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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆのリスタート】グランプリは絶望的…目標を見失った私にパワーをくれた“世界と戦う”日本代表選手たち

2025/09/25 (木) 18:00 19

女子オールスター競輪に出場した太田りゆ(写真提供:チャリ・ロト)

公式戦ではじめての落車

 netkeirinの読者の皆さんお久しぶりです。太田りゆです!(^O^)

 8月9日に女子オールスター競輪で落車して左鎖骨を骨折、14日に手術をしてから1か月が経ちました。

『死ぬこと以外かすり傷』とはよく言うけど、鎖骨骨折で済んでよかったと思えるくらい、レース中、転ぶ寸前からの記憶がほぼありません(・□・;)担架に乗せられて運ばれたところなんて、全然何にも覚えてなくてこれまたびっくり。医務室で意識が戻ったところで「あぁ、転んだんだ」と思いました。

 競輪選手になった時から落車は覚悟していたし、「鎖骨くらいならいつでも捧げるつもり」でいました。でも実際に折れてみると……やっぱり痛い(笑)。

公式戦ではじめての落車、記憶も残っていない(撮影:北山宏一)

 デビュー9年目にして、公式戦での落車はこれが初めて。練習中に転んだことはあるけど、それは6年前で250mバンクでした。競輪界では「鎖骨は折って当たり前」みたいな空気があって、逆に折ってない方が珍しいくらい。

 だから大袈裟に「痛い、痛い」と言いづらいんですが、それでも意識が戻った瞬間に「あ、折れてるな」ってすぐに分かりました。選手のみんなが言う通り、本当にわかるんですね。指が遠くにいる感覚がして、とにかく変なんですよ、あれは(笑)。

 転んでも転んでも走っている選手に対して、いつもすごいなと思っていたけど、自分が経験してみると、さらにリスペクトの気持ちが増しますね。みんな凄いな( ꇐ₃ꇐ )

日本代表選手たちがくれたパワー

 落車や失格もあって、今年のグランプリ出場はほぼ絶望的…。ポジティブで前向き女の私も正直、目標を失ってガッカリしていました。

前半戦のランキングはグランプリ出場圏内で推移しており、見通しは明るかった(撮影:北山宏一)

 そんな中、ちょうど今、日本で世界陸上が開催されていますよね。落胆しながら見ていたんですが、日本代表選手たちの頑張りを見ていたら、「私もやらなきゃ」と自然に思えるようになって、リハビリからトレーニングに気持ちを切り替えることができました。

「スポーツの力」って本当にすごい。私も「レースの走りを見て力を与えてもらった」と声をかけられることがあります。その言葉を聞くと誇らしい気持ちになるし、これからもそうありたいって思います。

誰かの力になるために努力を重ねている(写真:著者提供)

 世界陸上の会場では日本選手の名前がコールされるたびに、大きな拍手と声援が沸き起こります。陸上は誰もが子どもの頃に経験したことがある競技ですよね。だから50m走や1kmの記録を思い出しながら観戦することができて「すごさ」を実感しやすい面があります。

 そこは自転車競技との違いを感じます。ママチャリは誰でも乗れるけど、競技用の自転車はまた違って、あまり馴染みはないのではないのでしょうか? だから「私たちの凄さはちょっと伝わりづらいところもあるな…(・へ・)」と感じました。そんなことを考えていたら「もっと競技人口を増やしていくための環境づくりにも関わっていきたい」という気持ちにもなりました。

これまでも全国各地で活動を続けている(写真:著者提供)

 世界陸上で印象に残った選手はたくさんいましたが、中でも110mハードルの村竹ラシッド選手。決勝で5位に入り、世界と堂々と勝負してくれて、本当に鳥肌が立ちました。レース後には「何が足りなかったのか」「みんなと喜びたかった」と悔し涙を流していて、その姿に同じアスリートとして胸を打たれました。魂を全部かけて戦ったからこその涙。見ていて「ありがとう」、「私も頑張ろう」と強く思いました。

ケガをして気が付いた“空っぽ”の自分

「頑張る」と言ってもやり方はさまざまです。

 私はオリンピアンという経歴もあるし、現役の競輪選手としてずっと力をつけてきました。でも今回の落車を通じて痛感したのが、正直「自転車に乗ることしかできない」ということ。これができない私はなんだか“空っぽ”だなと感じました。

 現役選手ではない人生もきっとこれからやってきて、その後もずっと長い時間があって、人生を生きていくわけです。もちろんこの先も自転車競技と競輪は大事にしていきたいし、ずっと活かしていきたいと思います。でも「人としてもっと中身のある存在になりたい」という気持ちはずっと胸にあります。

人として中身のある存在に(撮影:北山宏一)

 そこで、今年の「グランプリ出場」という目標を見失ってしまった分を補うように、資格の勉強を始めてみることにしました! 思い立って夜な夜な結構高額なコースに申し込みました。何の資格かは合格したら報告しますね(笑)。「太田りゆ」という商品に肉付けができて、より説得力がつくようなことを頑張る時間にします( . .)"!

 久々の勉強だし、まずはかわいい文房具を揃えるところから始めてみようかな"(∩>ω<∩)"…ちがうか(笑)

 さて、今考えている復帰の目標は今月29日の地元・大宮競輪場です。ただ、「走るからには納得できる走りができるかどうか」を大事にしたいので、まだ出場できるかは確実ではありません。それでもやっぱり、「人生は目標がないとつまらない!」そう思ってまた一歩ずつ前に進んでいきます。

 出走に関しての最終決定はギリギリまで考えて、個人のSNSで報告するつもりです。出るとなれば、みなさんにぜひ応援に来てもらえたら嬉しいです!

リスタートは前向きな気持ちとともに(撮影:北山宏一)

【SNSへのリンクはコチラ( *´艸`)♡】
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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でデビューし初勝利。同開催で完全優勝を成し遂げ、デビューシリーズから大きなインパクトを与えた。また自転車競技選手としてナショナルチームに所属し、数々の国際大会に出場。2019年のワールドカップでケイリン種目で銀メダルを獲得した。2021年の東京五輪にはリザーブ選手として日本代表に選出された。東京五輪終了後はパリ五輪をめざしナショナルチームで活動する一方で、ヨーロッパエリアで開催しているチャンピオンズリーグにも参戦。チームの支援のない状況下で世界の強豪を相手に戦い抜いた。2022年、2023年とアジア選手権スプリント種目で金メダルを獲得し連覇を果たしている。そして2024年、日本代表選手に選出され、パリ五輪に出場。ケイリン種目では日本人女子歴代最高順位となる9位の成績を残した。パリ五輪終了後に日本代表引退を宣言し、競技を引退。ガールズケイリンに専念することを表明した。趣味はメイクとファッション、ディズニー。パワーの源はコカ・コーラ。

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