2025/07/25 (金) 12:00 16
京王閣競輪場で7月26〜28日の3日間、「東京オーヴァルカップレース(GIII)」が開催される。7月16〜18日にはナイターで「シン東京ミリオンナイトレース」が行われ、今回は2002年4月より前にあった3日制記念の復刻という形の、後節にあたる。
S級7個レース、A級5個レースの全12R制で、デイ開催。27日には楽しみな「生涯先行一本競輪人生を闘い抜いた男たちのトークショー」が行われる。今や、「先行一本」という言葉は死語になった。先行にこだわる新山響平(31歳・青森=107期)のような選手はいても、武骨に先行だけで戦うような時代ではなくなった。
増成富夫(54歳・岡山=66期)と浦山一栄(53歳・東京=72期)は今でも現役だが、昔を彩った先行選手の輝きは色褪せない。山本真也(引退=65期)と池崎太郎(引退=69期)に魅せられたファンは多いだろう。3日制記念では、地元の選手を背にして機関車として役割を果たしてきた。
増成の「後ろの選手の家族や人生を背負って走っている」という言葉は先行選手の矜持であり、勲章だ。
前節も実力者揃いだったが、今回はS級S班の眞杉匠(26歳・栃木=113期)と清水裕友(30歳・山口=105期)もあっせんされている。S班のあっせんに驚いていたら、ウソでしょ、吉田拓矢(30歳・茨城=107期)に寺崎浩平(31歳・福井=117期)、荒井崇博(46歳・長崎=82期)…、で2班で見落としそうになっては怒られる新田祐大(39歳・福島=90期)と阿部力也(37歳・宮城=100期)も。地元の鈴木竜士(31歳・東京=107期)の名前も。
鈴木は玉野「サマーナイトフェスティバル(GII)」の準決で落車し、再乗ゴールをしている状態だったり、大激戦の4日間だったので、大会連覇を飾った眞杉などみんなの出場がかなうかは分からない面もあるものの、衝撃の豪華メンバーの激突には違いない。
特に関東勢としては玉野サマーナイトの決勝で佐々木悠葵(29歳・群馬=115期)を先頭にして示した、関東の決意、その流れを今回も…だ。もちろん、前節の決勝のように関東別線なら“ガチ”だ。
A級戦は新旧織り交ざってという感じだが、やはり3日制を戦ってきた経験があるベテランたちの名前が光る。オールドファンにとっては、名前を見るだけで想い起こすものがあるだろう。なんだか、いつだったか食卓に静かに並んでいたおふくろの手料理のよう。
一つひとつのレースが、涙の味なのかもしれない。
S級で参加する小嶋敬二(55歳・石川=74期)には、3日間の内、どうにかして勝利者インタビューに顔を出してほしい。この年齢で自力で、パワーは衰えず…。あの笑顔を見たいファンは多い。
そして新時代も。ビッグマンこと藤井優希(26歳・山口=125期)のあっせんも興味深い。この男は現代にあって珍しく「ド先行」という言葉を使って、自分の在り方をファンに伝えている。時代の流れを、力強くビッグマンが感じさせる、そんな走りにも注目してほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。