2023/12/20 (水) 12:00 21
広島競輪場が現在2025年再開に向けての大規模改修を行っているため、玉野競輪場で「広島競輪開設71周年記念in玉野 ひろしまピースカップ(GIII)」を12月21〜24日の日程が開催される。「競輪祭(GI)」で悔し過ぎる思いにまみれた松井宏佑(31歳・神奈川=113期)は、伊東記念(椿賞争奪戦・GIII)で奮戦奮戦の4日間を終えた。
KEIRINグランプリ出場が決まった深谷知広(33=静岡)や早くに欠場となっていた郡司浩平(32=神奈川)、そして地元静岡勢も落車などで出場がかなわない選手がいた。松井は「自分が引っ張るという気持ちで」と南関の主力としての決意を前検日に口にした。
これまでは郡司がいて、深谷の存在に憧れながら、と最善列の一つ後ろの位置にいた。だが、競輪祭で勝ち切れなかったとはいえ、年間の戦いぶり、そして苦しかった伊東記念で見せた走りは「S班にふさわしい」と多くの人に思わせるものだった。決勝の後、倒れ込んでいた姿には「南関のために」の自分自身がみなぎっていた。
デビューから爆裂なパワーを武器に出世街道を駆け上がってきた。力は問題ない。ナショナルチームにも選出された逸材。五輪出場はならずとも、競輪選手としての頂点への道は開いている。
当初の力任せの走り、タテにこだわった走りから、目の前でいえば郡司のような競輪の戦いを身に付けようと努力を重ねた。位置にこだわる時はこだわる。そして、確保した後は持ち前のパワーを発揮する。
勝てる選手になり、また松井のやりたいことがラインを形成する選手たちにもマッチしてラインをより生かすことができるようになった。2024年を戦国時代にしていくのは松井だ。今回もグランプリ前ながらメンバーは揃っている。優勝することで、来年はS班の権利を取るんだと、示したい。
新田祐大(37歳・福島=90期)と守澤太志(38歳・秋田=96期)が今年のS班としての最後の記念に臨む。新田は別府、佐世保、そして今回ともだえるように走り続けている。グランプリが決まった他の選手の分までの責任を抱え込んでいるかのように…。
今は走ることでしか埋められないものがあるのだろう。
守澤は別府記念(オランダ王国友好杯)を制しての参加になる。決勝は鮮やかだったが、坂井洋(29歳・栃木=115期)に離れてしまった準決はいただけなかった。あの一つのレースがどこかで影を落とす。すぐにでも埋める戦いを今シリーズは見せてほしい。
やはり守澤は戦い続けることでしか、自身の価値にたどりつけない。本人はしばらくは静かに、ゆっくり過ごしたいのが本音のようだが、競輪という楕円形のジャングルで、一度でもキバをむいた男は、そのキバを隠すことなどできないのだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。