2024/11/29 (金) 12:00 9
大垣競輪場で行われる大阪・関西万博協賛「開設72周年記念 水都大垣杯(GIII)」はS班陥落が決まってしまった山口拳矢(28歳・岐阜=117期)にとって大きな意味を持つシリーズとなる。昨年5月平塚のダービー優勝の後、今年は5月いわき平ダービーの決勝進出はあったものの、全般的に苦しい一年を過ごした。
病気に見舞われることも続き、本来のスピードは時折見せることはあったが、強さを見せることはできなかった。ただし「競輪祭(GI)」の攻めの競走は、その足掛かりになるものだったと思う。攻めていくことが、強さにつながる。相手への脅威にもなる。
位置取りや積極策が課題と言われ続ける中、それを打破できない時間が過ぎていく中、終止符を打とうとしていた。GI取れるスピードを持ち、つかむ強さを、これからは手にする。
ちょっとどうなのか…と思われるレースもあった。中部の後輩に前を任せている時、山口自身としては、おそらく「本人が勝てる走りを」と思っていたと思う。だが、人気を背負い、中部の中心選手として結果を出さないといけないケースもあったと思う。
そういうものを求めない性格かもしれないが、前を回る選手にも先がある。そこで気持ちを見せて踏み上げていく姿を見て、ファンはまた将来に期待を持つ。ホームバンクの大垣で、今まで以上に大きな支持を集めることになるだろう。
若手が台頭してきた今、中部としての流れを来年に築いていくためにも、鬼になって優勝を目指してほしい。突き上げる拳は、その時のためにある。
KEIRINグランプリ出場を6月「高松宮記念杯競輪(GI)」優勝で決めていた北井佑季(34歳・神奈川=119期)は、競輪祭の最終日のレースを終えると「大垣記念も走らせてもらいます」と闘志をみなぎらせていた。
デビューから、走ることで強くなってきた。グランプリに備えるというよりも、今は後半戦の悔しさをぶつけることが、静岡での爆発につながるだろう。自分のスタイルを変えないことが、北井の強さを支えている。
競輪祭での大逆転ドラマはならなかった松浦悠士(34歳・広島=98期)も出走する。競輪祭決勝は脇本雄太(35歳・福井=94期)が近畿の力を得て、それにしてもとんでもない強さで勝ったので仕方ない。松浦としては今年は悔しくとも、来年取ればいいだけ。それだけの状態はあると証明したことは大きい。
パリ五輪でケイリン決勝に進出した中野慎詞(25歳・岩手=121期)は、函館FⅠ、四日市記念(泗水杯争奪戦)、小倉競輪祭と爆走を続けている。競輪祭準決は古性優作(33歳・大阪=100期)のワンプレーにやられ、裸逃げになってしまった。ダイヤモンドレースにしても、警戒されて苦しんだ。
圧倒する。シンジは、圧倒する。それだけの力があることは、誰もが疑わないだろう。その一歩を、またすぐに見られることがうれしい限りだ。
窓場千加頼(32歳・京都=100期)もまだ何も終わっていない。来年のGI初制覇を目指し、戦いはまだ始まったばかりと言っていい。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。