2024/12/01 (日) 12:00 13
小倉競輪場で行われた「第66回競輪祭(GI)」「第2回競輪祭女子王座戦(GI)」は大盛況だった。11月19〜24日の6日間の売り上げは目標の140億円には到達しなかったものの、同じ日程時間帯でボートレースのビッグレースもあったので、132億円でも悪いものではなかったと思う。
ともあれ、同じ公営競技界で今は、『公営競技全体で盛り上がろう!』という空気があるので、こうした日程のバランスを取れはしないかと多くの人たちから声が上がっていた。垣根をなくし、お互いの選手たちが行き来してトークショーなどイベントを行って、ファンは喜んでいる。
どの競技もしっかり見たい!というファンのためにも、何とかしてほしい。同日程がやむを得ない場合でも、昼と夜を分けることでもできれば…と思うことがあった競輪祭シリーズだったが、最終日の入場者は1万5,781人で、準決の日も1万人を超えていた。
今回の競輪祭は競輪の実施とともに、各スポーツ界の有名選手を呼び、トークショーもあればサッカー教室やバドミントンの指導などをバンク内アリーナで行っていた。キッチンカーや食の祭典という感じにもなっており、完全に“お祭り”だった。これが、競輪祭--。競輪のビッグレースをしていることイコールお祭り、だった。これは、だいぶ前から願ってきたことだった。
まだまだ競輪の認知度は低い。いつどこで、特に本場でどの日に開催があるか、は地域の人たちに浸透しているとは言いづらい。競輪の仕事に就いていると忘れがちだが、世の中の人たちの生活の中にあることが前提で、自分たちの常識や生活観を当てはめていてはならない。
かつて書いたことがあるのが、例えばA競輪場は第2土日、B競輪場は第4土日に必ず開催している、といったことはできないか、というものだ。地域には「なんとか市」や「ほんにゃら大祭」といった、ある程度「この週末はこのお祭り、催し」が浸透しており、それにならう感じだ。日常的に競輪場に来やすいように、が目的。
全国の競輪場の日程があるので、完全には固定できないだろうが、奇数月偶数月であったり、で「この日は競輪場に行けば楽しい!」を地域に浸透できないか、という考えだ。
日程に関しては実現可能性は低い、というのが現実だ。だが、書かないといけない。競輪場の数や関係者、関係機関を考えても、簡単に何かを変えたり決めたりすることは容易ではない。
しかし、競輪がもっと世の中に伝わり、より多くの人たちに楽しんでもらえるために、盛り上がりを見せている今こそ、もう一歩先へ、が必要だ。
7月、熊本競輪の再開シリーズの時、中川誠一郎が「これを普通にしないといけない」と言った言葉が心に残っている。熊本再開、というトピックがあったので多くの人たちが来場して大いに盛り上がった。「これを普通に」。誠一郎のこの言葉は、競輪界全体にとっても意味を持つだろう。
現在の盛り上がりを普通にして、より先へ。「あきらめたらそこで試合終了だよ」。誠一郎が大好きな漫画スラムダンクの名ゼリフとともに、可能性の壁を突き破っていく公営競技界だと願う。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。