2025/08/16 (土) 08:45 2
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
函館7R オールスター競輪(GI)特選
①村田雅一(90期=兵庫・41歳)
②和田圭(92期=宮城・39歳)
③武藤龍生(98期=埼玉・34歳)
④和田真久留(99期=神奈川・34歳)
⑤藤井侑吾(115期=愛知・30歳)
⑥中石湊(125期=北海道・20歳)
⑦守澤太志(96期=秋田・40歳)
⑧鈴木竜士(107期=東京・31歳)
⑨岩本俊介(94期=千葉・41歳)
【初手・並び予想】
←⑥②⑦(北日本)⑤①(中近)⑧③(関東)④⑨(南関東)
【注目のヨーロッパ】
⑧鈴木竜士
四分戦となった第7レース。混戦模様だが、ここは④和田真が先頭の南関東ラインが人気を集めそうだ。勝ち上がりこそ逃したが、確かにこのシリーズでの④和田真はデキがよく、その番手を回るのだから⑨岩本俊も売れて当然。S級S班という“格”もあって、最も信頼できそうなイメージである。また、主導権を奪うであろう北日本ライン先頭の⑥中石湊がここではやや頼りないというのも、南関東勢の人気を加速させそうだ。
⑤藤井侑がいるとはいえ、前述したようにここは⑥中石湊の先行が濃厚。地元戦でもあり気合いは入っているが、突っ張り先行は基本的にない選手である。ここが前受けして、中近ライン先頭の⑤藤井侑は初手4番手から。関東勢の先頭を任された⑧鈴木竜が6番手で続き、南関東ライン先頭の④和田真は後ろ攻め……というのが、初手の並びの想定だ。まずは④和田真が前を斬り、以降は「斬って斬られて」が続く。
⑥中石湊はいったん下げてから主導権を奪うが、この流れだと④和田真が仕掛けるよりも先に、⑧鈴木竜が捲りにいく展開が考えられるはず。⑧鈴木竜は④和田真と同じような立ち回りができるタイプの選手で、道中のポジションは④和田真よりも前。しかもデキ絶好となれば、一気の脚で北日本勢を捲りきってしまえそうだ。その仕掛けに④和田真が連動したとしても、捉まえきれない可能性が高い。
スジ決着でも悪くない配当が期待できそうなので、③武藤龍の差し目である「③→⑧」から流すフォーカスも一応は押さえる。しかし、想定するのは⑧鈴木竜が捲って突き抜ける展開なので、当然ながら⑧鈴木竜が「1着」のカタチが本線だ。「⑧→③→①②⑤⑦」や、後方から迫る④和田真が2着に突っ込んでの「⑧→④⑨→④⑨」、④和田真が届かず3着での「⑧→①②③⑤⑦→④」あたりが狙い目となりそうである。
【予想レース②】
函館11R オールスター競輪(GI)準決勝
①古性優作(100期=大阪・34歳)
②新山響平(107期=青森・31歳)
③深谷知広(96期=静岡・35歳)
④松本貴治(111期=愛媛・31歳)
⑤伊藤颯馬(115期=沖縄・26歳)
⑥佐々木龍(109期=神奈川・34歳)
⑦山田庸平(94期=佐賀・37歳)
⑧松谷秀幸(96期=神奈川・42歳)
⑨寺崎浩平(117期=福井・31歳)
【初手・並び予想】
←⑨①(近畿)②④(混成)③⑧⑥(南関東)⑤⑦(九州)
【注目のヨーロッパ】
④松本貴治
⑧松谷秀幸
インタビューで「ファン投票1位でなければ出場していなかった」と語っていた①古性優。肩の脱臼と腱断裂による手術明けなのだから、本調子を欠いていて当然だ。覚悟の上での出場だろうが、準決勝にもギリギリなんとか乗ったという印象で、やはり精彩を欠いている。それでも車券が売れてしまうのだから、この選手の強さをファンがいかに高く評価しているかがうかがえる。
四分戦となったこの準決勝では、近畿ライン先頭を任された⑨寺崎浩の番手を回る。⑨寺崎浩は3日目の準々決勝では後方から捲って1着をとったが、前がもつれる展開となったのが勝因で、2日目のオリオン賞や二次予選の内容から、調子はよくないと感じている。つまり、将来を嘱望される自力選手と最強オールラウンダーの連係ながら、どちらもデキの面で不安が先に立つということ。評価をかなり割り引いて考えるべきだ。
それとは逆に、積極的に狙っていきたいのが、ようやくラインができた②新山響。初日のドリームレース、3日目のシャイニングスター賞はいずれも単騎であったため、自分の走りができずに終わっている。番手を四国の④松本貴が回る他地区連係ながら、②新山響の性格を考えると、ここは自力勝負ができることを最優先に考えてくるはず。その後ろで柔軟に立ち回れる④松本貴は、きわめて有利な立場といえる。
人気の中心は③深谷知が先頭の南関東ラインで、着順が示すように③深谷知のデキは上々。その後ろを回れる⑧松谷秀はもちろん、③深谷知のダッシュにしっかりついていければ⑥佐々木龍もチャンスはありそうだ。ただし、人気の中心である③→⑧からのフォーカスは配当的に美味しくないので、押さえ程度とするのが適切。そういう意味でも、ここは②新山響の番手を回る④松本貴のほうを積極的に狙っていきたい。
具体的には「②=④」と「④→③」から流す3連単が本線。南関東ラインについては、差し目の「⑧→③」から流す3連単や、ライン3番手を④松本貴が狙って切り替えての「③→⑧→④」あたりを厚めに狙いたい。相手関係が強力で車番にも恵まれなかったことから、⑤伊藤颯が先頭の九州勢も軽視。ヨーロッパで好配当を狙うならば、上位は「②③④⑧」の4車で決まると決め打つのが正解である。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。