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前田睦生の感情移入

【中野カップレース】“全員、ぶっ飛ばす”太田海也の唯一無二への道

2025/06/27 (金) 12:00 8

太田海也(中央)は常に金の輝き

太田海也の最高到達点は…

 6月28日から7月1日にわたり久留米競輪場で「開設76周年記念 中野カップレース(GIII)」が開催される。S班は郡司浩平(34歳・神奈川=99期)1人だけで、近況の郡司の走りからすれば、今年6回目の記念優勝の可能性は高い。

 記念は今年すでに5回の優勝。GIでの活躍が…というところだったが、「高松宮記念杯競輪(GI)」で決勝3着。決勝は悔しいものになったが、やはりS班というところは示し続けている。安定感は群を抜いている。

 その決勝だが、太田海也(25歳・岡山=121期)にとっても悔しいものになった。Sを決め、前受けから深谷知広(35歳・静岡=96期)を突っ張った。そこに打鐘で寺崎浩平(31歳・福井=117期)が一気のカマシ。近畿3人が出切って太田は車間が空いてしまった。太田の経験…の部分が出た。とはいえ、太田はここからの段階がある。この決勝のレースを起点として、最高到達点に向かう。

想像を超えてこそ、カイヤ

カイヤは常に丁寧

 経験の点で考えると、寺崎がカマしてきたところの対応ができなかったことに尽きる。もうワンテンポ置いて、で勝負したかったことだろう。しかし、寺崎も心が強かった。カイヤとしては、深谷を突っ張った以上、寺崎も突っ張り切ることが使命だった。

 それだけの力がある。モンスターである。GI決勝の舞台で、誰もが驚くような走り、強さを見せつけてこそ、カイヤだ。岸和田ではその姿を見せることはできなかったものの、一つの失敗を大きく取り返す。

 全員、ぶっ飛ばす。
 みんな知っているようにカイヤは礼儀正しく、常に優しい。競輪が好きで、仲間と戦うことを喜びと感じる男だ。ただし、自転車にまたがれば野獣と化す。あの決勝では、少し冷静だったのかもしれない。常に挑戦者として、誰にでも噛みついていくような、野生の走りを期待したい。今回は、そこにつながるような、怒とうの攻めを見せてくれるだろう。唯一無二の存在になる。

九州勢はまとまって

吉本卓仁の記念初制覇を、地元で…

 昨年大会は九州3車が結束し、3番手の山崎賢人(32歳・長崎=111期)が優勝した。今年も九州結束で結果につなげたい。2014年大会では超久しぶりに坂本亮馬(39歳・福岡=90期)が、地元選手として優勝し、表彰式で中野浩一さんが涙をこらえきれなかった。「中野さんが先に泣いちゃうから、俺は泣けなかった」とリョウマが笑っていたのを思い出す。

 今回ははっきりと吉本卓仁(41歳・福岡=89期)が優勝できないか…と、祈ることにする。九州を引っ張ってきた武骨な男。記念の優勝がないのは、競輪としてダメだと言いたい。タクジはつかむべき。

 と、また熱くなっているわけだが、「ケント〜〜」そして「イ〜チ〜マ〜ル〜(一丸尚伍)〜〜〜」……。2人は先頭誘導員に対する妨害、また早期追い抜きで長期の欠場になってしまう。このルールについては何度か書いてきたが、今はただ「私は泣いています」とだけ書こう。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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