2024/12/20 (金) 18:00 8
2024年も残すところあとわずか。今年も春夏秋冬、日本全国で熱戦が繰り広げられてきたが、そのたびに車券ファンは泣いたり笑ったり大忙しだったに違いない。今回は『年忘れ特別企画』として、netkeirinの予想コラムやウマい車券で活躍する解説者、記者、予想家のみなさんに「2024年“痛恨の失敗談”」をご披露いただいた。プロに尋ねるのはいささか失礼な企画内容ではあったが、3名の凄腕たちは快く筆を走らせてくれた。3日連続のシリーズ企画も今回で最終回。大トリはウマい車券の「年間回収率」で常に上位をキープし続けている水鳥会長の痛恨のミスをご覧ください。(構成:netkeirin編集部)
車券は当たりハズレの二種類しか存在しない。あくまでも私見だが、展開読み切ってもあと一歩でも逃してしまえばハズレに変わりはなく払い戻しはゼロ。そこに対して「ああなれば」「もう少し目を伸ばせば」と惜しむのは好きではなく、仲間と酒のアテにするくらいまで。振り返るくらいなら次の当たりを探すべし! が自分のモットーである。普段はそんな感じなのだが、今回は企画にご指名頂いたという事で、思い出したくもない悔しいレースを思いっきり振り返ってみようと思う(笑)。
予想の段階でレースには当然何パターンかの展開があり車券に反映させる際、1way、2way、3wayと展開を広げて当たりに近づけていく訳だが、私は1way所謂「展開キメ打ち」を好む。1way車券は鐘が鳴る頃には終わってしまっている事も多々あるのだが、この車券を好む理由は「回収率」にある。
2wayなら元取り、3wayならガミも当然あり得る中で、キメ打つ事によって枚数も掛かり1,000%の回収率を叩き出す事が可能になる。当たり続けなければ回収率を維持できない多面買いに比べ、的中率12,3%で回収が維持出来るスタイルは長年の車券歴で確立した“オレ流の車券術”である。
さて、本題の思い出したくもないレースは2024年9月に行われた青森記念決勝。このレースは高橋晋也を先頭に新山、守澤、永澤と北四車で二段駆け態勢。対する関東は別れて眞杉-長島の栃茨勢に、森田-宿口の埼玉コンビ、佐々木眞也は単騎選択となった。
この様な見え見えの二段駆け(しかも番手が地元エース)、若しくは大本命の自力型がいるレースの場合、そのラインを信用する前に抵抗勢力が本線を崩す為にどのような戦法を取ってくるかを一番最初に考察するのが大事なポイントとなる。
レース前夜からこの決勝では眞杉が仲の良い森田の為に一肌脱いでくる気がしてならなかった。そして導き出した展開は「叩き合いを辞さない眞杉の先行勝負、若しくは眞杉の北日本分断策」、前団を自身の動きでもつれさせ『森田に絶好の捲り頃を演出する』といった1wayの展開キメ打ちでレースを読んだ。
提供した車券は森田-宿口の捲りから単騎佐々木へと、森田から宿口が追走一杯で佐々木の突っ込みを本線。押さえは佐々木が宿口後位を選択しなかった時の埼玉ワンツーからと、宿口が森田の捲りに離れ新山、長島の前残りとした。
レースは読み通り、赤板過ぎに眞杉が北日本に襲い掛かり、察知した高橋が前から突っ張ると、眞杉は迷いなく地元エース新山の外で番手戦を仕掛けた。新山も地元の意地でインから抵抗し前団は激しくもつれる。
狙った森田は北日本後位を確保し、後ろには宿口、単騎の佐々木は宿口後位で動く素振りなし。「よし!もらった!」本線の②⑦④は150倍、②④⑦は何と650倍! 美味しすぎてヨダレが出かかった瞬間、「えーーーー」の悲鳴に代わる。
なんと、前団があれだけもつれているのに森田が吸い寄せられるようにウチを潜り守澤と並走に。それでも何とか並走を凌ぎ、まだもつれる前団を睨んで後方から仕掛ける単騎佐々木(佐々木の後ろは若干離れながらも宿口)に併せ、「さあ! 出ていけ!」の瞬間、二度目の「えーーーー」。外持ち出せばまだチャンスがあった展開も、何と再度ウチに吸い寄せられるように新山を追いかけジ・エンド。
コレがタテ一本の自力屋なら結果もまた違っただろう。なまじヨコに自信がある森田だけに、本能で内へ内へと動いてしまった結果と言える。森田の自在性、盟友眞杉への配慮まで考えれば3ラインのもつれから単騎佐々木の一撃は狙えた車券だったか。まだまだ自分もヒヨッ子だと思い知らされた一戦だった。年に数回しかない読み切った穴レースは“森田の本能”に潰されてしまった(泣)。
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