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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志の惜別】神山雄一郎さんの電撃引退に驚き、引退会見での言葉に涙…「心から尊敬する人」

2025/01/31 (金) 12:00 5

 netkeirinをご覧の皆さん、金子貴志です。遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。

 今回は昨年末に引退したレジェンド・神山雄一郎さんのことと、今年の抱負について書いていきたいと思います。

神山雄一郎さんの電撃引退

 神山さんの引退は本当に突然で驚きました。競輪と自転車が大好きな人で、A級に落ちても走るというようなことを聞いていたので、走る姿を見られなくなってしまうのはとても寂しいです。

電撃引退した神山雄一郎さん(撮影:北山宏一)

 神山さんとは1998年頃からナショナルチームのメンバーとして一緒に戦ってきました。2002年の釜山アジア大会ではチームスプリントで1走が渡邉晴智さん、2走が私、そして3走が神山さんで金メダルを獲得することができました。表彰式で聞いた君が代は格別で、同じ競技で国を代表して走る喜びを感じました。

 それ以降、競輪場で一緒の参加になった時は、神山さんが声をかけてくれることが多くなりました。私にとっては学生時代から憧れたスター選手であったのに、とても気さくに話してくれて、お互いにお土産を渡し合うこともありました。控室が隣になった時は、私のアップを見て気になったところを質問してくれることも…。とても視野が広く、どんなことでも吸収しようとする姿は非常に勉強になりました。

忘れられない「名古屋オールスター」

 競輪の方では2005年の名古屋オールスター決勝が一番印象に残っています。神山さんが優勝し私が2着。悔しかったですが、レース後に神山さんが『タイトルまであと少しだから、諦めず頑張れ』と声をかけてくれました。中学、高校の時から憧れだった神山さんからの言葉にとても感激して、忘れられない思い出です。その後、時間はかかりましたが2013年に私がGIを獲ったときは「おめでとう」と声をかけてもらいました。

2005年オールスター競輪表彰式(撮影:村越希世子)

 おそらく連係したのは一度だけです。函館の開催で、私に前を任せてもらいラインを組みました。そのレースはうまくいかず、レース後に的確なアドバイスをしてもらったのが記憶に残っています。

 今思えば、もっといろんな話をしたかったです。一緒の開催になった弥彦で、「昔のようなイメージでは厳しいから、今できることをやっている」と以前と変わらないキラキラした瞳で話していたことを思い出します。

(撮影:北山宏一)

 競輪学校時代から飛び抜けた成績で、常にトップ戦線を走り続けてきました。引退レースとなった取手の最終日では、捲ってきた同期の紫原さんを止めての1着。「これで最後だ」というのがわかっていて1着を取れるのがまさに“スターの引き際"だと感じ、鳥肌が立ちました。

引退会見で見せた涙に思わず…

 引退会見では「できることなら一生やり続けたい」と話した神山さん。特に印象的だったのは「競輪選手には魅力的な選手がいっぱいいる。強い弱いに関係なく、みんな素晴らしい」と涙をこぼしていた姿です。全体を通して“神山さんらしさ"に溢れていた素敵な会見でしたが、特にこの部分に神山さんの人柄が表れていたように思います。競輪への愛にあふれ、私自身もとても共感する言葉で何度映像を見返してももらい泣きしてしまいます…。

引退会見で涙を見せた神山雄一郎さん

 そして選手や業界関係者だけでなく、食堂の人や宿舎で働く人にもお礼を述べた細やかな心くばり。誰もが認める超一流選手でありながら、ずっと変わらずに裏表なく温かい人柄の神山さんを、心から尊敬しています。

 神山さんがA級で走る姿を見てみたかったですが、デビュー当時からの計り知れないプレッシャーから解放されたと思うので、まずはゆっくりしてもらいたいです。そして4月からは日本競輪選手養成所の所長に就任するとのこと。数々の記録を打ち立ててきた神山さんの経験を、これからの競輪界を担う若者たちに伝え、神山さんを超えるような選手を育ててください。

(撮影:北山宏一)

今年初戦の岸和田でグランプリ覇者と再会

 今年初戦は岸和田でした。初日が2024年12月31日という、年またぎの4日制シリーズに参加しました。宿舎で選手は早く寝てしまうので、年越しを味わうことはできません。

 久しぶりの4日制は疲れました(笑)。初日は岐阜の岩井芯君に付いていって2着。岩井君は強かったですが、私自身も若手の仕掛けに付いていくことができるようになりました。ただ、差せる力をつけないと上のステージでは戦えません。コンディションの整え方、腰の痛みとの付き合い方が少しずつわかってきました。展開が悪くなったとしても確定板まで入ってこれるような脚の状態にしたいです。

KEIRINグランプリ2024を制した古性優作(撮影:北山宏一)

 岸和田では年末のKEIRINグランプリを優勝した古性優作君に会うことができました。今はなかなか会う機会がないので、直接「おめでとう」と伝えられて嬉しかったです。古性君はさらに貫禄が増しているように感じました。以前はラインを組んだこともありますし、また一緒に走りたいという思いがあります。それも“S級に復帰する”という目標の原動力になっています。

 若い時とは違い、調子の波が激しい私ですが、調子が悪いときにどう対応するかが課題になってきます。そしてやっぱりS級に上がりたいですね。そこで戦えるようにしっかり準備をしていきたいと思います。また今年1年、応援をよろしくお願いいたします。

(撮影:北山宏一)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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