2021/11/09 (火) 15:00 14
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
四日市競輪開設70周年記念GⅢ泗水杯争奪戦決勝メンバーが出揃いました。
地元勢からは浅井康太のみ。今の中部地区の層の薄さを感じざるを得ません。決勝メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①浅井康太(90期・三重)
④岩本俊介(94期・千葉)ー②郡司浩平(99期・神奈川)ー⑨内藤秀久(89期・神奈川)ー⑥中村浩士(79期・千葉)
⑦古性優作(100期・大阪)ー③稲垣裕之(86期・京都)ー⑤東口善朋(85期・和歌山)
⑧坂井洋(115期・栃木)
南関4車が並びました。中村浩士が一歩引いたからこそ成し得た並びです。準決勝の内藤秀久も、岩本の番手を戦法で悩む嶋津拓弥(103期・神奈川)にチャンスを与えました。嶋津は決勝こそ逃しましたが、何か感じるものはあったでしょう。
南関4車並ぶとはいえ、37歳の④岩本がぶん回して後ろの南関勢に貢献…というレースではないと思います。理想はかまし先行。①浅井が単騎なので、②郡司を擁する南関勢は前からレースを進めることができます。
対して⑦古性先頭の近畿勢も理想は前だと思いますが、車番的に後ろ攻めになるでしょうね。
単騎の選手は混戦待ち。⑧坂井は、同地区の先輩阿部太樹(94期・埼玉)から「自分の得意パターンでやればいい」とアドバイスを受けて、準決勝で鮮やかな捲りを決めました。阿部も戦法で苦しんだだけに、坂井の心に響くものがあったのだと思います。決勝は前受けで優勝を目指します。
S.⑧ ④②⑨⑥ ① ⑦③⑤
まず、後ろから⑦古性が動いてレースを動かします。④岩本の突っ張り先行はないと考えました。
④②⑨⑥
打鐘.⑦③⑤ ① ⑧
南関勢は一度引いて反撃の機会を伺います。
今節の④岩本は超抜の仕上がりです。打鐘3角過ぎに仕掛ける、⑦古性も併せにかかるでしょう。
④②⑨⑥
H. ⑦③⑤ ① ⑧
後ろからスピードを乗せてかますのと、前でダッシュしてトップスピードに乗せるのでは前団が不利です。しかし、⑦古性には類い稀な横の技術があるので、出られたら番手、3番手に飛び付くはずです。
ここで思い出して欲しいのは9月に行われた松阪記念決勝です。このレースは、宿口陽一(91期・埼玉)が平原康多(87期・埼玉)を連れて先行濃厚と考えられました。
しかし、埼玉勢に主導権を取られてしまうと単調なレースになるので、郡司浩平や清水裕友(105期・山口)がレースを面白くしました。
結果、脚をためて混戦を捲った浅井が優勝しましたが、ラインもなく展開を作る役割は期待されていませんでした。
この決勝もそのような展開になると思います。
B. ②⑨⑥ ←⑧
④⑦③⑤ ①
展開を見る①浅井、9番手から捲る⑧坂井、④岩本の後ろは混戦です。
この展開から導かれる狙い目は
①=⑧ー④②⑦⑤
南関勢のかまし先行が決まったら②郡司有利です。
②ー④ー⑨⑦⑤⑧①
①浅井は今回の有観客レースで「声援が凄かったので、あと一歩の力を引き出してくれる」と語っていました。声援がいかに背中を押してくれるか、無観客を経験したからこそ感じたことだと思います。
さて、どんなレースになるでしょうか。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。