2025/06/30 (月) 20:00 3
人気予想屋・木村安記さんが初心者から上級者までタメになる競輪予想のイロハを教えてくれる連載企画です。第5回は6月20日に行われた「高松宮記念杯競輪(GI)」の白虎賞(11R)、青龍賞(12R)について取り上げていきます。
ーーまずは軽く高松宮記念杯競輪(GI)全体の総括をお願いします。
もう脇本の優勝は見飽きたよ(苦笑)。でもワッキーは近年の中で今回が一番デキ良かったんじゃないの?
ーー準決勝の捲りは恐ろしかったですね。
あれを見るとまたワッキー時代再来の予感を感じざるを得ないよね。まぁでも決勝に関しては脇本が強いというより太田海也が近畿勢に楽をさせちゃったよね。
レース後コメントで太田海也は飛びつきも考えたと言っていたけど、突っ張って脚使っちゃったら寺崎のスピードに合わせるのは無理だよね。そもそも今までそんなことやってきていないし。最近は良い意味でナショナルらしくない徹底先行で頑張っていただけに決勝は残念だった。
ーーあとは木村さん、準決勝の諸橋選手を絶賛していましたね。
そう! あれね! 申し訳ないけど、俺は正直今まで諸橋さんのことはあんまり好きじゃなかったんだよ。だけどあのイン切りはまさしく”競輪”を感じさせるものだったよね。点数下位のヨーロッパ3車じゃ普通に考えたら松井ー郡司の南関東勢には勝てっこない、でも弱き者が強き者を負かすことが出来るのがライン戦なんだよな。
今は純粋なスピード勝負の競輪が主流になっているけど、頭と技術を使って勝負する昔の競輪を見せてくれた諸橋さんのことがちょっと好きになっちゃったな。
ーーでは本題に入っていきましょう。4日目のシード戦、東西ともに木村さん大的中でした。
良かったよ。宮記念は東西で分かれる特性上4分戦になることが少ないし、3分戦の方が予想しやすいからやりやすいよね。
ーーはじめに東の青龍賞について語っていただきます。なぜ郡司選手を本命にしたのでしょうか?
まず誰が先行するのかを考えたときに(吉田)拓矢はこの前の取手記念でも杉森を引っ張っているし、言い方悪いけど格下の杉森をダービー王がそう毎度引っ張るわけにはいかないよね。
そして眞杉はシンプルに後ろ攻めから抑え先行というのは考えにくいし、あとこれはあくまで俺の感覚で申し訳ないけど、最近の眞杉はここではもしかしたら逃げるかも…と思った時でもまぁ逃げないよ。俺の中ではもう先行屋として見てないね。
これらの要素を考えて俺は松井が逃げる展開を想定したよ。松井はGIのシード戦とかGIIIでは郡司とか深谷あたり背負ったら毎回先行で頑張るよね。その代わりに24年の平塚オールスター決勝では郡司を勝たせるのではなく「俺が獲りに行くよ!」の捲り仕掛けをしているけど、普段やるべき時に頑張っているからこそ、それに対して松井に文句を言う人はいないよね。
無条件で準決勝の今回がそのやるべき時なんじゃないの? ってことで先行する松井の番手で恵まれる郡司を本命に指名したよ。
もし仮に眞杉に駆けられちゃっても郡司なら切り替えて自力で捲っちゃう脚もあるしね。
ーー車番順の初手なら眞杉選手は中団を取れそうですがなぜ相手にも入れなかったのですか?
