2025/10/01 (水) 12:00 6
京王閣競輪場で「開設76周年記念 ゴールドカップレース(GIII)」が10月2〜5日に開催される。眞杉匠(26歳・栃木=113期)が9月のあっせんしない処置明け、松浦悠士(34歳・広島=98期)がケガからの復帰となり、脇本雄太(36歳・福井=94期)岩本俊介(41歳・千葉=94期)、清水裕友(31歳・山口=105期)とS班が5人のシリーズになる。
脇本は優勝を待望された地元福井の「共同通信社杯競輪(GII)」で決勝に上がれなかった。最終日にまくりで1着を取った後「気持ちを切り替えられないままでしたが」と入魂の踏み上げを振り返った。悔しい結果だったが、すべてを振り絞った。
グランプリスラム達成者となり、目先の大きな目標というものはないかもしれないが、この男は真のプロ。マニア的と言っていいだろう。ただ目の前のレースに100%を注力し、勝つことを求めていく。
共同杯が終わった翌日のグランプリスラム達成の祝勝会では、挨拶に上がった人たちが「グランプリスラムを通過点として」と話していたのを受け、脇本は「みんなが通過点というので次の目標はダブルグランドスラムです」と宣言していた。来年2月は熊本の全日本選抜があり、小倉競輪祭、平塚グランプリを勝てば、一気に達成となる。見たい。
奈良競輪場で開催された向日町記念「平安賞in奈良(GIII)」をS班1人参加だった犬伏湧也(30歳・徳島=119期)が優勝し、ゴール直後の雄たけびは印象的だった。8月は岩本が地元の松戸記念をS班として優勝するなど、“S班として”が求められる選手たちのいい光景を見ることができている。
松浦は近年ケガに泣かされ続きで、7月に繰り上がりのS班復帰したものの、いいところがない。結果が欲しいところだろうが、今回はまず戦える手応えをつかめるかの一歩くらいか。昨年11月小倉競輪祭(GI)では大逆転のグランプリ出場なるか、という状態まで戻していた。ここから競輪祭まで、松浦の動向に注目が集まる。
先日、熊本にいる先輩が50歳になってそのお祝いに行ったのだが、息子さんがボ・ガンボスの「トンネル抜けて」を口ずさんでいた。病気がちだったが、立派にセンスのある中学生になっていた。なんだか日々がつらいな〜という人には、のんびり聴いてほしい曲だ。
S班5人が煌びやかだが、北日本には新田祐大(39歳・福島=90期)、菅田壱道(39歳・宮城=91期)、守澤太志(40歳・秋田=96期)がいて、関東は吉田拓矢(30歳・茨城=107期)が眞杉とのタッグに燃えつつ、地元東京勢もガッチリラインを形成していく。
趣のある3日制のGIIIを夏に終え、涼しくなろうかという時期にまた燃え盛るシリーズがある。近年グランプリの開催がない京王閣だが、ドラマを生んできた競輪場には違いない。近代的で荘厳な雰囲気は夏も冬も映える。
今回は2015年京王閣グランプリを制した浅井康太(41歳・三重=90期)もいて、初日特選と決勝はグランプリさながらとなるだろう。あれからもう10年か…と思うものもあるが、競輪の物語はその濃さを増すばかり。新しいファンもオールドファンも元気な時代。現在に浸りながら、日々の選手の声を大切に届けたい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。