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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】ダービー出走の“クセすご”選手を解説!吉田敏洋選手・坂口晃輔選手/日本選手権競輪

2021/04/28 (水) 12:00 4

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は日本選手権競輪(GI)・通称ダービーに出場する吉田敏洋選手、坂口晃輔選手を解説する。SS戦士に隠れた“クセすご”筋肉を堪能あれ!

●吉田敏洋

 身長は170cm、体重は90kg超。高校時代はラガーマンで、全国制覇の実績を持つアスリートだ。吉田選手の身体的特徴は、まずフレーム(骨格)の太さ。身長は決して恵まれているとは言えないが、身体がとても大きく見える。

 突出しているのは下半身の筋量。上半身と下半身がアンバランスに見えるほど、下半身の筋肉がデカい。下半身の筋肉は大きく分けると4部位ある。臀筋(お尻)、大腿四頭筋(太ももの前側)、ハムストリング(太ももの後側)、カーフ(ふくらはぎ)なのだが、吉田の筋肉は大腿四頭筋にフォーカスされている。

 とにかく、大腿四頭筋の張り出しのクセがすごい。決して全体的に『ボヨン』と付着しているのではなく、メリハリのある丸みを帯びた筋肉である。

 そして吉田選手にはもう1つのクセが。このような体型の多くの選手はパワータイプに分類され、レースではトルクを活かしたダッシュに偏ったり、高体重に任せた惰性で直線を追い込んできたりするタイプが多いのだが、吉田はそうではなく、トップスピードが高い。中高速域のダッシュ力に優れており幾度となく中部のマーカー(追い込み選手)を踏み出しで置き去りにしてきた。

 年齢は41歳。さすがに20代自力選手との殴り合い(もがき合い)は分が悪くなってきたが、いまだ筋量の減少はまったく見られない。DNAに少量のゴリラ因子が混在しているのだろうか…?

 それはさて置き、『ザ・競輪選手!』というインパクト筋肉が見たい方は、吉田敏洋の大腿四頭筋に注目だ。

●坂口晃輔

 身長156cm、体重は58kgとS級上位クラスでは間違いなく最小兵だろう。坂口選手は、小兵アスリート選手にありがちな『小柄な体型を豊富な筋量でカバー』と言った“豆タンク”タイプの選手ではなく、パッと見華奢な印象すら持ってしまう。

 まず大前提としてフレーム(骨格)が小さいということは、各関節同士の距離も短いということ。すなわち筋肉が骨に付着出来る面積も小さいということだ。

 競輪は1対1ではなく、色々な要素が加わって着順を争う競技なので一概には言えないが、『筋肉的』観点で有利か不利かと言われたら骨格が小さいのは間違いなく不利である。

 さぁ身体フォルムを見てみよう。やはり四肢(両手、両足)は短い。そして先ほど筆者がのべた『四肢の短さをカバーする豊富な筋量』を持っている訳でも無い。しかし後天的(鍛錬)な努力で固められたキレのある筋肉がバランスよく付着しており、特にカーフ(ヒラメ筋、腓腹筋)の筋肉は秀逸。

 坂口選手と言えば『暴れん坊』と称されたり、厳しいブロックがフォーカスされる事が多い。すでに中部地区ナンバーワン追い込みとしての地位は確立しているが筆者的には坂口選手の“横”は競輪界トップクラスにも通ずると考える。

 彼の横はただの横では無い。『1発で仕留める横』なのだ。

 決して暴れん坊では無く、キレがあり『横の質』に優れているということ。ここは筋肉にフォーカスをあてたコラムなので横について詳しくは割愛するが、坂口晃輔という選手は身体フレーム(骨格)が小さく、体重も軽いと言う特徴を最大限に活かした走りができる選手である。

●本レースで注目すべき選手は…?

 脇本雄太選手、新田祐大選手不在のGIレースではもはや定番となる中国勢vs南関東勢の構図が当然有力だ。

 松浦悠士選手、清水裕人選手の前後はまさに自由自在。この両者、自力も強く番手戦はもっと強い。対抗出来るのは深谷知広選手、郡司浩平選手のラインしか思い浮かばないほどだ。

 中部、近畿勢の奮起を期待したい。長らく競輪界を引っ張ってきたこの両地区の復権が必ず競輪界を盛り上げる事は言うまでもない。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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