1着回数74回、優勝回数24回はキャリアハイ。積み重ねの練習で弱点を克服。あらゆる展開に対応できる脚力を身に付けた。
グランプリトライアルができてからは小倉を走ってガールズグランプリへ直行。計画的に練習と体のケアをすることが既定路線だったが、今年は変化を求めた。グランプリトライアル直後に別府ナイターを走り、レース間隔を適度に保った。
石井のセールスポイントはレースを読み解く力。別府を走ったことでレース勘はばっちり。Sの速さを味方に好位をキープして差し脚勝負で2回目の栄冠を狙う。
高木真備は滑り込みで2年連続5回目のグランプリ出場を決めた。今年はスタートダッシュに失敗。スロースタートになってしまった。3月のコレクションで落車。4月はあっせんしない処置と流れに乗れなかったが、1カ月の休養期間に基礎練習をみっちり行い、底上げに成功。ビッグレースで結果を残すことはできなかったが、獲得賞金ランキング4位で出場権を手にした。ガールズケイリンを席巻する東京五輪仕様のフレームにいち早く乗り出して、一体感を求めた。その結果、後半戦は1着を量産。グランプリトライアル優勝で好枠ゲットとはいかなかったが、上昇ムードで本番を迎えることに成功した。
今年は3年前のグランプリと同じ黄色の5番車で参戦。3年前はスローペースの中、最終ホーム過ぎからカマシ先行を敢行。児玉碧衣にまくられたが3着に逃げ粘った実績がある。静岡は今年1月、3月に走って、ともに完全優勝。バンクとの相性は抜群だ。逃げ、まくり、差しと何でもできる強みを生かして、悲願のグランプリ初優勝を目指して行く。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。