2025/09/26 (金) 18:00 3
元ガールズケイリン選手・高木真備さんの今月のコラムでは、先日幕を閉じた共同通信社杯競輪で気になった選手をピックアップ。また自身の活動において「心がけていること」についても語ってもらいました!
ーー先日行われた共同通信社杯の決勝は、5車で結束した近畿ラインの3番手を回った南修二選手の優勝で幕を閉じました。ご覧になっていかがでしたか。
まず、並びを決めるまでに長い話し合いがあったという記事を読みました。ガールズケイリンにはラインがありませんし、私は経験していないところなので安易な意見は言えませんが…。ただ、一人の競輪ファンの立場としてはグッとくるものがありました。古性(優作)選手が何度も「難しい」と並びに付いて語っていたのも印象的で、そこが男子の魅力でもあり、複雑なところなんだなと改めて感じました。
ーー南選手は44歳でのビッグレース初優勝でしたね。
南選手といえば、ヨコに強くてブロックが厳しい「マーク屋」と言われていましたが、でもここ1、2年はタテ脚も鋭くて、「タテもヨコも超一流」というイメージに変わりました。ここまで変化するというのはすごく大変なことだと思いますし、相当な努力をしてきたんだと想像できます。長所を伸ばして「貫くこと」も美学だと思いますし、さらなる進化を求めて「変化」をしていくことも素晴らしいことだと思っているので、ここまで変わった南選手は本当にすごいなって感じました。
ーー太田海也選手も単騎で力強いまくりを放っていましたが、古性選手の執拗なけん制もあり、残念ながら落車してしまいました。
単騎で難しい戦いが予想された中、すごいスピードで仕掛けていましたし、けん制がなければ…、と思うような走りでした。結果は残念でしたが、今回でビッグレースは4大会連続の決勝進出で、そして決勝のレース内容もどんどん良くなっているように感じました。
また失格してしまった古性選手ですが、みんなの思いを背負って5車ラインの番手を回る覚悟というか責任感、「ラインで決めるために絶対に素通りさせない」という強い気持ちは、すごく伝わってきました。もちろん、なにがあっても失格がいけないことなのは、私自身車券を買う側になって改めて重く感じています。でも古性選手本人も反省のコメントを残しているのを見ましたし、これを糧にしてまた活躍する姿に期待したいです!
ーーシリーズを通して気になった選手などはいましたか。
車券を買う立場になってから、何かしてくれそうな選手、本命選手を倒してくれるんじゃないかという期待感を抱かせてくれる選手が好きで、そういう意味で九州の伊藤颯馬選手、伊藤旭選手にはいつも注目しているのですが、特に颯馬選手がだいぶ調子を戻しているように感じました。落車などもあって春先から“らしくない”レースが続いていたので心配していたましたが、オールスターくらいから動きが良くなってきた気がします。
私の経験では、調子が悪い時って内に吸い込まれてしまったり、落車が続くと自分でもどうしていいかわからなくなることがあるんです。ですが、最近は迷いなく動けているように見えましたし、だいぶ吹っ切れてきたのかなという印象を受けました。阿部将大選手と同乗した時に、2人とも自力でやりたいと言って譲らず結局ジャンケンで並びを決めたとnetkeirinのニュースで見た時はほっこりしました。7月のサマーナイトの初日特選では自信がなかったのか山田庸平選手の番手を回っていましたが、今は「前でやりたい」という強い気持ちも出てきたようですし、それが何よりの復調の証拠かなって思います。颯馬選手の復調は九州地区にとっては朗報なはずですし、今後のグレードレースで大暴れしてくれるのではないかと期待しています。
旭選手も、共同通信社杯こそ未勝利でしたが、その前の西武園記念で2勝を挙げていましたし上向きなように感じます。九州のW伊藤が出るレースは車券を買って応援しようと思います(笑)。
ーー気付けば9月も間もなく終わり、10月に入ります。「わんにゃんフェスティバル」もそろそろ開催できるようになるのではないですか。
はい。これからたくさんの予定が入っていますし、21日には青森競輪場でも開催させていただきました。また、ありがたいことに「わんにゃんフェスティバル」を開催するのが複数回目という場所も増えてきたので、1回目とは違う形で行いたいと思っていて、今はそのための準備を頑張っています。自分にとって挑戦でもありますし、何より楽しくて。やりたいことが多すぎて、とにかく時間が足りないです(笑)。
ーー施設での仕事も今まで通り続けているのですよね? 相変わらず、なかなか多忙ですね…。
どうしても私は根詰めすぎるところがあるので…。現役時代はそれが良いところでもあったと思うんです。自分を追い込むことができたからこそ、結果的にグランプリも優勝できましたし。でも、根詰めすぎたからこそ、長く選手を続けられなかったというのもあるのかなって思っています。やっぱり追い込みすぎると辛かったですから…。
ーーその経験を踏まえ、今ははやる気持ちを抑えて、セーブしながら活動することを心がけているのですね。
SDGsじゃないですけど「持続可能な」ペースでやることが今はすごく大事かなって思います。例えばグランプリを獲るっていう目標があった時は「その1年を」とにかく頑張ればいいし、期間が決まっていた分なんとか気持ちもギリギリ保てました。でも動物の保護活動というのは近くにゴールがないというか、すぐに解決する問題ではなく、20年、30年後のために今できることをやっているような感じなので。だからこそ長く活動するために、根詰めすぎずないように意識しています。今は忙しくて時間が足りないと感じることもありますけど、個人的には下準備の時期だと考えているので、目標に近づいていけるように動いています。
ーーそれは良い考え方ですね! 最近なにか息抜きや楽しいことはありましたか。
あっ、聞いて下さい! いつも西武園の配信番組に一緒に出演している飯田あすかさんと一緒に「ちいかわパーク」に行ってきたんです! ずっと楽しみにしていたので、お土産もたくさん買っちゃいました! こういう楽しいことがあると気分転換にもなりますし、心身の疲労も回復した気がします。これからも楽しいイベントなどを挟みながら、自分のペースでできることをやっていこうと思います!
(※文中敬称略)
高木真備
Takagi Makibi
元ガールズケイリン選手(106期)。2014年に奈良競輪場でデビューし、玉野競輪場で初優勝する。2016年のガールズケイリンコレクションでファン投票1位を獲得して、優勝。同年末にガールズグランプリ初出場を果たす。2020年には、特別競輪ガールズケイリンフェスティバル(いわき平)で完全優勝し、同年のガールズケイリンコレクション(伊東)も優勝した。ガールズケイリングランプリ2021で悲願の優勝を果たし、2022年4月に引退。現在は動物保護活動をしている。