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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

【尾張の龍・理由】ただひとつ大事にしていること、競輪選手としての振る舞い

2021/09/19 (日) 20:00 9

9月は松阪競輪『蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)』に出場した近藤龍徳選手。今回のコラムでは、大切にしている『競輪選手としての振る舞い』について書いてくれました。レースの振り返りとともにお送りいたします。

 netkeirinをご覧の皆さま、近藤龍徳です。

 前回のコラムの後は松阪記念を走ってきました。自分が求めてる結果は出なかった。感じが良かっただけに悔しさが残る。

小田原記念を欠場

 松阪の前に小田原記念のあっせんがあった。オレは体調を崩してしまい欠場。オレにとって1年のすべてをかけている『オールスター競輪』で燃え尽きてしまった。年間を通して良いコンディションを保てないのがオレの弱さ。

 小田原記念の開催中に体調が戻り、すぐに調整を開始した。「松阪に間に合わせてやる!」と意気込んだ甲斐あって、松阪出発前には結構いい感じに仕上げられた。事前にSNSで「期待してもらっていい」って言えるほど、ベストではないにしろ、決して状態は悪くなかった。

欠場後に復調し、松阪に入った近藤選手。検車場での表情も明るい(撮影:島尻譲)

わずかな“ズレ”を払拭できなかった

 会場に入っても戦える感覚があって、決勝に行く! 行ける! と考えていた。調子が良いって実感がある時は、いつも前検日の練習でバンクの感じを念入りに確かめる。バンクを走ってみて良い感触なら、調子の良さや自信は確実なものになっていく。さらにレース当日の朝練習で確かめて、勝てるという感覚を研ぎ澄ましていくんだけど。

 松阪は前検日が雨、バンク練習ができなかった。初日の朝も雨で乗れず。レースが『ぶっつけ本番』になってしまったのは痛かった。『天気はどうしようもない』って条件なんてみんな一緒なんだけど、それがもたらす嫌な“ズレ”が拭えなかった。それでも自分の手応えとしては決勝に乗れそうだというのは変わらず、「浅井さんと皿屋さんの地元だし、固めるレースができればいい」という心境でレースに臨んだ。

決勝に乗れる脚ができている感覚が占める中、わずかにリズムが狂っていたと本人談(撮影:島尻譲)

 初日は皿屋さんの先行に乗って、引きつけて直線踏んだけど、他ラインに行かれて自分が3着、皿屋さんは4着。二次予選は竹内さんが先行、でも最終バックの小松崎さんのまくりにけん制を入れることさえできず、飲み込まれてライン全滅。いい所を探すことができないシリーズになってしまった。

 このコラムでは毎回どんな結果だとしても、レースを振り返っている。コラムで文字に起こしてみると、勝ったレースは後付けの『結果論』になり、負けたレースは何を言っても『言い訳』になる。極論を言えば、オレの中ではどっちも言い訳。ただひとつ、大事にしていることがある。

オレたちの発する「すいません」の重みを自覚すること

近藤選手が宣言する「負けてもオレは謝罪をしない」の理由はあまりにも深い(撮影:島尻譲)

『負けた結果に頭を下げること』、それはオレにとって、勝負に対して向き合った自分にも、お金を賭けてくれているお客さんにも失礼なこと。

 申し訳ないって気持ちももちろんある。謝らないことが、かっこいいとか正しいとかそういう類の話じゃない。自分が走る競輪とお客さんが楽しんでくれる競輪に対する礼儀。頭を下げて戻ってくるのならいくらでも下げたい。そうじゃない。戻らない。

 期待を背負って負ける。プロがやるべきことは言葉だけの『すいません』じゃないはず。悔しいならオレ一人で悔やめばいい。切り替えて、じゃなくて、受け止めて。戦うってのはそういうことだろう。「次も見ててくれ」そう言い続けるしかない。これから先も、ずっと。

 真剣にレースに向き合えてたのなら、一番最初に出る言葉が「すいません」で良いはずがない。勝って「応援ありがとうございました」と感謝の言葉とともに頭を下げる。オレの安い頭でもこうやって下げたい。その方が絶対にかっこいい。

シリーズで2度確定板(初日3着、3日目2着)に乗ったが、優勝以外は興味がないのだろう(撮影:島尻譲)

今月の近藤龍徳語録!!

礼儀を尽くすこと、すなわち敬意を表す作法

 オレの行く道は邪道だけれど外道じゃない。この道は外さない。この先を越えたら王道。迷うわけがない。信念と誇りがオレの羅針盤。

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近藤龍徳の大いなる野望 〜スーパースターになる男〜

近藤龍徳

Kondo Tatunori

愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。

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