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すっぴんガールズに恋しました!

【パールカップ予想】選考順位が勝ち上がりのカギ!GI初登場の仲澤春香は4位、19位の児玉碧衣はどうなる?

アプリ限定 2025/06/14 (土) 12:00 12

岸和田競輪場で6月17日から19日に行われるガールズケイリンGI「パールカップ」。見どころや出場選手の近況を、デイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。

ガールズも東西戦!

 2025年第2弾のガールズケイリンGI戦「第3回・パールカップ」が6月17日から19日の3日間で争われる。パールカップの特徴は東西対抗戦。1日目の予選、2日目の準決勝までは、東西別で行われる。

 第1回は西日本の児玉碧衣、第2回は東日本の石井貴子(千葉)が優勝。今年の優勝賞金は590万円(副賞込み)だ。GI優勝の名誉と、年末の平塚ガールズグランプリ出場権を懸けた熱いバトルが開幕する。

2024年パールカップ(撮影:北山宏一)

勝ち上がりを左右する『選考順位』

 まずは選手選抜方法のおさらいから。選考期間は2024年10月から2025年3月末までの6か月間で、①ガールズグランプリ2024の1〜3着(石井寛子、佐藤水菜、尾崎睦)、②パリ五輪自転車競技トラック種目代表選手(太田りゆ、佐藤水菜)が優先的に選抜される。一番の肝となるのは③上記を除く東西別平均競走得点上位者で、東西それぞれ14人ずつが選ばれた。

 選考順位は東西14人ずつを選抜した後、選考期間内の平均競走得点順に1から28まで序列が付けられている(ガールズグランプリ1〜3着は3人の中で序列を付ける)。

 7車のガールズケイリンはとりわけ、勝ち上がりには選考順位が重要だ。予選4着は東西それぞれ1人が準決に進出し、1人は敗退となってしまう。たとえば予選4着のA選手は選考順位1位、B選手は選考順位2位ならば、A選手が準決に進み、B選手は選抜回りだ。

 準決4着も1人は決勝に進み、もう1人は敗退だ。ここで大事になるのは予選の着順で、たとえば準決4着のC選手は予選1着、D選手は予選2着ならば、C選手が決勝へ、D選手は特選へと振り分けられる。もし予選の着順が同じ場合は選考順位上位者が決勝進出となるため、選考の時点で戦いはすでに始まっていると言えるかもしれない。

 それではさっそく、東日本の展望から見ていこう。

佐藤水菜は6年ぶりの岸和田

 東日本の選考順位1位は佐藤水菜。4月のGIオールガールズクラシック(岐阜)を優勝し、すでにグランプリ出場を決めている。5月はナショナルチームの活動に専念。競輪への出場はないがジャパントラックカップに出場しており、状態に問題はない。

佐藤水菜(撮影:北山宏一)

 実は佐藤はパールカップ初出場。普通開催での岸和田参戦は過去2回のみで、18年9月は2、2、6着。19年5月は1、1、1着の完全優勝だった。

 今のガールズケイリンでは逃げてもまくっても脚力上位なのは明らかで、6年ぶりの岸和田といっても心配材料は少ないだろう。「今年はタイトルを全部獲る」とグランドスラムを目指しているだけに、初参戦のパールカップも集中力を高めて全力で優勝を奪いにいく。

梅川風子もパールカップ初出場

 佐藤水菜の対抗格となるのが梅川風子。昨年10月の世界選手権でナショナルチームの活動に区切りを付け、以降はガールズケイリンに専念。同年12月の京王閣で落車して胸椎を圧迫骨折したが、4月のGIオールガールズクラシックも準優勝とケガの影響は全く感じさせない。

 今年の優勝回数はここまで8回と順調。賞金でもグランプリ出場を狙える位置にはいるが、GI優勝でのグランプリ出場を目指している。前記の佐藤水菜と同様にパールカップは初出場。直前の富山もきっちり優勝と結果を出しているだけに、いい流れで乗り込むこととなりそうだ。

梅川風子(撮影:北山宏一)

攻撃力UPの太田りゆ、前回覇者の石井貴子

 太田りゆもGI初優勝を狙っていく。昨年8月のパリ五輪までナショナルチーム所属だったため、パールカップは初出場。岸和田バンク登場も初参戦と初物づくしだが、今の太田は攻撃力が上がっている。

