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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

【尾張の龍・葛藤】煙の向こうから聞こえてきた言葉は「タツは目立ちたがりなんだろ?」

2021/10/26 (火) 19:00 10

9月開催の和歌山、10月開催の平塚、防府と常に苦しそうな表情を見せていた近藤龍徳選手。3開催で11走し、実に6度確定板を捉えているが、レース後に何度も首をかしげ、納得していない姿が印象的でした。

 netkeirinをご覧の皆さま、近藤龍徳です。前回のコラムの後は和歌山、平塚記念、防府と走りましたが、その次の福井は欠場。手応えもなく、リズムも悪く、なかなか納得できない状態が続いてます。今回は結果にきちんと向き合ってみようと思います。

メンタルとフィジカルの歯車がうまく嚙み合わなくとも号砲は鳴る(撮影:島尻譲)

やりたかったことはひとつ

 まず9月の和歌山。初日特選は最終ホームからかまし先行に出て、久々にバックが付いた。初日特選ということで、先行屋がいないのは事前に分かっていた。先輩の笠松さんに任せてもらえるとなれば、もうやりたかったことはひとつ。

 笠松さんは、熱い人。去年の競輪祭の5日目、竹内雄作さんと笠松さんと3人の番組。点数のないオレに笠松さんがかけてくれた言葉が「タツが番手回ってみろ」。すごく熱くなったことを覚えている。

 “これが競輪”なんて言葉で観ている人に押し付けるつもりはないけど、行くべきところで覚悟を決めて行くのが、オレの流儀。覚悟は決まっていたが、“行っただけ”になった。笠松さんが6着で、オレが7着。文字通り“行っただけ”になってしまった。あんなのだったら誰でもできる。先行じゃなくて先攻したに過ぎない。最終日は捲って1着。決まり手・気合い。以上。

状態の『ヤバさ』を自覚する

どんなことを考えていたのか、10月開催はまるで笑顔が少かった(撮影:島尻譲)

 平塚記念は何かきっかけを掴みたいと力を入れていた。初日に飛んで、あっさりと終わった。その後の4走はレース内容も着も“なんとなく”まとまった感じだった。理由もよくわからず、なんとなく“最悪じゃない結果”っていうのはヤバい証。

 悪いなりに成績や結果をまとめる能力が上がっているような気がして、それには本当に危機感を持つ。悪いなりにまとめる力って、選手のスタイルによっては必要なのかもしれないけど、オレはそんなの1ミリも欲してない。ただただ違和感が残ってる。要らねえ。

体の状態も悪くなく、着も悪くない時こそ、危ない状態だという(撮影:島尻譲)

 その後の防府は決勝に進み4着。でも着以上に手応えがないまま開催が終わった。中3日で福井のあっせんが入っていたが欠場した。本来のオレなら勝負を重ねて勝負勘を研ぎ澄ましていくけど、大事をとっての判断。次の大宮、競輪祭に気持ちは向いているから、心配ご無用。

 このコラムを読んでくれる皆さんご存じの通り、冬のオレは弱い(笑)。でも競輪は年中あるものだから「この季節は苦手」とかダメなんだけど、こればかりは嘘をつけない。毎年冬の気配を感じると「ヤバい」と思うんだけど、今年はそれが早い。この時期にもう「ヤバい」って感情を自覚してしまっている。10月でこれでは先が思いやられる。まずい。今年の秋はどこに行ったんですか(笑)。

確定板でもその表情は険しい。何度も首をかしげていた近藤選手(撮影:島尻譲)

きっかけを探したい

 テンションが上がらない時は、いつもどうしてただろうと考えた。

 競輪に対してもプライベートに関しても格好良くいようと心がけれていたはずだ。今のオレはどうだ? 練習をした。レースを走った。それくらいの感想しか無い。普通に練習して普通にレースを走る。プロとして最も大切で当たり前なこと。それを言い聞かせて飲み込んでも、オレにとって当たり前の普通が一番退屈でおもしろくないんだ。

「これでいいんだ」って言葉が頭に浮かぶオレは、本当につまらない近藤龍徳になっているんだと思う。いつも大きなことを言っているこんなオレでも自分はどうあるべきかで迷走することがたまにある。嫌いなんだ。この弱気な自分が。

「最後は自分自身」とわかりながらもきっかけが欲しくて、吉田敏洋さんに「ご飯連れてってください」と連絡したのが10月の頭。レース後の打ち上げとかもコロナで一切なくなったこの2年弱。打ち上げならまだしも、プライベートでご飯に行きましょうなんて言ったことがなかったからビックリしたと思う(笑)。

 焼肉屋で敏洋さんは何回も何回も「お前には耳の痛い話かもしれないけど」と優しく前置きをしてくれてから、今のオレに足りないモノをズバッと言い切ってくれた。すべて見透かされてるようだった。

「お前は自分で自分にちゃんとプレッシャーをかけれていたはず。むしろそれを楽しんでるくらいだったろ? 常に周りに見られていることを忘れるな。今のお前はビビり過ぎなんだよ」。そうです。忘れてました。敏洋さんは最後にこう言った。「タツは目立ちたがりなんだろ?」その言葉を言われた瞬間、目がうるんだけど、あれはホルモンの煙のせいだったと思う(笑)。

今月の近藤龍徳語録!!

終着駅は頂点

 途中下車の予定なし。握りしめてるのは行き先が頂点の片道切符。

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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

近藤龍徳

Kondo Tatunori

愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。

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