2025/06/03 (火) 12:00 1
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は取手競輪場で開催されている水戸黄門賞の決勝レース展望です。
先日、選手生活にピリオドを打った平原康多さん。【水戸黄門賞】が開催されている取手競輪場で、引退後初となるトークショーに出演しました。
その中で平原さんは、【水戸黄門賞】に出場している、吉田拓矢選手と眞杉匠選手に対して、「(関東地区を)引っ張ってくれれば問題はないと思う」と2人に対してエールを送っていました。
競輪界では中野浩一さんの後に吉岡稔真さんが出て来るなど、その地区におけるエースの引退の後には、また違ったエースが誕生しています。
平原さんが引退したのとほぼ同じタイミングで、吉田選手が【日本選手権競輪】を優勝。SS班の眞杉選手と共に、今後の関東地区を盛り立てていく流れは、まさに新旧スターの交代劇だったとも言えるのでしょう。
眞杉選手、吉田選手共に準決勝へと進んできましたが、眞杉選手は今大会好調の河端朋之選手の先行を捲り切れずに敗退。その外に進路を取った吉田選手が1着となり、決勝へと進んできました。
別の準決勝からは、吉田選手と同じ茨城の杉森輝大選手も決勝へと進出。地元の記念競輪だけに、吉田選手と共に意地を見せたいところです。
対照的に今大会好調だったのが南関東地区の選手たちです。初日の特選では関東の2人(眞杉選手、吉田選手)に上位独占を許した松井宏佑選手、郡司浩平選手でしたが、その後の二次予選、準決勝と連勝。そこに佐々木眞也選手、和田健太郎選手も勝ち上がってきたことで、決勝では4車でのラインとなりました。
ただ、茨城の2人の後ろには、北日本の成田和也選手、内藤宣彦選手が付けたことで、決勝の並びは東日本の4車(①吉田選手-⑧杉森選手-③成田選手-⑥内藤選手)と、南関東の4車(②松井選手-⑦郡司選手-④佐々木選手-⑨和田選手)の二分戦となりました。目標の無かった⑤岩津裕介選手は単騎戦となります。
1番車は吉田選手となりましたが、いくら4車となったにしても、前を取っての突っ張り先行はしてこないと見ています。
一方、松井選手はスピードを生かした捲りを武器としていますが、先行意欲もある選手です。後方から抑えにいくだけでなく、スタートを取らされたにしても、レースの主導権を握るのは南関東ラインとなるでしょう。
松井選手がすんなりと先行体勢へ入っていくようならば、番手にいる郡司選手が吉田選手が仕掛けてくる前に抜け出してくるはずです。
ただ、吉田選手としては地元の記念競輪だけに、松井選手の先行を交わしに行かずに、郡司選手の横で粘り込みを図っていくかもしれません。その展開となれば松井選手の逃げ切り。2着にはその後ろを取り切った、郡司選手、吉田選手のどちらかとなります。
印としては◎⑦郡司選手、〇②松井選手、△①吉田選手となりますが、3着候補に入れておきたいのが×③成田選手です。成田選手は今大会、いいポジションを取ってからの、直線強襲が冴えわたっています。
決勝は地元ラインの3番手からのレースだけに、吉田選手の仕掛け次第とはなりますが、4コーナー過ぎで上手くインコースをついてくるようだと、侮れない存在ともなってきそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。