 まくりの精度は的確で、今年はここまで43走して1着34回、優勝7回と安定感抜群だ。昨年11月の競輪祭女子王座戦は準優勝。GI初優勝へ向けて自慢のダッシュ力に磨きをかける。

太田りゆ(左)、石井貴子(撮影:北山宏一)

 石井貴子はディフェンディングチャンピオンとして岸和田に登場。パールカップは昨年GI初出場で初優勝を果たした思い出の舞台だ。

 決勝は奥井迪の打鐘過ぎのカマシにぴったり追走。最終4角を絶好の番手で回ってくると、ゴール前で差し脚を伸ばして1着。久しぶりにビッグレースで存在感を示した。レース、練習中の落車が続いた時期もあったが、ようやく完全復活してグランプリ出場も果たした。今年はここまで優勝4回と物足りないが、連覇へ向けて勝負強さを発揮していくはずだ。

走りまくる久米詩、差し脚軽快な小林莉子

 久米詩は年頭から強行日程の追加も受けて白星を量産。賞金ランキングも4位とグランプリ出場を狙える位置にいる。パールカップは2年前の第1回で準優勝と相性のいい大会だ。

久米詩(左)、小林莉子(撮影:北山宏一)

 小林莉子も安定感が抜群だ。今年は特に差し脚が軽快。4月のオールガールズクラシックでも決勝進出と調子は上向きで侮れない1人だ。

石井寛子は状態上向き、尾崎睦も好気合

 昨年のグランプリチャンプの石井寛子はここまで思い通りの成績を残せていないが、そこまで心配はいらない。今年の前半はグランプリチャンプとして、ガールズケイリンの普及のためにイベント出演などを数多く受けてきた。その影響で練習量が減ったことは事実だが、それもオールガールズクラシックが終わり一区切りしている。

 元の練習量に戻ってからは5月は武雄、玉野と連続優勝。修正力はさすがの一言だ。パールカップは2年連続予選敗退と相性の悪い大会だが、岸和田での普通開催は優勝4回と相性は悪くない。まずはパールカップ初の予選突破へ初日から全力投球の構えで挑む。

石井寛子(左)、尾崎睦(撮影:北山宏一)

 尾崎睦も好気合。今年のガールズグランプリ開催地は尾崎の地元平塚のため、絶対に出場権を取りたいところだ。昨年は3回のGIすべてで決勝進出と結果を出した。今年はGIオールガールズクラシックで準決敗退と悔しい思いをしただけに、パールカップでは結果を出したい。昨年後半から梅川風子の元へ出稽古に行き、脚力アップに励んでいる。練習の成果を発揮して、まずは決勝進出を目指す。

ニュースター仲澤春香がGI初出場

 ここからは西日本。ニュースター仲澤春香がついにGI初参戦だ。昨年5月に富山でデビューし、同年8月函館から今年の1月大宮まで10場所連続優勝(11月防府・単発レースルーキーシリーズプラスを含む)と圧倒的な成績を残した。

 3月伊東のフレッシュクイーンは熊谷芽緯に敗れ2着だったが、選考期間(2024年10月〜2025年3月)は24走して23勝。平均競走得点は西日本の1位だ。東西合わせた選考順位もグランプリ1〜3着の(石井寛子、佐藤水菜、尾崎睦)に次ぐ4位で選出され、初のGIは期待が高まるばかり。

 ナショナルチームで鍛えた脚力はガールズケイリントップクラスであることは間違いなく、初のGIでどんなパフォーマンスを発揮するか注目だ。特にガールズケイリンを引っ張ってきた児玉碧衣との初対戦となればワクワクが止まらない。

児玉碧衣(左)、仲澤春香((撮影:北山宏一)

復調急の児玉碧衣は選考19位

 その児玉碧衣は急スピードで復調している。昨年後半の競輪祭女子王座戦、ガールズグランプリの敗戦で一時はどうなることかと思ったが、ここにきて本来の爆発力を取り戻した。今年はここまで優勝9回、39走して35勝と賞金ランキングは定位置の1位に返り咲いた。4月のGIオールガールズクラシックも準優勝と本来の輝きが蘇っている。

