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鈴木誠のハイブリッド展望

【蒲生氏郷杯王座競輪予想】SS班3人の対決となった優勝戦! ライン4車の番手から抜け出した新山が、そのままゴールまで押し切って見せる!/鈴木誠の展望

2025/10/13 (月) 12:00 3

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松阪競輪場で開催されている蒲生氏郷杯王座競輪の決勝レース展望です。

巧みな位置取りを見せる古性と郡司、そして単騎戦ながらも浅井も侮れない!

 松阪競輪場で行われている【蒲生氏郷杯王座競輪】ですが、中部地区を代表する先行選手だった杉浦侑吾(旧姓藤井)選手が、10日に愛知から栃木への移籍を発表しました。

 自分も現役時代には、他地区から千葉へと移籍してきた選手を何人か見てきました。移籍選手を受け入れる側としては、これまでのライバルが仲間になってくれる心強さもありました。

 移籍してきた選手からすると、前に所属していた地区との環境の変化だけでなく、練習メニューの違いも出てきます。ただ、基本的にやるべきことは一緒であり、他の選手たちとも情報交換をしながら、スムーズに交流を図っていました。

 移籍の最大の長所は、自分よりも格上の選手と練習を重ねていくことで、更なるレベルアップが図っていけることです。それは受け入れる地区の選手たちにとっても一緒となります。

 杉浦選手は栃木への移籍となりますが、同じ地区にはSS班の眞杉選手がいるだけに、練習を通して、様々なことが吸収できるでしょう。そして、練習の中で互いの走りが掴めていけば、眞杉選手と共に関東地区を更に盛り上げていくだけでなく、特別競輪を常に沸かす存在ともなっていきそうです。

 杉浦選手が移籍したことで、中部地区の選手たちにとっては、更なる奮起が期待されます。ただ、【蒲生氏郷杯王座競輪】の準決勝に勝ち上がってきた地元選手は、浅井選手と皿屋選手の2人だけという、いささか寂しい結果となりました。

 それでも準決勝の11レースで、浅井選手が郡司選手の捲りをゴール前で差し切った時には、大歓声も起こっていました。

 地元ファンの中には、「中部王国」とも言われた、中部地区の全盛期を知っている方も多いはずです。現在は浅井選手や山口選手の活躍が目立っていますが、この2人に続くような若手選手の台頭を期待したくなります。

 他の準決勝ですが10レースでは小堀選手の先行を、ホームから番手捲りしていった新山選手がそのまま押し切って勝利をあげています。

 12レースではジャンと共にカマシて行った、岸田選手の番手から抜け出していった古性選手が、後続の動きをコントロールする上手いレース運びで快勝。SS班の両者が実力通りの走りを見せていました。

 決勝は郡司選手を含めたSS班3人の闘いともなりますが、ラインの長さで有利となったのが新山選手と言えます。

 その並びですが、北日本ラインが⑧酒井選手-⑦新山選手-⑥佐藤選手-③渡部選手。西日本ラインとなったのが①古性選手-④園田選手であり、一方で⑤郡司選手-⑨武藤選手は東日本ラインとなります。古性選手と中近ラインで並ぶかと思われた浅井選手ですが、決勝は単騎戦を選びました。

 北日本は4車でのラインとなっただけでなく、準決勝では小堀選手の番手だった新山選手は、決勝でも酒井選手に前を託しています。

 4車のラインの長さを生かすためにも、ここは是が非にでもスタートを取って、そのまま酒井選手の突っ張り先行でレースの主導権を握りたいところです。

 車番やスタートの上手さからすれば、古性選手もスタートを取りには行けますが、後方から酒井選手が抑えてきた時に並走してしまうと、後ろにいる郡司選手の捲り頃となってしまいます。

 ここは北日本ラインに前受けをさせたとしても、古性選手は5番手からレースが運べます。この後には【寛仁親王牌】も控えており、古性選手はSS班として、新山選手や郡司選手を相手に、力勝負を挑んでいくのではないのでしょうか。

 単騎の浅井選手がどこにいるかとはなりますが、基本的には後方からのレースとなる郡司選手は、ジャンの前に酒井選手を抑えに行くことになります。

 勿論、酒井選手は突っ張りにかかりますが、ここでやりあってしまうと、捲りを狙う古性選手には願っても無い展開となるので、無理をせずに元の位置まで下げると思います。

 次に動き出すのは古性選手となりますが、新山選手は酒井選手が捲られる前に、番手から抜け出していくはずです。準決勝もホームからの番手捲りで、後ろにいた佐藤選手に交わされなかったように、新山選手はこの距離から踏み出しても残せる脚があります。

 ただ、4車のラインとは言えども、巧みなコース取りで伸びてきそうなのが古性選手であり、郡司選手と言えます。

 特に郡司選手は今年1月の【蒲生氏郷杯王座競輪】の優勝も含めて、この大会を4連覇。2019年には【共同通信社杯競輪】も制しているだけに、この決勝も自信を持って挑んでくるはずです。

 それだけに新山選手、佐藤選手、渡部選手はラインをしっかりと固めていく必要があります。新山選手の番手捲りが決まるようだと、その後ろにいる佐藤選手とのワンツーが三連単の本線となってきます。

 ただ、佐藤選手のすぐ後ろに郡司選手や古性選手が入っているようだと、インから一気の差し切りも考えられます。印としては◎⑦新山選手、〇⑥佐藤選手、△①古性選手、×⑤郡司選手に打ちます。

 三連単の買い目としては新山選手の頭だけでなく、展開次第では古性選手や郡司選手の優勝もあり得る想定で予想を出してあります。

 単騎となった浅井選手ですが、古性選手の番手を主張しなかったのは、その位置では優勝できないとの思いもあったのでしょう。

 浅井選手が優勝するには、立ち回り一つとなりますが、上手く切れ目を付いて行けるようだと一発の可能性は残されています。浅井選手が優勝した暁には、松阪競輪場が大歓声で包まれることでしょう。

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鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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