2022/01/02 (日) 15:00 8
競輪解説者として活躍中の方々に2021年の名勝負と2022年に期待するイチオシ選手を挙げていただくお正月企画。第1回はnetkeirin連載コラム「伝説ヤマコウ 炎のレース展望」でおなじみの山口幸二さん。印象に残ったレースと期待する選手は!?
昨年1番印象に残ったレースは、5月の京王閣ダービー決勝戦。
優勝は松浦悠士だったが大接戦のゴール。松浦と2着の郡司浩平、3着の佐藤慎太郎との差は「微差」だった。
先手を取ったのは清水裕友。番手から松浦が抜きに行く外を郡司が踏み、その後ろから慎太郎が外を警戒する松浦の内側にコースを取った。勢い的には佐藤慎太郎が突き抜けるかに見えた。しかし、スピードに勝る慎太郎に、松浦は肘を掛けて勢いを止めハンドル投げ。微差で松浦が優勝。慎太郎は一瞬優勝したと思ったことだろう。
松浦はただ展開に恵まれて優勝したわけではない。郡司を外に踏んで集中力を縦だけに向けさせず、かえす刀で慎太郎に肘を掛ける。松浦の類い稀な捌きが優勝を引き込んだ。
番手まくりが主流を占める現代レースで、松浦は数少ない横のテクニックを兼備した自力選手だ。大味な競輪に一石を投じて欲しい。
2022年に期待する選手に嘉永泰斗(113期・熊本)を挙げる。
21年の嘉永は10月に行われた熊本記念(久留米競輪場)を優勝し一気に注目を浴びた。決勝戦が先輩の北津留翼(90期・福岡)の番手から優勝したことも話題を集めた。
その後の嘉永は、自分の走りができていないように見える。例えば四日市GIII準決勝。その節の走りを見れば、北津留の方が出来がいいのは明白だった。しかし熊本GIIIの件があるので前を周り、2周先行を試みて両者共に失敗。北津留が前を回った方が可能性があったように思う。
私は、嘉永の魅力は捌きもできて先行もできることだと思う。熊本GIIIのインパクトが強すぎて、とにかく北津留が付いたら先行しか考えていない。そこに囚われず北津留とワンツーを目指し、もっと大事なところで恩返ししたらいい。そこのメリハリが分かるようになったらさらに伸びるだろう。
【嘉永泰斗選手の2022年1月出走予定】
12/31〜1/2 岸和田(FI)
1/9〜1/12 和歌山GIII・和歌山グランプリ
1/7〜1/19 奈良(FI)
第2回の公開は1月3日・吉井秀仁さんです。
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