2021/05/25 (火) 12:00 12
昨年からスタートした「ルーキーシリーズ」は、今年119期、120期(ガールズ)の戦いの場としてすでに3場所行われている。犬伏湧也(25歳・徳島=119期)の弩級(どきゅう)の走りが光っており、すでに「GIで」という期待の声も聞く。
師匠の阿竹智史(38歳・徳島=90期)は京王閣ダービー(日本選手権競輪)の時に、「来年のダービーで一緒に走りたい」と話したほど。デビューしてから来年の1月までの選考期間なので、限りなくハードルは高いが、18連勝でS級へ、そして記念優勝までやってのければ可能性はある。
そんないろんな思いを湧き起こさせる新人選手たちを見るのは、単純に楽しい。ファンからしても、“まだまだだな…”と感じる選手もいるだろうが、同じ郷土の選手たちの成長は誰にとっても素晴らしい時間になる。
そんな「ルーキーシリーズ」の一発目は静岡で開催された。
佐々木龍(30歳・神奈川=109期)はA級1、2班戦の選手として参加。神奈川の多くの新人選手に、開催の流れを教える役目もあった。「お守り役で大変でしたよ(笑)」。苦労もあったようで、選手として感じることもあったという。
「久しぶりに同期と会って、ワーってなってて。ピリピリ感はなかったですね」。
勝負師としては、“それでいいのか”と思うものもあるが、非難の目というよりは「これからだぞ…」という叱咤の思い。何より、自分自身への刺激になったようだ。卒業記念レースや、新人選手の取材をすると、記者としても「こういう選手たちが新しい力を発揮して、競輪界を支えていくんだな」と実感する。
純粋に「自分ももうちょっと頑張ろう」と感じさせてくれる。苦しい道を生き抜く、全く甘くない世界に飛び込んでいる姿は、熱い。
プロスポーツの世界なので、代謝制度もある。成績を残せなければ、クビになる。だが、“ちょっとこの制度は…”と思うものがある。ミッドナイトは競走得点順に1番車から7番車に配置される番組制度になっている。車券の買いやすさ、当たりやすさ、を意識しているものだ。
男子の場合はラインがあるので、多少、6番車、7番車に入ってもメンバー構成で補える側面を持つ。しかし、ガールズケイリンの場合は、ただ厳しい…。先日開催された川崎ミッドナイトで新井美菜(21歳・埼玉=116期)を取材していて、やはり一度書いた方がと思った次第…。
新井は昨年末の落車でケガをした後、今年になって盲腸にかかった。それで大きく調子を崩している。「ずっと7番車ではどうしようもなくて…」。ミッドナイト以外では、内側の車番をもらえることもあるので、初手の対応がきく。「でもミッドだからって休むわけにもいかないし」。競輪は興行という位置づけがあっても、レースへの公平さの意味で、制度を見直してよいのではと考えるものだ。
新井に限らず、こうした局面に置かれている選手は少なくない。あっせんの都合でミッドナイトが多く入り、それで左右されてしまうというのは…。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。