2021/11/03 (水) 12:00 2
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
防府競輪開設72周年記念周防国府杯争奪戦決勝を迎えました。
「4連覇しか狙ってない」という清水裕友が決勝まで進みました。
準決勝の清水は、町田太我(117期・広島)の番手から、町田を見切って最終2角でイン捲り。レース後のインタビューを苦渋に満ちた表情で応えていたのが印象に残りました。
バックで町田を切り換えた判断がいかに難しいものだったか。
「町田も残したかったが、自分も決勝に乗らなければいけない。そして、練習仲間の山下一輝さんも決勝に乗せたい。町田に申し訳なかった…」という気持ちが伝わってきました。スカッとしなかった方もモヤモヤが晴れるインタビューだったと思います。「あー、清水も苦しい判断だったんだな…」と。
場数を踏んでいる清水の判断さえも狂わすのが地元記念です。このプレッシャーの中4連覇を目指します。
メンバーとライン構成は以下の通り。
⑥宮本隼輔(113期・山口)ー①清水裕友(105期・山口)ー山下一輝(96期・山口)ー⑨柏野智典(88期・岡山)
②小原太樹(95期・神奈川)
③諸橋愛(79期・新潟)
⑦小倉竜二(77期・徳島)
⑧阿部拓真(107期・宮城)ー⑤和田圭(92期・宮城)
ラインが出来たのは⑥宮本と⑧阿部で、実質2分線の様相です。
今の競輪は、かまし先行が主流なので前を取る選手はかまし先行が出来なければ後方に置かれます。
決勝は2分線、前を取るラインが最終的にかませます。⑥宮本の得意戦法はかまし、まくりなので車番的に前受けができます。
S.⑥①④⑨ ② ③ ⑧⑤ ⑦
後ろから攻めるのは⑧阿部ですが、抑えて駆ける気持ち(先行)がないと⑥宮本にかまされて終わります。⑧阿部は先行して、混戦を期待するしかありません。単騎の選手が切り換えて宮城勢に続こうとするでしょう。
問題は、宮城勢の後ろに誰が入っているのか?
有力なのは②小原と③諸橋です。インが空いて入るなど細かいことを抜きにして、私は②小原で考えます。
地元戦(寛仁親王牌)が終わり、決勝入りしたことで一息つける③諸橋に対して、これから追込みで売り出そうとする②小原ではGIIIに対するハングリーさが違うというのが理由です。
←⑥①④⑨
打鐘.⑧⑤ ② ③ ⑦
ラインの先頭を比較すると⑥宮本のデキの良さが目立ちますが、⑧阿部のデキも相当いいです。⑥宮本が力の差を見せて先行…というスマートな形では終わらないと思います。
山口勢に出られて終わるのは宮城勢だけでなく、②小原や③諸橋も同じなので、横に動いて⑥宮本を牽制するでしょう。
⑥宮本が出切っても①清水は付けると思いますが、④山下や⑨柏野が付いていくのは苦しいです。①清水の後ろに⑤和田②小原③諸橋が入っていることも考えた方がいいと思います。
B.⑥①④⑨
⑧⑤ ② ③ ⑦
本線は①清水中心
1ー4ー652
④山下が追走できないことも考え
1ー5ー237
①清水が絡まないレース展開は、⑤和田が⑥宮本を大きく牽制して①清水も一緒に外に膨らむパターンです。
その時チャンスが訪れるのは⑤和田、②小原、③諸橋でしょう。
5=23ー723
優勝は狙ってできるものではありませんが、①清水が絶対的に有利なのは言うまでもありません。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。