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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志と同期】悔いの残らない競輪人生を送るために… 引退した同期のもとを訪れて思うこと

2024/07/17 (水) 18:00 33

 netkeirinをご覧の皆さん、金子貴志です。暑い日が続いていますが元気に過ごされていますか? 私は体調に気をつけながらトレーニングを頑張っています。

 今回は競輪学校(現養成所)の75期同期・福岡県の白銀直喜さんの家に行ったことなどを書いていきたいと思います。

競輪学校75期の同期・白銀直喜さん(右)と(本人提供)

引退した同期との交流

 2014年の7月に引退した白銀さんとは、競輪学校でデビュー前から切磋琢磨してきました。在校中の競走訓練では、地区が違うのに私の後ろに付いてくれたりして、相性がとても良かったことが記憶に残っています。その白銀さんは今、JKAの職員として九州地区の競輪場で働いています。一か所だけではなくいくつもの競輪場を掛け持ちしているので、大変忙しいみたいです。

 私が九州の競輪場で走る時に検車場で顔を合わせることもあり、たびたび『一度遊びに来て』と声をかけてもらっていました。なかなかタイミングが合いませんでしたが、ようやく叶い白銀さんの家にお邪魔しました。

白銀さんの家から眺める海(本人提供)

 家に着くと、奥さんと子どもたちが出迎えてくれました。白銀さんのご家族に会うのは初めてでした。いつも優しい白銀さんですが、まだ幼い子どもたちと接する姿は私が知っている白銀さんとまた違う表情で、いっそう優しいパパの顔になっていました。その表情をみているだけで私はなんだか嬉しくなり、癒やされました。

 白銀さんのこだわりの家は、お洒落で景色も良く海外の映画に出てきそうな感じでした。家は高台にあり、海が見えるリゾート地です。敷地内にはプライベートビーチもあり、贅沢な空間が広がっていました。ビーチで夕日を見て、波の音を聞きながら、ゆったりとした時間を過ごすことができました。

美しいプライベートビーチからの景色(本人提供)

 仲睦まじい白銀さん一家。こんな綺麗な景色を見ながら、家族と食卓を囲めるなんて素敵だなと思いました。競輪選手を引退してからも幸せに暮らしていることが伝わってきて、私の心も温まりました。

新鮮な海の幸を堪能

 夜は近くの居酒屋で楽しい時間を過ごしました。お店には生け簀もあり、新鮮な海の幸を味わうことができました。

お店の生け簀から顔を出す魚(本人提供)

 この地域はイカが有名だそうで、白銀さんは「どうしても食べさせたい」とわざわざお店の人に頼んでくれていました。活きたイカを締めてお刺身に、その次は天ぷらにしてもらい、堪能しました。

新鮮なイカの刺身(右)と天ぷら(本人提供)

 さらに、生ではなかなか食べられないサバのお刺身もいただきました。以前、釣りをしたときにサバを釣ってお刺身にしたことがありましたが、それ以来です。美味しい食事を味わいながら、競輪学校時代からの思い出話にも花が咲きました。

サバの刺身も美味!(本人提供)

第二の人生を歩む同期たち

 75期はすでに引退した選手も多く、その後は色々な職業に就いています。デビューした時は皆、引退後のことは考えていなかったでしょう。ですが今では選手を辞め、鍼灸師や釣り船の船長をしていたり、飲食店を経営している仲間もいて、それぞれの“第二の人生”を歩んでいます。

 白銀さんと話すうちに、ほかの同期たちがどう過ごしているかも気になってきました。さまざまな分野で頑張っている仲間と会うことで新しい世界を知ることがきると思いますし、自分自身のモチベーションにも繋がるはずです。

(本人提供)

 私たちがデビューした時、競輪選手は4,000人以上いました。若かったこともあり、当時はずっと現役でいられるような感覚でした。実際は太く短いキャリアを選ぶ人もいれば、1日も長く現役でいるために努める人もいます。選手を続けたくても、ケガや病気で続けられなくなることもあります。

 競輪は点数を持っているほど有利になる仕組みのため、一度成績が落ちてしまうとなかなか上がるのは難しくなってしまいます。今は私も1年1年が勝負、という気持ちで向き合っています。

 自転車に人生を懸ける覚悟で競輪選手を志した人が多いゆえに、年齢を重ねるにつれて将来に不安を抱くようになる競輪選手は少なくないと思います。その不安を少しでも和らげるために、私はいろんなセカンドキャリアを歩む仲間たちの話を聞き、知見を広げてYouTubeやコラムを通じて発信できればと思っています。未来の可能性を知り不安が和らげば、いっそう目の前のレースに集中できると思うのです。

(本人提供)

悔いの残らない競輪人生を送るために

 以前コラムで紹介した、マッサージ店主の一丸安貴さんも「(引退した後)生きていくのは大変だぞ」と話していました。引退してから新しいことを始めたり、勉強したりするのは至難の業のようです。悔いが残らない選手生活を送るための努力と、第二の人生を迎えたときに対応するための学び、両方が求められることを痛感しています。

 もちろん競輪選手として1日も長く現役を続けられればいいのですが、私自身もいつかは引退する日が来ます。その時に、自分のやりたいことができたら幸福です。そのためにも残りの競輪人生、悔いを残さずやれることをすべてやっていきたいです。次回のコラムでは、A級戦での感触などもお話しできればと思っています。

(撮影:北山宏一)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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