閉じる
前田睦生の感情移入

【共同通信社杯競輪回顧】戦国時代から東西横綱時代? 古性優作の怖さと眞杉匠の笑顔…

アプリ限定 2024/09/18 (水) 12:00 38

眞杉匠(右)の衝撃があった。恩田淳平も凄かった!

輪史最強という話

 眞杉匠(25歳・栃木=113期)の地元GII制覇は新たな衝撃を与えた。「第40回共同通信社杯競輪」の決勝は山崎賢人(31歳・長崎=111期)を郡司浩平(33歳・神奈川=99期)が早めに叩き、北津留翼(39歳・福岡=90期)が自力に転じてまくっていく流れ。

 古性優作(33歳・大阪=100期)は勝負所で北津留後位を奪い、勝てる位置を確保していた。さすが、古性。先行逃げ切りは最強、究極の戦法だが、競輪という複雑な競技においてすべてうまくいくことはない。であれば、自分の脚力と他の選手の状況を考慮して、勝てる位置、にいることが重要。近年の古性はそれを徹底してきた。

 しかも、荒々しい動きで取る若い時代は過ぎた。卓越した技術で、また見逃してはいけないタテの脚を駆使し、凄みを増し続けている。古性の躍進とともに、「歴史上最強の競輪選手は誰?」という話題が上がりやすくなった。80年に迫る長い歴史があるので、答えは簡単ではないが、競輪の面白さは、いつまでもそれを語っていられるところにある。

そこにまた、眞杉匠という最強の笑顔が

古性優作(左)は厳格な内容を伴う

 古性が凄すぎる現在、のはずだ。今の古性を上回っていくことの困難さは選手はもちろんだが、見ているファンも感じることだろう。しかし、新たなヒーローはすぐにやってくる。眞杉の凄さは、神秘性を伴う。笑顔によるものだろうか。

 古性も笑顔は可愛いのだが、話している細やかな内容や、実状の分析力が背景にあるため、怖さを伴う。現実を完全に見極めることは容易ではない。それを成し遂げている姿には、マッドサイエンティストのような、触れてはいけない凄みを感じる。

 眞杉ももちろん、競輪について話す内容は深い。細かい面も話すことはあるが、まだ乱雑に笑顔で吹き飛ばすものがある。それは、ちょっと神秘的。仲間思いだし、非を打つところはないのだが、なんとも、“最悪の天使”だと思う。神秘的な強さが、とにかくヤバい。

 近くは東の神山雄一郎(56歳・栃木=61期)、西の吉岡稔真(引退=65期)という東西横綱時代があった。もしかして、古性と眞杉の時代…?

現状は大戦国時代

首元を整えてもらう太田海也

 今年のビッグレースや記念の結果を軸に見ると、南関勢の活躍が強烈だ。実情は大戦国時代であり、近況の脇本雄太(35歳・福井=94期)の力はやはり、『輪史最強』を譲ろうとしない。太田海也(25歳・岡山=121期)にもその期待はかかる。

 パリ五輪でケイリン決勝に勝ち上がり、そこでの落車で鎖骨骨折のケガを負ってしまった中野慎詞(25歳・岩手=121期)もそこに顔を出す傑物。とにかく完全にケガを治して、鬼の心を備えて復帰してほしい。

 窓場千加頼(32歳・京都=100期)にしても、埋もれさせてしまっていた才能を、やっと解き放っている。今が普通であり、「古性さんに追いつきたいし、追い越したい」の一心で、古性を超えることだけを目指している。

 古性「追いつかせませんけどね!」

競輪が話題に上がること

南関も今の時代の主役を生み出している

 小田原記念で南関7車が並んだ時、賛否両論、噴出した。

「結束する選手の思いを尊重すべし」
「いや、本当に勝負しようという気持ちがあるのか」
「他の形もあったんじゃないか」
「俺、キック(鈴木裕=7番手を固めた)、好き…」

 私は競輪の記者になり、“記者の立場”がある。「別線勝負すべきではないか」と書くこともできたわけだが、今の時代を見ようと思った。私の原点の思いがある。

 競輪はずっとマイナーの立場にある。プロ野球やサッカー、また近年ではボートレースの盛り上がりは素晴らしく、正直、羨ましいと思っている。その上で「競輪は野球にもサッカーにも、ボートにも中央競馬にも負けないものがある。他の競技以上に盛り上がって何もおかしくない」と信じている。

競輪が話題に上がること

ガールズケイリンもこれからだ!

 他の競技がガンガンファンサービスをして、ファンにいろんなものを提供して、惹きつけようとしている中で、競輪の取材記者として「何でもやって、何でも見せて、1人でも多くの人の目に留まる機会を」と考えている。SNSを中心にどんな意見でも、競輪の話題が多く出ただけでも一歩だと思う。

 誰もが、誰かが、タクシーの中でも、公園でも、会社の休み時間でも(仕事中はちゃんと働いて)、眠れない夜でも、早く起きすぎた朝でも、競輪のことを考えることがあるのなら…。

 暑い夏だった。それなりにこの夏を駆けずり回って思ったことは、しかし、足りない…。世の中の人たちはもっと、もっともっと競輪を楽しんでいいはず。早朝から深夜まで、選手たちの走りをしっかり伝えて、さらに競輪を大きなものにしないといけない。

 BIGになろうぜ! BIGKEIRIN!

でもやっぱり古性はかわいい


X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら

つづきはnetkeirin公式アプリ(無料)でお読みいただけます。

  • iOS版 Appstore バーコード
  • Android版 googleplay バーコード

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

前田睦生の感情移入

前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

閉じる

前田睦生コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票