 選考期間内のGI競輪祭女子王座戦(763着)、ガールズグランプリ(5着)での大きい着順が響き、一時は選考落ちの可能性もあった。最終的な選考順位は19位(西日本の10位)と苦しい位置からのスタートとなるが、今の児玉碧衣なら問題ないと見る。パールカップは2023年の第1回大会で優勝。初対戦になる仲澤春香とのスピード比べは目が離せない。

初のGIタイトル狙う坂口楓華

 坂口楓華は今年も快進撃を続けている。昨年末のガールズグランプリは佐藤水菜を叩いて先行勝負。ゴール前で末脚を欠いて4着となったがレース内容は力強く勇ましかった。

 今年は初戦の豊橋で完全優勝からスタート。以降も1着を量産。優勝は12回、競走内容は44走して、1着が38回、3連対率は97.7%と抜群の安定感を誇っている。ここまで賞金ランキングは2位。このまま順調に走り続ければ年末のグランプリ出場は明確に見えてくるが、坂口としてはGI優勝をしっかり見据えている。

 GIでの戦歴に限れば、決勝進出は2023年6月のパールカップ(3着)、同年11月の競輪祭女子王座戦(4着)の2回しかない。まずは決勝進出、そこから優勝だけを目指して自力を繰り出す。

坂口楓華(撮影:北山宏一)

上昇気配の山原さくら、尾方真生の逃げ勝負に期待

 パールカップに向けて気配が上がってきた山原さくら。4月のGIオールガールズクラシックは準決で敗退したが、5月の小倉から積極的な組み立てが目立っており、小倉、高松、防府と3場所連続完全優勝と力強さが出てきている。

 2024年10月に高知から防府へ移籍。山口支部はガールズケイリン選手が7人の大所帯で練習環境も抜群だ。パールカップは昨年も決勝進出と結果を残している。山原らしい豪快は自力勝負がハマったときには高配当を演出してくれるはずだ。

 尾方真生は今年優勝9回と安定して結果を残しているが、GIでの戦歴はイマイチ。4月のオールガールズクラシックでは775着と車券に絡むことができなかった。

 この悔しさを晴らすため、今回のパールカップで暴れたい。尾方の魅力は圧倒的な先行力。普通開催では別線から警戒されるためまくりが主戦法になるが、ビッグレースならマークは薄くなる。主導権を握って、他の6人をまくらせない逃げ切りに期待してみたい。

山原さくら(左)、尾方真生(撮影:北山宏一)

前回の決勝本命・當銘直美、大会相性◎の柳原真緒

 當銘直美は昨年のパールカップでブレイク。西日本予選では児玉碧衣後位を初手から主張して完璧な追走を決めて、ゴール前で差し切り1着。西日本準決勝も児玉碧衣の後ろにこだわり、シャープなタテ脚を発揮し連勝で決勝へと勝ち上がった。

 決勝は1枠を勝ち取り、2車単、3連単も1番人気に推されたが、尾崎睦後位で柳原真緒との併走で脚を使い5着に敗れた。パールカップの悔しさはパールカップで晴らすしかない。今年はここまで4月福井の優勝1回だけだが、大一番に向けてきっちり仕上げてくるはずで侮れない。

 柳原真緒も気配が上向き。今年はスロースタートだったが、4月のオールガールズクラシックで決勝に乗ると、5月は岸和田、函館と2場所連続で完全優勝と波に乗ってきた。直前に岸和田で結果を出している点も強材料で、パールカップは2年連続で決勝進出と大会相性も良い。自在に動ける強みを生かしてまずは3年連続の決勝進出を目指していく。

當銘直美(左)、柳原真緒(中央)、大久保花梨(撮影:北山宏一)

GI切符掴んだママレーサー大久保花梨

 注目選手は大久保花梨。このパールカップがGI初出場となる。2023年4月武雄出走後から産休に入り、2024年8月の武雄で復帰。選考期間内できっちり結果を出してGI出場権を自分の力で勝ち取った。

 産休中だった2023年の第1回パールカップも出場権を持っていただけに、今回は奮起の大会にしてほしい。今年は2月大垣、5月豊橋で落車しているが大事に至らずレースに復帰。直前の玉野も決勝2着と好走した。ママさんレーサーとしてGIでどこまで活躍できるか大いに期待したい。


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松本直

千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。

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