2023/08/20 (日) 06:30 12
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
西武園5R オールスター競輪(GI)S級特選
①神山拓弥(91期=栃木・36歳)
②荒井崇博(82期=長崎・45歳)
③渡邉一成(88期=福島・40歳)
④取鳥雄吾(107期=岡山・28歳)
⑤鈴木裕(92期=千葉・38歳)
⑥山崎芳仁(88期=福島・44歳)
⑦坂井洋(115期=栃木・28歳)
⑧岩本俊介(94期=千葉・39歳)
⑨大塚健一郎(82期=大分・45歳)
【並び予想】
←③⑥(北日本)④②⑨(混成)⑦①(関東)⑧⑤(南関東)
【注目のヨーロッパ】
④取鳥雄吾
⑧岩本俊介
ここは、北日本勢の先頭である③渡邉一が、スタートを取っての前受けからレースを進めそう。そのまま突っ張って主導権争いに持ち込むというのが、考えられるベタなシナリオだ。しかし、このシリーズでの③渡邉一は、正直なところデキがいまひとつ。主導権奪取に成功したとしても、最後まで粘れるかどうかはかなり怪しい。
となれば、ここは④取鳥雄が主導権を奪って逃げる展開を想定。初日の9着が痛かったが、3日目には2着、5日目には3着と、いずれも主導権を奪って上位に粘っている。7月末の名古屋記念・決勝戦で素晴らしい走りをしていたのはまだ記憶に新しく、調子はけっして悪くないはずだ。混成ラインではあるが、番手に②荒井崇、3番手に⑨大塚健がついたのは大きく、主導権を奪えた場合には“数の利”を生かせるはずだ。
④取鳥雄の番手から②荒井崇が差す②→④が売れそうだが、そちらは買うとしても押さえ程度にして、④→②本線で勝負したいところ。人気のフォーカスなので、点数はかなり絞り込みたい。以上が、「順当に決まる」と読む場合の推奨買い目だ。波乱決着があるならば、それは③渡邉一と④取鳥雄の主導権争いがもつれた場合だろう。
その場合に後方から飛んでくるのは、関東勢の先頭である⑦坂井洋か-とも考えたが、どうもしっくりこない。このシリーズでの⑦坂井洋は「可もなく不可もなし」といった印象で、力任せに捲りきってしまうような、本当にいい頃のデキにはないと思われる。そこで目が向いたのが、⑧岩本俊と⑤鈴木裕の千葉コンビだ。
車番に恵まれなかったので初手で動く必要がありそうだが、中団で立ち回れるならば一発があって不思議なし。③渡邉一と④取鳥雄がもがき合うなど、展開面での助けは必要となるものの、ここまで人気がないなら面白い。⑧→⑤と⑤→⑧の折り返しが本線も、直前オッズで予想以上に配当がつくようならば、⑧岩本俊の1着からのスジ違いも押さえておきたい。
【予想レース⓶】
西武園8R オールスター競輪(GI)S級優秀
①町田太我(117期=広島・23歳)
②渡邉雄太(105期=静岡・28歳)
③大森慶一(88期=北海道・41歳)
④柏野智典(88期=岡山・45歳)
⑤長島大介(96期=栃木・34歳)
⑥吉田有希(119期=茨城・21歳)
⑦小原佑太(115期=青森・27歳)
⑧椎木尾拓哉(93期=和歌山・37歳)
⑨郡司浩平(99期=神奈川・32歳)
【並び予想】
←⑦③(北日本)①④(中国)⑨②(南関東)⑥⑤(関東)⑧(単騎)
【注目のヨーロッパ】
④柏野智典
⑧椎木尾拓哉
3日目に落車している⑨郡司浩。再乗してなんとか二次予選に駒を進めたものの、そこで勝ち上がれなかったのは、やはり身体か自転車に違和感が残っているからだろう。実際、落車してからの2走は内容的にも冴えず、走りに“らしさ”が感じられない。「それでも郡司なら」と人気を集めそうだが、相手関係もけっして楽ではないここは、思いきって「消し」で勝負するのが正解と思われる。
主導権を争うのは、中国勢の先頭である①町田太と、関東勢の先頭⑥吉田有。とはいえ、先行へのこだわりが強いのは言うまでもなく前者だ。四分戦で単騎が1車という細切れ戦だけに、初手の位置取りや中盤の展開次第ではあるのだが、⑥吉田有の出方次第では①町田太が意外にすんなりと主導権を奪い、逃げられるケースもありそうだ。ここまで確定板にすら乗れていない①町田太だけに、ここはかなり気合いも入る。
そうなれば絶好の展開が転がり込んでくるのが、①町田太の番手を回る④柏野智。こちらもこのシリーズではいいところなしで終わっているだけに、番手としての仕事をキッチリ果たしてから全力で差しにいくことだろう。⑨郡司浩が精彩を欠く走りをしているのは、同じレースを走る他地区の選手にとって大チャンス。それこそ、番手として獅子奮迅の働きを見せたとしても不思議ではない。
そして…そんな④柏野智の後ろにそっと忍び寄っていそうなのが、唯一の単騎である⑧椎木尾。⑨郡司浩が本調子ならば話は別だが、ここはセオリー通りに「主導権を取りそうなラインの直後」を狙ってくるはずだ。それに、地味にデキがよさそうだというのも、⑧椎木尾に注目する理由のひとつ。土曜日の当コラムでも激走候補にあげようかと迷ったほどで、ここでの単騎にはかなり心惹かれるものがある。
当然ながら④→①や①→④も買うべきだが、もっともアツいのは①町田太が最後に止まっての④→⑧決着。西武園バンクの特性を考えると、⑧椎木尾が1着まで突き抜けるカタチはさすがに狙いづらいか。④柏野智を1着、⑧椎木尾を2〜3着にした3連単ならば、組み合わせによっては超高配当までありそう。オールスター最終日の穴狙いらしく、ここは貪欲かつ強欲に攻める車券をオススメする。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。