2024/09/20 (金) 12:00 30
岐阜競輪の大阪・関西万博協賛「開設75周年記念 長良川鵜飼カップ(GIII)」が21日に開幕する。大激戦の宇都宮「第40回共同通信社杯競輪(GII)」(以下:共同杯)が終わってすぐだが、勝負の時は続くばかり。深谷知広(34歳・静岡=96期)からすれば、心は燃え盛るばかりだろう。
共同杯の決勝は郡司浩平(33歳・神奈川=99期)が2段駆け態勢だった九州勢を早めの仕掛けで叩き切った。郡司の思いは痛いほどわかるだろう。「その思いに応えなければ」という形だったものの、北津留翼(39歳・福岡=90期)が早めに自力に転じてきたことでチャンスを失った。
かみ合うような、かみ合わないような…。郡司との関係は複雑化していくばかりだが、この大会で結果を残すことで、郡司への意志を示すしかない。郡司としては懸命にエールを送ることだろう。
S班一年生としての戦いは、山口拳矢(28歳・岐阜=117期)にとって、もどかしいものになっている。ライバルと言っていい真杉匠(25歳・栃木=113期)が、より強くなっていく中で後れを取っているのは事実だ。
他人のことをどうこう言う性格ではないので、強い意識はないかもしれない。しかし、スポーツ選手、アスリートである上に、競輪選手は勝負師としての資質が必要とされる。本来、拳矢が武器としていた部分だが、それが薄れてきている。
“かしこまって”、“意識し過ぎて”、はよくないところだが、地元で譲れないものは譲れないと、今回は何もかもに噛みついてほしい。
共同杯の決勝で悔しい思いをしたのは北津留もだ。後位を古性優作(33歳・大阪=100期)が奪い取っていたため、凄まじいまくりを放ったものだが4着に沈められた。愚痴る人間ではないので、また次へと準備を進めているだけだろう。
ファンからすればやりきれない思いもあるが、いつかその翼は夢を運んできてくれる。
一昨年を思い出したいのは松浦悠士(33歳・広島=98期)で、当大会を一瞬のスキを逃さず優勝したあの時のキレがほしい。度重なる落車が調子の上昇を妨げている。競輪選手につきものとはいえ、苦し過ぎる。
二次予選ではスタートで落車しての再発走から1着をもぎ取った執念と集中力を蘇らせてほしい。
今年はまだ、終わっていない。
かつて、その明るさから“検車場の太陽”と呼ばれた選手がいた。関根幸夫(引退=59期)さん。以前は検車場で選手の話をゆっくり聞くことができて、関根さんはどんな時で明るく記者にいろんな話をしてくれて、笑わせてくれて、またレースでは男気あふれる走りで感動させてくれた
今、その後継者は川口聖二(30歳・岐阜=103期)だ。記者も人間なので、気持ちが落ち込んでいる時もある。そんな時、聖二と会って話をすれば、途端に元気が出る。
不思議な力がある。それはもちろん、ファンにとってもそう。この開催は、5月いわき平のダービー(日本選手権競輪)で大ブレークしてから、“優勝を”とすら期待されている。強豪は揃うが、ラインの力があればかなわないことではない。伸びて、伸びて、伸び切ってほしい。そのアゴは、天を突きさすために、あるんだろ。
※山口拳矢選手は前検日に欠場となりました。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。