2021/11/23 (火) 15:30 12
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
朝日新聞社杯競輪祭決勝メンバーが出揃いました。
この大会で今年の静岡グランプリメンバーが決定するので、ボーダー上の選手は必死に戦います。その気持ちにファンが動かされ、いつもと違った熱気となって選手に伝わります。
特に今年は、有観客の開催なのでファンの皆さんも現場を楽しんでいるように感じました。
私は拳矢のこともあるので、いつもと違う緊張感で現場入りしましたが、やっぱりプロの世界は厳しいと思いました。
「出る杭は打たれる」と言う諺があるように、先輩選手も必死で戦おうとします。「こいつにだけは負けられない」の強い気持ちがレースから感じました。その緊張感が、レースを面白くするのは言うまでもありません。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①北津留翼(90期・福岡)ー④園田匠(87期・福岡)
②郡司浩平(99期・神奈川)
③松浦悠士(98期・広島)
⑤新山響平(107期・青森)ー⑧渡邉一成(88期・福島)
⑦吉田拓矢(107期・茨城)
⑨古性優作(100期・大阪)ー⑥山田久徳(93期・京都)
単騎選手が3人で難しいレースになりました。
本格先行は⑤新山響平。新山がかましで主導権を握るのか、それとも後ろ攻めで主導権を取るのか、まずそこがキーポイントですね。
彼の持ち味はトップスピードが高いことに加え、ダッシュがあることです。決勝は、後ろ攻めをして⑧一成が狙われ混戦になるより、イチかバチかのかまし先行で優勝を狙いに行くと考えます。
S.⑤⑧ ② ③ ①④ ⑨⑥ ⑦
後ろ攻めが⑨古性。彼はGPが確定しているので、先行も視野に入れて⑤新山を叩くと思います。
⑦吉田のGP出場条件は②郡司、③松浦、⑨古性が優勝して自分が4着に入ることです。この条件はかなり厳しい。結局は自ら掴まないとGPは難しいですね。
⑨古性が動くと⑤新山は8番手まで引くと思います。位置取りが甘い①北津留の所にも粘らないと思います。
←⑤⑧
打鐘.⑨⑥ ② ③ ⑦ ①④
この態勢で⑤新山が反撃の機会をうかがいます。そして打鐘過ぎにスパート! ⑨古性も飛び付きを含め全力で併せに行くと思います。
H.⑤⑧ ② ③ ⑦
⑨⑥ ①④
⑤新山が⑨古性を叩くと、②郡司③松浦⑦吉田が捲りに行くでしょう。
今節の調子を加味すると、⑤新山の先行をまくれるのは②郡司に絞られます。まくる②郡司の後ろにいるのは車番的に③松浦だと思います。
狙い目は
3=2ー14689
準決勝の松浦は、取鳥雄吾の先行に乗って1着を取りました。
③松浦は、自力が不調でも横の技術があるので何とか凌いできました。「スピード競輪なので横は流行らない」という言葉を聞きますが、日本の競輪は横ができて初めてスピードが生きるのです。ここを履き違えると、大事なレースほど狙われやすくなります。
②郡司や③松浦⑦吉田は、自力があって横の技術もあるので単騎になっても好位が回れるのです。
(今回の狙い目には私情がかなり入っています。ご注意下さい)
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。