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吉井秀仁の妄想先取りレース実況

【大楠賞争奪戦予想】安定感あるS班を相手に地元勢の戦略はいかに!? 時代のトレンド「結束力」が試されるとき

2025/04/10 (木) 08:00 2

 気心の知れた連中と飲み会の約束をしていたが、諸事情で延期になっていた。やっとこさ調整がつき、お江戸浅草の居酒屋へ出掛けたときのこと。久々に電車で出かけたが、夕方前で車内はガラガラとまではいかないが空いていた。暇つぶしにマンウォッチ(人間観察)をしていたんだが、対面にオレより年上と思われるオヤジふたりが「ペイペイとか電子マネーをうまく使いこなしてポイントをためている」だの自慢し合っていた。

 オレなんてその手の話は苦手で、せいぜいコンビニで買い物をしてポイントを稼ぐとかガソリンを入れてポイントをもらうかぐらいしかやってねえ。さすが都会に住むオヤジたちは時代の先端を行ってやがる。だんだん耳をそばだて聞いていると今度は投資へ進んでいった。なんとその額は何百万も突っ込んでおり、利回りだけで自分と孫に小遣いをゲットしているとのこと。相方のジジイもそれなりに稼いでいて、これまた自慢し合っていた。

「そんなに突っ込めるなら競輪が良いのに! ミッドナイトなら固く決まるうえに、即結果が出て回せるのに!」と心の内で呟いてみた。こんな話を酒の肴のひとつにして、その夜は楽しい宴会を楽しんだよ。それにしても決して富裕層には見えないオヤジたちだったが、実際のところはどうだったんだべ。

伊東でバンクレコードを更新した山田庸平に注目

 さて、本題の武雄記念だがS班は新山響平、眞杉匠、岩本俊介が参戦。ここに山田庸平と寺崎浩平が加わり、白熱したレースが展開されよう。地元の山田兄弟に注目していたが、兄・英明は病気欠場となってしまって残念だ。

 武雄バンクの特徴を考えると直線が長い分、逃げては厳しい。だが、ウィナーズで見せた新山の強靭な地脚ならここでも好勝負になるだろ。眞杉は中3日の参戦になるが、自力の破壊力は増し、展開によっては自在に立ち回れるし、安定感はピカイチに見える。

 さらには上位陣の中で注目すべきは山田庸平だね。決して楽な展開ではなかったが、ウィナーズ最終日にバンクレコード8秒9を叩き出したまくりは驚きだった。また、S級2班の格付けながら脚力は世界も認める太田海也がいる。こちらも自分だけを考えたレースなら優勝圏内に入るが、競輪とケイリンの狭間でもがき喘いでいるのでは?

バンク的に高橋和也がツボりそうな気配

 さて、妄想へ目を向けてみるとするべかね。123期の橋本宇宙が良いね。徹底先行を武器に売り出し中の機動力だ。同期の黒瀬浩太郎の存在と地元開催が重なり、燃えるに違いない。九州勢の頼もしい味方になるかを注目していきたい。

 さらにベテランの域に近づいた高橋和也がこのバンクならツボにはまって一発があり、面白い存在だ。そのほか追い込みにチェンジした大洞翔平もだね。勝ち上がり戦も含め4日間、このふたりを追ってみるのも一考かも。ざーっとこんな感じで見ていくが、レースの流れは「結束」になりつつあり、九州勢の結束力が試されるシリーズになるのでは!

展開は地元ラインに向きそうだが総合力で杉森か、侮れないのが中部2車

 妄想は4Rを狙ってみることにする。地元の⑤青柳靖起に①柳詰正宏-⑥今岡徹二、③杉森輝大-⑦杉本正隆の茨城コンビ、⑨高橋和也-②川口公太朗の中部コンビ、南関コンビは④齋木翔多-⑧加藤圭一の細切れ戦。人気は割れそうだが、逃げるのは地元青柳になり、柳詰が展開に恵まれそう。だが、総合力は杉森がやや優勢とみる。

 本線は初手で柳詰がスタートを取り、青柳が前受け。ここに高橋が続き、杉森、齋木と続く。(⇐⑤①⑥・⑨②・③⑦・④⑧)。この並びなら後方から齋木が押さえ、杉森が切る。そこを青柳が叩いて逃げる。高橋は脚をためるか、かます一手になる。そうなれば杉森が好機に仕掛け杉本との③=⑦、柳詰が切り替え③-①、杉森が不発になれば九州コンビで青柳との①-⑤、柳詰が青柳をかばって今岡の強襲①=⑥(これってもしかして妄想?の部類かも)あたりだろう。

 もうひとつの妄想は「川口がスタートを決め高橋が前受け」になったとき。この後を青柳が追う。齋木が動いて青柳を封じ込みながら主導権を取れば、青柳がすかさず巻き返しもがき合いになる。杉森より早く高橋が仕掛け、川口とのワンツー②=⑨、杉森の強襲②=③を押さえて妄想〆にしとくかね。

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吉井秀仁の妄想先取りレース実況

吉井秀仁

Yoshii Hidehito

千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。

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