アプリ限定 2025/07/05 (土) 12:00 31
7月から127期、128期(ガールズ14期)が本デビューとなった。ルーキーシリーズも定着し、流れとしても落ち着いてきた。何よりも、新しい命の誕生はうれしい限りで、心が躍る。個人的には今年はルーキーシリーズの取材に行けず、どんな空気感の期なのかを感じられていないのが寂しいところ。
125期の時に書いたが、競輪が好きで、燃える心を持っている期と感じたもので、この一年だけでもゾクゾクさせられてきた。本当に楽しみだ。
ただし、やはり苦しい思いをする選手が出てくることも現実。優勝劣敗が道理なのでやむをえないものはあっても、やはりガールズケイリンに関しては新人の立場は厳し過ぎる。ストレート代謝の問題がいつも話題となり、制度修整もーーと考えざるを得ない。
7月1〜3日の名古屋競輪で北津留千羽(19歳・福岡=128期)が最終日のガールズ一般戦で1勝を挙げた。もぎ取った。父・翼(40歳・福岡=90期)は大スターで、大きな期待を背負っている。しかし、当の千羽はマウンテンバイクをメインでやってきて、競輪用のピストに乗り始めたのは競輪選手養成所を受ける直前くらいと言っていい。
苦労する面があると父は心配し、丁寧に指導をしている。ルーキーシリーズからもスイスイと戦える、という状況ではなかった。そんな中での本デビュー。予選の2走は5着、7着と現実にぶつかった。しかし、最終日も気持ちを切らさず、7番車でもあり、初手は7番手だったが、攻めた。
仕掛けたことで、結果的に捲った吉村美有紀(23歳・静岡=124期)の後ろに入れたものだが、苦戦必至の状況ではあった。他の新人ガールズ選手にしても、また、これまでのガールズの新人たちにしても、がある。
やはり、男子のルールとは違い過ぎる。
ボートレースの新人選手には、代謝対象の猶予期間がある。男子も女子もまずは6コースからという始まりがあって、不利な状況から一歩一歩を歩まないといけない。その厳しさに照らし合わせた制度がある。
ガールズケイリンも似たような環境だといえる。最初からよほどの実力がなければ…、それに加えて落車によるケガ、伴う恐怖心、その克服、と苦境に追いやられる条件が多い。立ち直る時間すらなく…というケースがあるのは事実だ。
稼働人員の問題もある。落車によるケガでの欠場者があり、また妊娠出産子育てで欠場期間が必要なこともある。ガールズケイリンを長く続け、せっかく多くのファンに支持されてきたものを、よりよくするために、必要な手は打たないといけないだろう。
何よりも、ガールズケイリンの選手を目指したい、魅力のある職業だ! ということを証明し続けないといけない。大きなケガを乗り越えても活躍したり、子どもが産まれてからも活躍したり、という素晴らしい選手たちがいることも明確な事実。その枠組みをちょっとずつ変えてこれたことが、つながっている。もっと、先へ。
ガールズGIができて、上位選手のいない開催は生まれた形だが、これはあくまでイレギュラーなもの。制度として選手が短期間で厳しい状況に置かれないような下地を作る必要はある。
これまでのガールズケイリンの取材を経て、今回の北津留千羽の1勝を見て、喜ぶ気持ちとともに、なんと苦しい道なのか、と感じた次第である。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。