アプリ限定 2023/12/23 (土) 12:00 29
佐藤慎太郎(47歳・福島=78期)が今年もKEIRINグランプリの舞台に立つ。2019年13年ぶりに返り咲き、立川で優勝。恐るべき“オジサンの星”として、また“アスリートの鑑”としての道を歩んでいる。2019年からは5年連続の出場。容易には語れない。
神山雄一郎(55歳・栃木=61期)が47歳で2015年の京王閣大会に出場した時ーー。 前夜祭の個別取材で「グランプリを優勝する夢を見たことはありますか」と意を決して聞いたことがある。第3代グランドスラマーはグランプリだけどうしても勝てず、4年連続2着という悪夢を見た人だ。
「あるよ〜。2回くらい〜」
まさか、答えてもらえるとはと、背中に汗がにじんだ。47歳で佐藤慎太郎が優勝すれば…の夢を、神山雄一郎の枕元に届けてほしいと思う。
もうだいぶ前のことになるが、ある記念の時のことだ。東スポの企画として、ある女優の方に選手の取材をしてもらい、動画インタビューとしてアップしていた。率直に書くが、エロ系のファンの方々を競輪に引き込む企画として、東スポしかできないものとして頑張ってやっていた。
各方面から高い評価を得ていたのだが、慎太郎さんには迷惑をかけてしまった。慎太郎さんが決勝に乗った時に、女優さんが慎太郎さんの手を取って「頑張って!」とちょいタッチしてもらい、激励してもらった。
後で、「そんなのはいかん!」と慎太郎さんが怒られてしまい、今でも申し訳なく思っている。事実として、「あの時、佐藤慎太郎選手には一点の過失も罪もなく、すべて東スポの責任だった」と改めて記させていただきたい。
川崎競輪場の管理棟が新しくなる前。慌てて控室のある2階に飛んでいき、競走参加中の慎太郎さんの所に行き謝罪したが、優しく対応していただいたことを思い出す…。
選手に迷惑をかけるという大きな失敗をしたのだが、そこで立ち止まるつもりはなかった。どちらかというと「私も東スポの記者として1人前になれた」と、本当に慎太郎さんには申し訳ないのだが、高ぶった気持ちの方が強かった。
といって慎太郎さんに恩返しをする力もなく、その後も慎太郎さんの力を借りて、仕事を助けてもらうことばかりだ。
まだ私も記者として仕事を続けることができていて、慎太郎さんは進化を続けて強くなっていくばかり。「限界?気のせいだよ!」の言葉に真に勇気をもらっている。私にとどまらず、多くのファンの胸を打ち続け、何かを与えてくれている。
シンタロウ。
まだ、この物語には先があって、長く、長く、続いていくことを願っている。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。