閉じる
毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

グランプリを振り返って

2023/12/30 (土) 19:30 50

KEIRINグランプリ2023を制した松浦悠士

 昔の立川グランプリで2万人、3万人、入った時代を経験しているが、場内には多くの若者の姿も見えた。ミッドナイトから入り、競輪を覚えたファンだろう。民間投票サイトで、PayPayやクレジットカードでの現金化やポイント狙いで、売り上げがアップしているのは事実。だけど、このグランプリのレースを生で見たファンは、きっと競輪の魅力に取り憑かれたはずだ。

 毎日、淡々と取材をして、レースを見て、365日、その繰り返し。選手の生き方に共感、共鳴する事はあるが(それを伝えるのが僕の仕事)、レースに感動する事は一切ない。基本は、ファンが当たる、当たらないの手助けをするのが、記者の役割。

 だけど、夜の暗闇と、ごう音が混じり合い、最高の舞台で、それぞれの9人が良いレースをやっていた。ワッキーは構えず、ジャン前からカマシに行き、勝負に行った。その心情を受けて、新山響平も力勝負に出た。新山もワッキーを出させる作戦もあったと言うが、スイッチが入った。あのまま、ワッキーが叩きに行かず、一撃狙いなら1本棒で単調なレース。ここが勝負が動いた、第一のポイント。大レースで、これを見せられたら詰まらない。

 深谷知広は単騎だったが、初手の位置が良かった。単騎3人で、後方に固まるのは避けたかったと言い、今の競輪の初手の大切さを証明した。眞杉匠は、単騎のレースに徹して、もし、後ろに誰かいれば、最終ホームで仕掛けていたかもしれない。山口拳矢は、展開の助けが必要で、それがなかった。流れで眞杉匠の後ろになったが、もっと早めに眞杉匠が仕掛けていれば、ワンチャンあった。元々、2人は同期だし、真意は明かさなかったが、眞杉匠マークはプランのひとつだったかも。

9着の清水裕友

 松浦悠士の作戦で、詰まっても、早めに行かないと言うのが、中国ゴールデンボーイにあったが、清水裕友は力勝負に出た。結果は深谷知広と合ってしまったが、ここが前回りの選手の役割。あのまま深谷知広が仕掛けていれば、清水裕友の優勝もあったが、行ってくれる保証はないし、人をアテにしなかった。その後ろの松浦悠士はシビアに内に入り深谷知広にスイッチ。

 上位選手と、下の選手の違いは、セオリー通りの走りをやるかどうかだと思っている。失礼だが、力のないチャレンジやA級下位の若手自力選手ほど、何をやるのか分からないし、何を考えているのか分からない。松浦悠士も鬼になったが、勝ちに拘った結果だし、批難される必要はない。

7着の佐藤慎太郎
 今の若手は、切り替えられると、すぐに、ふてくされたりするが、この2人の関係性にヒビが入る事はないだろう。だけど、清水裕友の「俺がいても、いなくても関係ないでしょう」のエッジの効いたジョークは面白かった。慎太郎先生も、冷静に真面目にレースを振り返ってくれたが、最後の最後に「もう限界だよ」と、いつものフレーズの真逆で取材陣を笑わせてくれた。だけど、レース直後の興奮した状態で、こう言う言葉が、すぐに出るのが凄い。

 今年も、"選手のワードセンス"に助けられた1年だった。そして、拙い文章に1年間、お付き合いしていただき、有り難うございました。56歳の老体に鞭を打ち、もう少し、面白い情報をファンに伝えていきたい。今年も死ぬ程、ネットケイリンに原稿を書きましたが、皆様、よいお年を!

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

閉じる

町田洋一コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票