俺は気が全くなかった。宇都宮記念、取手記念あたりを見ているとレースに対する嗅覚的な部分がちょっと鈍っているような気がするし、加えて脚落ちな感じにも映るし、中団に居ても郡司に迫るのは難しいかなと思った。それよりも眞杉が行けずでもインを潜って強襲の可能性がある阿部力也に気があったかな。
ーーではレースを見て答え合わせしていきましょう。
(眞杉が前受け、吉田拓矢が切る)
眞杉も引くんだなぁ。これで拓矢が切って松井がドカンでどうやって捲るつもりなんだろう。そもそもこの前受け自体がなかなかデタラメな行為だよね。
(最終バック、後続が迫ってきたタイミングで郡司が番手発進)
この時点で眞杉はジ・エンド。郡司もずいぶん引き付けたな、相当デキが良くて自信もあったんだろうね。
(最後の直線、吉田拓矢が迫るも郡司を捉えられず)
拓矢も初日に上がり10.8秒の好タイム出してデキは良かったんだろうけど、こういう展開になってしまった以上、郡司には届きようがないよね。あとゴール後すぐの郡司をよく見て。すぐ後ろ振り返ってキョロキョロしてるでしょ? 全然余力を残してる感じだし、これは着差以上の完勝だね。
ーーでは続いて白虎賞の方もお願いします。
これはもう単純に着順関係ないシード戦なら先行スタイル貫くであろう太田海也の番手の清水が恵まれるよねというだけの話だよ。
ーー素人目戦だと犬伏選手と太田選手が踏み合う中を捲る近畿ワンツーが見えてしまいますが。
まずポイントは2つ、まず1つは犬伏は車番通りに後ろ攻めになってしまうなら先行はしづらいし、意外とバチバチに踏み合うこともなく簡単に太田海也が逃げられるんじゃないかと思ったというのが一点。
もう一つはデキ良しの脇本が楽々捲っちゃう可能性はもちろんあり得る話だけど、一本棒で最後方からの遅め捲りだといくら古性とはいえ追走キツいよね。古性も当然トップクラスの実力はあるけど、個人的には最近のタテ脚は良い時と比較すると若干見劣りするんだよね。だから脇本が捲ってもキレイに近畿ワンツーとはいかないと思ったよ。
ーー実際に脇本選手が太田選手を捲り切りましたが古性選手は届かず7着でした。
4コーナーで古性も苦しくなって内に少し降りちゃってるもんね。脇本が良すぎるのか、古性が良くないのか、そのあたりは分からないけど今後も脇本ー古性は人気なら嫌っていきたいね。
ーー最後に今後シード戦はどのように狙うべきかを教えてください
やっぱり全員が準決に進めることが最大のポイントだね。思い切ったレースができるから自力の誰かしらに”逃げる理由”があるケースが多いよ。それが先行に対するプライドなのか、番手選手との関係性なのか、理由は様々だけどこれが分かるようになれば獲れる車券もあるんじゃないかな。初心者の方にはまず選手コメントをくまなくチェックすることをお勧めしたいね。
Q.競輪以外のギャンブルにハマったことはありますか?
ハマったどころじゃないよ! バリバリだよ! 不動産時代務めてた会社が南浦和にあってね、大宮競輪、浦和競馬、戸田ボート、川口オートがすぐ行ける圏内にある悪魔の土地ですよ。毎日どこかしらは開催しているから外回り行くフリしてバクチしかやってなかったよ(笑)。
これは別に書いていいけどMAXで借金700万円あってね、上から下まで金貸し屋がズラリと入居してるビルがよくあるでしょ? あそこで全部の会社から金借りて、4軒目でチンピラみたいな受付の兄やんに「木村さ〜ん、いま下から借りてきた?」なんて聞かれちゃったりね(笑)。
でも最終的に借金も返し終わって競輪一本の人間になったね。やっぱり最終的には勝ち負けだけじゃ語れない競輪ならではのドラマに惹かれちゃったんだろうな。
※競輪は適度に楽しみましょう
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木村安記
Kimura Yasuki
木村安記(キムラヤスキ) 埼玉県大宮市出身 予想スタイルは総合派。堅いと思った時は本命予想だが、思い切って穴をねらう時もある。あくまでもラインと選手の調子を注視する。埼玉県大宮市出身、父の実家が大宮競輪場の食堂を営んでいた影響で幼少より競輪に興味を持つ。川口オートで予想屋を展開していた親戚の影響を受け、31歳で脱サラして大宮競輪場で場立ち予想屋デビュー。2006年競輪祭では自分の予想を買ったお客さんに1000万円の高額配当の払戻しをもたらした。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。